64(ロクヨン)
昭和64年に起きたある事件、
その事件に関与した人々の心の振幅。
対立する二つの組織、
刑事部と警務部、
警察とマスコミ。
情報公開、家族の問題、
それぞれの場面で、
板挟みになり苦悩する、
元刑事の広報官、
三上がこの小説の主人公。
ページ数647ページの分厚さ。
内容もまた重厚でした。
葛藤を乗り越え
警務部の広報という、
自分の立ち位置、
居場所を自覚し、
一歩前に進んでいくようになった三上は
魅了的でかっこよかったです。
最初は多い登場人物に、
とまどいを感じましたが
だんだん気にならなくなってきます。
主人公の感情の行方、
被害者家族の悲しい執着、
張り巡らされた伏線、その回収
保身のため隠蔽された警察内部事情、
物語の行く先が気になって、
ページを繰る手が止まりません。
濃密なストーリーのこの小説に入り込み、
共感し、涙し、緊迫感を味わいました。
読み応え十分でした。
あ~読み終えたという、
達成感を得たような気分です。