はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

残暑お見舞申し上げます

2013-08-10 17:34:51 | アカショウビンのつぶやき


立秋がすぎたとたんに、各所で酷暑…。
今日はあちこちで40度を超えてしまいましたが、
我が家にも40度近くまで上がる場所があるんです。

今年は夏になっても桜島の灰は大隅半島に降っています。
例年夏場は南東の風に乗って薩摩半島に向かうのですが、
今年は季節を問わず、大隅半島に灰を降らせます。

活発な火山活動を繰り返す桜島は、
観光資源としての価値は大ですが、
灰まみれの住民にとっては大変…。
一部屋だけは、終日クーラー
(電気量もウナギ登り…)、

窓を開けることもできず…
締めっ切りの二階など、
温度計を見ると39度を超えています。
「ヒャーこの暑さなんだー」
大急ぎで窓を全開、風を通してまた閉める。
こんな生活です。
涼しい図書館で過ごすという手もありますが、
もう外には出たくないよー。

ふうふう言ってる時に、
大好きな「はなオクラ」を頂きました。
優雅な姿を食べちゃうのは…
でも、しっかりいただきましたよ。
本当に久しぶりの花オクラでした。
ごちそうさま。

七夕様

2013-08-10 15:11:21 | はがき随筆


 7月、子供たちと折り紙で七夕の飾りを作って、小さなササ竹につるし、教室に飾った。風が吹くとゆらゆら揺れてきれいだ。心が和む。
 私の小さな頃は、8月7日に七夕様をしていた。夏休みになると、縁側で祖母と母、妹と4人でいろいろな話をしながら、七夕紙で七夕様の長い飾りを作った。ササ竹は、父が近くの竹山から切ってきてくれた。
 七夕様の紙は1枚も無駄がなく、捨てるところがなかった。
 教室の七夕様を見ながら、物を大切にしていた先人の知恵と心を思い、幼い頃を懐かしく思い出した。
  屋久島町 山岡淳子 2013/8/10 毎日新聞鹿児島版掲載

日焼けした少年

2013-08-10 15:05:59 | はがき随筆
 玄関に真っ黒に日焼けした少年が立っている。
 「あら、どちらの国から?」と、私がからかうと、にやりと笑う高校1年生の孫である。
 ヨット部の彼は、夏休みに入り、連日の猛暑に練習をやっているという。潮風と強い日差しであちこち肌がむけている。それでも何事にもチャレンジしている姿を頼もしく思った。
 孫が、仏壇に収められたものを布で丁寧に拭き、仏具もピカピカに磨いてくれた。
 素直で優しい孫との貴重な夏のひと時だった。
 <そーめんをつゆに泳がせすする孫>
  鹿児島市 竹之内美知子 2013/8/9 毎日新聞鹿児島版掲載

エンヤコラ先生

2013-08-10 14:59:44 | はがき随筆
 アパート3階にある我が家から小学校のプールが見下ろせる。この季節、早朝からごみを網ですくったり、プールサイドを掃除する教頭先生らしき姿がある。別の先生と、2人のこともあるが、大概、1人で黙々と作業する。夏休みのプール開放日も、繰り返される作業を知るよしもない子供の歓声が響く。
 ある朝、思い至った。私が小学生の頃もきっと先生や用務員さん、給食のおばさん達は児童が楽しく、けががないようにと願いながら尽力してくださっていたのだ。多くの愛情に見守られてきたと気付き、感謝の気持ちでいっぱいになった。
  鹿児島市 種子田真理 2013/8/8 毎日新聞鹿児島版掲載

猛暑に祈る

2013-08-10 14:54:43 | はがき随筆
 猛暑、酷暑、蒸し殺されると騒いでいるうちに、わが身勝手さに気が付いた。
 飢えや病に苦しみながら熱帯のジャングルをさまよった兵士たち、美しい海に浮かぶ沖縄の悲しい物語がよみがえる。
 今なお、人と人とが争い、多くの血が流されていることに思いを馳せると、フランチェスコの祈りが口に上がる。いさかいのあるところに赦しを、分裂のあるところに一致を、絶望のあるところに希望を、理解されることよりも、理解することを。ほんの少しでも自分を人に与えられますように。
  鹿屋市 伊地知咲子 2013/8/7 毎日新聞鹿児島版掲載

自慢

2013-08-10 11:48:28 | はがき随筆
 7月で、はがき随筆に投稿し始めて1年になった。心に感じたことを吐露しては原稿を推敲していく作業に楽しみを見いだし励みとなった。おかげで、毎朝このコーナーに目を通す習慣が身に着いた。先日、孫だけは自慢しても良いかなあ? 褒めてくれるかもと「掲載された」と伝えた。すると小学生の2人はすかさず、口をそろえ「自慢だ!」の一言。図星だった。
 まさかの返答に驚きを隠せず、おなかを抱え、涙が出るほど笑い転げてしまった。いつまでも幼いと思っていただけに意表を突かれた。頭を打ちのめされたかのような衝撃を覚えた。
鹿屋市 中鶴裕子 2013/8/6 毎日新聞鹿児島版掲載

和とじ製本

2013-08-10 11:39:29 | はがき随筆
 「製本ワークショップ」3回目は「和とじ」。冊子の4ヶ所に穴を開ける。「四つ目とじ」という方法で、A6サイズのの冊子を作った。
 「洋とじ」との大きな違いは、糸でつづる前に紙縒を使うこと。とじ穴の背側に2ヶ所開けた穴に、紙縒をくぐらせてのり付け。槌でたたいて仕上げる。糸が切れてもページがばらけない。「糸紙縒だけでとじるのもおしゃれ」と、女性教師。
 さらに背の天地を布で包む。「角切れ」と呼ばれている。単なる補強ではなく、装飾として目立つ色布を使う。筆文字を書いてみたい冊子が出来上がった。  
  鹿児島市 高橋誠 2013/8/5 毎日新聞鹿児島版掲載

お騒がせの一日

2013-08-10 11:33:58 | はがき随筆
 中高年の男女5人がJRに乗り込み、学習会のある姶良市に向かった。なんだか遠足気分。ICカードが近郊の駅でも使えるようになったので、自慢げに改札を通ったまではよかった。
 充実した学習会が終わる頃になって、手提げの中にあるはずのカードが見当たらない。どこかに落としたのか。メンバーも心配してくれた。駅から会場まで利用したタクシーの会社に電話で尋ねたのは夕方帰宅してから。会社に保管してあり、翌日マイカーで会社に出向き、受け取った。
 なくし物名人? であることをさらけ出した一日だった。
  鹿児島市 本山るみ子 2013/8/4 毎日新聞鹿児島版掲載

重なる母親

2013-08-10 11:26:45 | はがき随筆
 スーパーの駐車場で、前方から車が来たので停車した。すると、後方からゴツンと追突された。私の車は少しの傷で、相手(女性)の方は、ポッコリへこんでいた。相手方の車に同乗していた母親が、地面にこするほどに頭を下げられる。その姿に私の母親か重なった。
 「私の車は傷だらけで、一つ増えても箔がついたぐらいだ。今回は特別に許します」。固唾をのんで見守る親子は、手を取り合ってピョンピョン跳ねた。
 親子が頬を紅潮させて、私を三拝九拝する。母親の目に涙を見た。それにしても「私のボロ車で、あなた方は運がいい」。
  出水市 道田道範 2013/8/3 毎日新聞鹿児島版掲載

美しい畑

2013-08-10 11:19:46 | はがき随筆
 我が家と空港との中間点にその畑はある。桃の木、みかん、柿の木などが植えてあり、今は2本の梨の木に赤い袋がかけられている。中では梨の実が育っているのだろう。トマト、ナス、ピーマンなどの夏野菜も豊かに実っている。約150坪かなと思うが、果樹の下から畑の隅々まで草が取られていて、気持のいい、美しい畑である。
 奥には東屋が造ってある。仕事の合間に霧島連峰を眺めながらお茶を飲まれるのだろう。我が家のミニ果樹園も夫がいた頃は手入れが行き届いていたが、今ではカヤが入り樹勢も衰えてきた。畑の方だけは守らねば!
  霧島市 秋峯いくよ 2013/8/2 毎日新聞鹿児島版掲載

庭にスイカ

2013-08-10 11:12:16 | はがき随筆
 夏の畑に立派なスイカを育てたいと思ってきたが、満足したことは少ない。カラスからもよく見張られている。
 で、今年は庭に植えてみた。底に穴のある大きなビニールのたる、土や油かすをはじめ多種の肥を混ぜ、2本植えた。その周りにはモウソウ竹を適当な長さに切り、数本ずつ立てた。ツルは思った通り、竹枝につかまりながら登ってくれた。
 朝、雌花に雄花の花粉をつけてやった。水はたっぷりやった。やがて実が膨らみ始め、ぶらりと七つ下がったので、袋に入れて支えた。ありがとよ。
  出水市 松尾繁 2013/8/1 毎日新聞鹿児島版掲載

「どっちもどっち?」

2013-08-10 11:02:07 | 岩国エッセイサロンより
2013年8月 9日 (金)

岩国市  会 員   山本 一

「今度ね」と知人から誘いの電話。駄目と分かったら話を途中で遮り、素早く断る。うそも方便。これも苦手だ。いずれも、相手に対する思いやりのつもりなのだが。
 ところが妻は違う。とにかく相手にいろいろとしゃべらせる。お互い話し疲れた頃になって「実は駄目なの」とやっとの思いで断る。そういえば、趣味のパンを作っている最中の電話でも「今、手が離せない」とは絶対言わない。「今、大丈夫よ」とうそを言う。結果、パンの出来損ないが私の食卓にのぽる。
 妻と私とどちらが人の道なのか、まだ結論が出ない。

  (2013.08.09 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載