はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

2013-08-22 17:10:12 | はがき随筆

 退職後、晴耕雨読の日を持てるようになった。久しぶりの降雨に碁盤に向かって詰め碁。なかなか詰らない。目を庭に向けるとカボチャがグリーンカーテンの棚に実っている。
 カボチャの花を見れば、亡き母が花の受粉の手を休め、「葉は傘のように雄花、雌花を風雨から守る。家族を守れる人になれ」と。若き日を思い出す。
 鮮やかな黄色い花が美しい。我が余生、傘に何人入れられるか。まだ碁は詰っていない。折しもラジオから森真一の「傘になれよと……お袋さんよ」が流れる。つられて口ずさむ。バイブレーションを効かせて。
  出水市 宮路量温 2013/8/22 毎日新聞鹿児島版掲載