はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

秋の味覚その2

2013-10-02 16:22:33 | アカショウビンのつぶやき


 広島の友人Kさんから見事な栗が届きました。
「うちの栗の木になった栗です…」との添え書きとともに。

数年前にお邪魔したとき、庭先の大きな栗の木に、
「庭先で栗拾いができるのー、いいなあ…」と驚いた私でした。

Kさんは、春から闘病中、
ご主人がしっかり支えて厳しい治療に耐えています。
どんな時も希望を失わないクリスチャンのKさんは
体調の安定したときには、
楽しい川柳をつくり、メールで送ってくれます。

平安は 神様からの 贈りもの
冷蔵庫 愛の品々 埋まってる
ガンとして ガン細胞は ガンこもの
まだまださ 蚊をやっつける力 あり
痩せがえる がんにひるむな 戸惑うな

ただ祈るのみの私ですが、私の方がKさんに励まされています。

横っちょに乗ってるジャンボみょうが…
こちらは、妙子さんの庭で獲れたもの。
全部、感謝して頂きました。

衣笠への旅

2013-10-02 15:45:59 | はがき随筆
 JR横須賀線で衣笠駅に降り立つ。こじんまりとした駅舎から昔ながらのアーケードが伸びる。衣笠はかつて軍港だった横須賀に隣接する私の出生地だ。おなかの私と電車に乗ってよく東京へ映画を見に行ったと、楽しそうに母が話していたっけ。セピア色に変色した幼年期の写真を携えての旅だが、60年も前のこと……。海軍将校だった父と母子が住んだ官舎が、戦後すぐ取り壊されたと、地元の古老から聞けた。
 「4歳の春杜が、将来ふっとここを訪ねるかも……」。そんな夢みたいなことを思って、生まれ故郷への旅を終えた。
  霧島市 久野茂樹 2013/10/2 毎日新聞鹿児島版掲載

久多島

2013-10-02 15:32:03 | はがき随筆
 吹上浜の西方12キロに久多島が浮かぶ。岩だけの無人島だが、島の誕生には、亡き姫君が変身したという伝説がある。
 村の古老によれば、島の所有を巡り、私の村と隣村との争いになった。
 両村では精鋭の漕ぎ手を選び、島まで小舟で速さを競うことにした。惜しくも私の村は破れて、隣村の神を祭る神社が建立されている。
 子供の頃、吹上浜で島を目印に地引網を引いた。私は網の中にどん魚が入っているか、心躍らせたものだ。吹上浜を語る時、久多島は欠かせない島となっている。
  鹿児島市 田中健一郎 2013/10/1 毎日新聞鹿児島版掲載

「光陰矢のごとし」

2013-10-02 05:00:18 | 岩国エッセイサロンより
2013年10月 1日 (火)

岩国市  会 員   横山 恵子

敬老の日とは、我が家では87歳になる母を祝う日と思っていたら、私たち宛てに封筒が送られてきた。それは、3歳になる孫が通っている広島の幼稚園からだった。孫が描いた私たちの似顔絵。私は□が大きく、夫の髪の毛は少なめに描かれていた。敬老の日にあわせた園からの粋な計らいに感謝。
 先日、私は誕生日を迎え正真正銘の高齢者となった。息子が「おばあちゃん、敬老の日だからケーキ買ってきたよ」と母を呼ぶ声がした。「私も敬老の仲間入りをしたんよ」と言うと息子いわく「コメントは差し控えさせていただきます」
  (2013.10.01 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載