はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

北帰行

2015-03-19 15:51:22 | はがき随筆


 ツルを見れば、10年前に逝った同僚の君を思い出す。「ツルは私の家からよく見える」と毎年、誘ってくれた。久しぶりに君に会いたくて、紅梅と水仙を一輪ずつ持参し墓参り。
 小高い丘の一角の墓石は整備され、納骨堂と化していた。鶴観察センター、休遊地、鶴群が一望できる。鶴の夫婦仲、家族愛、団結力に、人を重ね合わせた鶴談義に生前がしのばれる。 合掌し、鳥インフルの顛末を語るが、無言の君は、僕の心から北帰行する。あたかも、休遊地辺りから、早春の穏やかな大空高く、鶴の一団が鳴きながら旋回し、上昇気流に乗る。
  出水市 宮路量温 2015/3/19 毎日新聞鹿児島版掲載

自分を見張る

2015-03-19 00:56:37 | 岩国エッセイサロンより
2015年3月18日 (水)

岩国市  会 員   山本 一

風呂に入ろうと服を脱ぎ、浴槽の蓋を開けてビックリ。湯がない。栓をし忘れたのだ。約200㍑のお湯が無駄になった。妻の「また」というあざけり顔が目に浮かび、寒いが引き返せない。やむを得ずシャワーだけで我慢する。私は元々こんなヘマを以前からよくやる。
 「それにしても、何だか最近は多いぞ……」と、気になる。先日は入浴剤と間違えて、隣にある洗濯洗剤を入れた。根っからのうっかり者に老化が輪をかけ始めたらしい。

妻の目はごまかした。が、現実を素直に受け止め、自分で自分を厳しく監視しようと思う。

  (2015.03.18 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載