はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

呪文のカンカラ

2015-11-14 22:03:58 | はがき随筆
 カンカラコモデケア。呪文の言葉。30年ほど前に地方の温泉街で開かれた、広報担当者のセミナーで耳にした。
 呪文は感動、カラフル、今日性、物語性、データ、決意、明るさの頭文字だ。ジャーナリスト志望の若者向けに、読ませる原稿の極意として講師の毎日新聞Y記者が編み出した文章術。
 昨年の毎日ペンクラブ研修会で久しぶりにこの言葉と出会った。西部本社編集局長N氏が講演で披露した。彼はゴ(五感)ミ(見直し、推敲)をプラスすると、更に伝わる文章になると。今年もどんな話が聞けるか楽しみ。研修会は11月15日。
鹿児島市 高橋誠 2015/11/14 毎日新聞鹿児島版掲載

傘寿を迎えて2

2015-11-14 21:17:02 | はがき随筆
 ついに80歳の坂を越えたが比較的元気である。父は85歳で他界したが、私の歳までには脳梗塞を3回も患った。私は住職の座は2年前に譲ったが、今も現職の僧侶として人々に向き合って生かされている。
 かつて50代の頃からは教育委員や保護司などいろいろ仰せつかったが、今は何もない。会議に呼ばれることもない。日課は寺の法務と境内の清掃。時々ワープロに向かって年4回発行の寺報の作成と随筆の推敲に費やす。喜寿を目前にした家内と月数回の外食を楽しむ。傘寿を迎えて、平凡にして孤高な老いの日々と自己満足している。
  志布志市 一木法明 2015/11/13 毎日新聞鹿児島版掲載

座右の銘として

2015-11-14 21:16:01 | はがき随筆
子いわく「君子矜して争わず」
 過日、同好の集まりで若い者のあまりの無礼さに、つい声を荒げ席を蹴ってしまった。そのときは俺にもまだ元気が残っていたかとうれしい気もした。
 ところが日ならずして手元の論語の以前付箋した箇所を何気なく開けたら冒頭の一節が出てきたのである。
 参った、なんと愚かなことを、若い者を諭す立場にありながら年がいもなくと臍をかんだのだった。老いてはいるが、まだ先は長い。今一度孔子様の教えを座右の銘として生きていこうと己に誓うことだった。
 鹿児島市 野崎正昭 2015/11/12 毎日新聞鹿児島版掲載

元気をもらう

2015-11-14 19:53:12 | 岩国エッセイサロンより
2015年11月14日 (土)


岩国市  会 員   横山 恵子



古里近くで祭りがあると聞き、妹夫婦と出かけた。
 標高500㍍から深呼吸。地域の平均年齢は82歳とか。祭りを行うにも親元を離れた子供たちの手助けが欠かせない。神楽、餅つき……。昔に戻ったにぎやかさ。空き家や荒れた田畑が多い中、稲刈りを終えた田を見るとホッとする。

 古里の家に寄り、まず墓参り。主が入院中の庭に赤トンボ2匹。3週間余り雨降らずとも青々と育つ白菜などを見て妹が「すごい、見習わんといけんねー」と叫ぶ。水やり、草取りをしておじを見舞う。元気そうでひと安心。古里の空気は一段とおいしい。  

  (2015.11.14 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載