はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

友の菜園 知恵に感心

2015-11-29 22:45:55 | 岩国エッセイサロンより
2015年11月27日 (金)

   岩国市   会 員   片山清勝

 菜園づくりが趣味の知人の姿を久しぶりに見掛けた。いつも肥沃な畑の様子は変わらないのに、何本ものペットボトル製の風車が、がらがらと音をたてて回っている。
 初めての光景に驚き聞くと「まあ、見てくれ」と指さす一画の野菜がしおれている。原因はモグラが地下で遊んだからと笑う。地中へ振動を伝えると侵入防止になることが分かり、風車を手作りしたという。
 ペットボトルで風車を作る。その風車の胴体に小石を入れる。風車が回ると中の小石が動き、音と振動が起きる。その音と振動は、風車を取り付けた細い鉄の棒を伝わって畑に届く仕組みだ。
 風車の設置でモグラの侵入は減少したが、せめぎ合いは続いている。友は、 「農業は脳業で脳トレにもなる」と話す。
 初冬の日差しが降り注ぐ畑。地下のモグラと菜園主の暗闘を知り、いつものように持たせてくれた野菜へのありがたみが増した。

        (2015.11.27 中国新聞「広場」掲載)岩国エッセイサロンより転載