「またその話」と笑う私に、彼は「修学生活で最も感激して忘れられんから」と言う。
冬の学校行事のウサギ狩りで、長い長い網を山に張っていた。終了後その網を他校に返しに行く先生から「M君手伝ってくれ」と頼まれた。しっかり抱えて隣の学校まで歩いてついて行った――と。しんどい仕事だったろうになぜ感激したのか不思議がると「日ごろ目立たなかった俺が、N先生からは頼りにされている気がしたから」。
N先生は私の次兄で今94歳。退職後は書道や肥後狂句、野菜作りを楽しみながらの余生を送っている。
熊本県玉名市 大村土美子(79)2018/6/17 毎日新聞鹿児島版掲載
冬の学校行事のウサギ狩りで、長い長い網を山に張っていた。終了後その網を他校に返しに行く先生から「M君手伝ってくれ」と頼まれた。しっかり抱えて隣の学校まで歩いてついて行った――と。しんどい仕事だったろうになぜ感激したのか不思議がると「日ごろ目立たなかった俺が、N先生からは頼りにされている気がしたから」。
N先生は私の次兄で今94歳。退職後は書道や肥後狂句、野菜作りを楽しみながらの余生を送っている。
熊本県玉名市 大村土美子(79)2018/6/17 毎日新聞鹿児島版掲載