
飲み会で会社の先輩に、5月の初めに子どもが生まれると話すと、その先輩は5月5日に男の子が生まれたら、鯉登りをお祝いにやろうと言いだした。鯉のぼりの値段は、サラリーマンの小遣いからすると酔った勢いでは済まない。酒の席での冗談と受け取って聞き流した。
数ヵ月後、親孝行の息子は計ったように5月5日に生まれてきた。まさかと思ったが、先輩は初節句の祝いにと人の背丈ほどの青い鯉のぼりを抱えてきた。おかげで祝いの宴は大盛会。忘れられない一日となった。
その息子も今年で29歳、一人前になりましたよ、先輩。
宮崎市 福島洋一(63)毎日新聞鹿児島版掲載