やいば
映画「鬼滅の刃」が久々の反響である。映画といえば子どもの頃、映画を見る機会の少ない山里に移動映画がやってきた。会場の小学校講堂は村人であふれていた。 僕は中村錦之助のチャンバラが好きだった。懐かしく心に残っているのは「宮本武蔵」である。武蔵が一人で次々に敵を斬る場面にはハラハラドキドキさせられた。ところが一番いいところで突然フィルが ムが切れた。すると、何も写らないスクリーンに向かって「どげんした(どおした)!」と数人が叫ぶ。映写技師が慌ててい たのを今でも覚えているが、 映画は娯楽の花形だった。
鹿児島県さつま町 小向井一成(72) 2021/1/30 毎日新聞鹿児島版掲載