月間賞に杉田さん(宮崎)
佳作は東郷さん(鹿児島)、楠田さん(宮崎)、黒田さん(熊本)
はがき随筆1月度の受賞者は次の皆さんでした。(敬称略)
【月間賞】30日「頑張れ蕾」杉田茂延=宮崎市
【佳作】27日「訪れ」東郷久子=鹿児島市
▽29日「炎の力」楠田美穂子=宮崎県延岡市
▽30日「みいつけた」黒田あや子=熊本市
令和3年1月。新型コロナウイルス感染症が終息する気配はまだ見えませんが、日々の生活も行事も新しい対応で新年を迎えざるを得ませんでした。その中で巡り来る季節の確かさや自然の素晴らしさの投稿が多く、楽しむことができまし た。
外出もままならない自粛の日々の中、庭の梅の蕾を探す杉田さんの「頑張れ蕾」。寒さが花芽を育てるという。今年の寒波もやがてくる開花を期待させ、ゴマ粒大の蕾が一度きりの舞台を慎重に待つ......。蕾の神秘さや健気さを応援の気持ちを込めてつづられた。蕾も膨らみ、満開の花舞台が楽しみですね。
東郷さんの「訪れ」もまた庭からの観察。朝日が届く頃花の蜜を求めて来る小鳥たちの様子に魅せられました。「日の光を揺すりながらフェンスへ降りてくる」。美しい表現ですね。小鳥よりも少し大きい鳥を「中鳥」と名付けて見守る、久子さんの自然とのかかわりはかけがえのないものなのですね。
楠田さんの「炎の力」。友人と夫婦でキャンプに参加したひとときの情景。たき火の揺らぎの変化を見つめながらうたた寝をする筆者。目覚めたときに思いを吐露している夫と友人の会話を思いもかけず聞くという「炎の力」を実感。「まるで言葉を火にくべるかのように。炎はゆっくりと心の奥の塊を溶かす」。満天の星のもと、ぜいたくな良い時を過ごされましたね。
「みいつけた」。黒田さんの住む熊本の新年は雪の舞う日が続いたと。寒いのにさくら草が大鉢の中でみずみずしい若草色の葉を思いっきり伸ばしている。「おはよう」の声かけをするとまあるい 蕾を見つけた。 葉の間 から外界を見上げている。先の見えない不安な非常時でも、雪雲が 流れ太陽が一瞬顔を出すと冬の居間が温室のようになる。真冬の厳しさのなか春を待つあや子さんの気持ちがまっすぐ伝わってきま す。
緊急事態宣言で自粛の日々を過ごした私たちのまわりにも四季は巡ります。 芽吹きの春はもうすぐです。
日本ペンクラブ会員 興梠マリア
◆係から
杉田さんの月間賞を巡るインタビューが28日 (日) 午前7時10分からのMRT宮崎放送ラジオ番組「潤子の素敵に朝!」で放送予定です。「宮崎ほっとタイム」(水曜午前9時15分から5分間)の中でも、掲載作が朗読されることがあります。
また、MBC南日本 放送ラジオでも、掲載 作が27日 (土) 午前9 時半ごろから朗読され ます。「二見いすずの土曜ラジオ!」のコーナー「朝のとっておき」 です。