はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

二?  ニです。

2021-02-14 23:19:53 | はがき随筆
 カタカナ書きのコンビニ、どう見返してもコンビ二と、1字だけ漢字表記。すぐそばのミニとかアニメは、きちんとカタカナ。一般人はまず気付かないこんなミス、若い頃2年ほど校正の仕事に携わったお陰で、いやでも自動的に飛び込んでくる。 手書き、鉛活字手拾い時代ならいざ知らず、キーボード入力の現代はコンビニ、アニメなどコンピューターが自動的に判断 してカナ出力されるはずなの に、なんで1字だけ漢字になったかがむしろ不思議。首をひね りつつも、まだこのあたりの識別ができるのはありがたいと自 分を納得させた。
 熊本市東区 中村弘之(84)  2021/2/12 毎日新聞鹿児島版掲載


新橋のふぐ

2021-02-14 23:11:42 | はがき随筆
ふぐのおいしい時期になった。福岡では出張者を近くのふぐ料理の店に連れて行くと喜ば れた。値段も手ごろだった。
  本社に転勤し、残業していると、上司から「新橋のふぐ料理店にすぐ来い」と電話があった。 席に着くと先輩3人がいて上機嫌だった。大皿には数枚のふぐ
刺ししかなかった。小一時間もすると、ふぐ雑炊が出てお開きとなった。部長が浮かぬ顔で戻ってきた。〆て7万円也。全員の金を集めても足りずに、翌日払うことにした。「田中君は新橋でえらく高いふぐを食べたそうだ」と評判になった。先輩方 はもうこの世にいない。
 鹿児島市 田中健一郎(82)  2021.2.14 毎日新聞鹿児島版掲載