私が河野裕子さんの歌と出合ったのは今から10年前、長男が2歳のころのこと。当時の私は初めての子育てで戸惑ったり迷ったり、なによりくたびれていた。
そのころの息子は、夜は寝ないし、日中もおんぶしないと眠らない。そして私以外には絶対にだっこされないのだった。
もちろん息子はとても可愛いが「いつになったらゆっくり眠れるのかしら」と、そんなことばかり考えていた。河野さんの歌を知ったのはそんな時だった。
《朝に見て昼には呼びて夜は触れ確かめおらねは子は消ゆるもの》
この歌は私の心の奥に深くやさしく入ってきて「ああそうだ。私はこの一瞬をもっと大切にしなければ」と気づかせてくれた。
今では12歳、9歳、5歳の3人の男の子の母となった私だが、子育てに迷うといつもこの歌を暗唱する。
けれど、たったの10年の間に長男と次男は1人で何でもできるようになり、放課後などは自転車でさっそうと出かけていってしまう。ああ私は置いてきぼりだなあと思ったこのごろは、心の奥からこんな歌を取り出して涙したりする勝手な母だ。
《さびしいよ息子が大人になることもこんな青空の日にきっと出てゆく》
河野さんの歌に、私はどれだけ励まされ、助けられたことだろう。
河野さんありがとうございました。あなたの歌は、私の人生の参考書です。
福岡市南区 藤崎 智子(42) 2010/9/3 毎日新聞女の気持ち欄掲載
そのころの息子は、夜は寝ないし、日中もおんぶしないと眠らない。そして私以外には絶対にだっこされないのだった。
もちろん息子はとても可愛いが「いつになったらゆっくり眠れるのかしら」と、そんなことばかり考えていた。河野さんの歌を知ったのはそんな時だった。
《朝に見て昼には呼びて夜は触れ確かめおらねは子は消ゆるもの》
この歌は私の心の奥に深くやさしく入ってきて「ああそうだ。私はこの一瞬をもっと大切にしなければ」と気づかせてくれた。
今では12歳、9歳、5歳の3人の男の子の母となった私だが、子育てに迷うといつもこの歌を暗唱する。
けれど、たったの10年の間に長男と次男は1人で何でもできるようになり、放課後などは自転車でさっそうと出かけていってしまう。ああ私は置いてきぼりだなあと思ったこのごろは、心の奥からこんな歌を取り出して涙したりする勝手な母だ。
《さびしいよ息子が大人になることもこんな青空の日にきっと出てゆく》
河野さんの歌に、私はどれだけ励まされ、助けられたことだろう。
河野さんありがとうございました。あなたの歌は、私の人生の参考書です。
福岡市南区 藤崎 智子(42) 2010/9/3 毎日新聞女の気持ち欄掲載