はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

お見舞い

2013-03-25 00:08:49 | はがき随筆
 40代で障害者となり、不自由な生活を強いられた母、父亡き後、長年1人の生活を頑張ってきた。高齢な上に車椅子での生活を続行することが困難になり、入院生活を余儀なくされた。心なしか体も小さくなり子供のように身を委ね質問してくる。そんな時「大丈夫だよ。お母さん、心配しないで」と答えるのが口癖。花好きの母を外に連れ出しランチを食べ、他愛もない会話に笑って帰るのが常である。親子が逆転したかのような関係を楽しむことでストレスも軽減し続けられた。母が祖母を見舞ったように、いつしか私も同様なことをしている。
  鹿屋市 中鶴裕子 2013/3/20 毎日新聞鹿児島版掲載

かのや第九演奏会

2013-03-24 19:16:57 | アカショウビンのつぶやき


 3年ぶりの「かのや第九演奏会」の練習がスタートしました。
散々迷いましたが、これが最後のチャンスだろう!
と、歌うことにしました。

第九のソプラノは高音を要求されるのが苦しいのですが、最後の挑戦をしてみましょう。

150名募集にしては、パラパラの集まりで、
「ほんとに大丈夫?」

平均、月2回の練習が4月から始まり、発表は12月1日です。
それまでに、6月は鹿屋市のコーラスフェスタ、
10月は鹿児島県のお母さんコーラス合唱祭です。

大丈夫かなあ…。


上棟式

2013-03-24 18:55:12 | アカショウビンのつぶやき

アカショウビンが理事として関わっている、
NPO法人「隣の会」では、老人ホームの建設が始まりました。
日替わりで雨が降る毎日でしたが、
からりと晴れあがり上々の棟上げ日和となりました。


屋根の上から、お餅やおひねりが降ってきます。


ご近所の方々も来られて、
にぎやかにお餅を拾いました。
いずれは、私もお世話になる日がくるかもしれません。
ご高齢の方々が、安心して住める施設になりますようにと
祈りつつ完成の日を待っています。


友人家族の幸せ祈る

2013-03-22 21:13:21 | 岩国エッセイサロンより
2013年3月21日 (木)

   岩国市  会 員  横山恵子

 広島に住む友人が昨年退職したと聞いたので、会ってねぎらいの気持ちを伝えた。
 友は36歳のとき、夫を不慮の事故で失い、娘と2人で生きてきた。まさに「母は強し」だが、悲しみを胸に秘めて、仕事と子育てを夢中でやってきたのだろう。
 友の娘は結婚して福島に住んでいたが、原発事故のため、生後間もない息子を連れて広島に帰って来た。昨年やっと夫も合流し、3人の生活をスタートさせた。
 突然、福島を離れざるを得なかった無念さは察するに余りある。同じ境遇の人たちが、日本中に多くおられると思うと心が痛む。
 友が孫の写真を見せてくれた。「私たちおばあちゃんになったんよね…」。同窓会以来、4年の空白を埋めるかのように話した。
 その言葉の端々に亡き夫への変わらぬ愛情を感じた。天国から「よく頑張ったね」という声が聞こえてきそうだ。
 これから彼女たちに、心穏やかな時間が流れますように。



   (2013.03.21 中国新聞「広場」掲載)  

「ふる里の味」

2013-03-22 21:12:10 | 岩国エッセイサロンより


岩国市  会 員   横山 恵子

 母の友人Oさんと話に花が咲く。田舎出身と聞き、番茶と手作りコンニャクを出した。「まあ、コンニャクおいしいー。お茶も懐かしいわ。実家に帰ったみたい」と喜ばれた。
 田舎に住むおばたちが毎年、お茶の葉とコンニャク芋をくれる。お茶は葉を摘み、蒸してもんで天日干しにするとほんの少しになる。コンニャク芋は収穫までに3年かかるとか。アクが強く、悪戦苦闘してやっとコンニャクの出来上がり。何事も経験しないと苦労は分からない。改めておばたちに感謝する。
 梅の花が舞っている。田舎にもやっと春が訪れたと感じる。

 (2013.03.21 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載

サクラ

2013-03-19 12:02:12 | はがき随筆


 西鹿児島駅発大阪行き特急。姉を見送った母がプラットホームで号泣した。その年、大阪万博があった。
 今春、大学卒業の娘が大阪へ行く。口では「さびしくない」と言いつつも、私の心の片隅に一抹の悲しみが。
 初詣の夜、境内の赤々とした燃える炎に、親の元を離れて自活する娘を、暖かく見送ろうと誓う。
 あの日亡き母が泣いた。ほんの少し“母の気持ち”が分かる気がする。私は「親」になれたのかな。
 気の早い桜が咲き始めた。別れの朝に、旅立ちの朝に。
  鹿児島市 吉松幸雄 2013/3/19 毎日新聞鹿児島版掲載

こんにちは

2013-03-19 11:54:32 | はがき随筆
 いつも夕方、歩いている。数日前も歩いていたら、1人の女子高生が自転車で帰宅しているのに出会った。風上に向かって体を揺すってこいでいた。私は声をかけず黙ってやり過ごそうと思っていた。ところが、大声で「こんにちは」と言われた。私は気勢に押され、返事をするのがやっとだった。彼女は何事もなかったかのように去っていった。きっと家庭のしつけと学校の教育がいいのだろう。苦しい体勢のままで自然に挨拶できた彼女は立派だった。私は恥じ入る思いをしたが、心は暖かくなり、元気をもらった。「ありがとう」「さようなら」
  出水市 畠中大喜 2013/3/18 毎日新聞鹿児島版掲載

小さな友

2013-03-19 11:30:38 | はがき随筆


 寒風は野鳥を連れてくる。どこに餌はあるのだろう。私はミカンや焼き芋を庭に置く。しばらくしてなくなっている。
 中にはあいさつしてくれる鳥もいる。本当です。庭でも畑でもわざわざ近くに寄ってくれてエールをくれる。尾羽と頭を直線にして添水のように傾けてクックッと鳴く。よく目も合う。ジョウビタキです。翼におしゃれの白斑をつけている。
 鋤で畑を打っているといつの間にか姿がある。小さなクモなどが好物と聞いている。
 遠い昔から彼らの祖先と我々の祖先はこうやって、よしみを深めあってきたのだろうか。
  出水市 松尾繁 2013/3/15 毎日新聞鹿児島版掲載

「子育て卒業式」

2013-03-19 00:36:39 | アカショウビンのつぶやき
2013年3月18日 (月)

山陽小野田市  会 員   河村 仁美

3月は卒業式シーズン。娘も社会人となり無縁と思っていたら、結婚式は親にとっても子育て卒業式という大きな意味を持つ大切な日と聞いた。
 小学校卒業の時には「親子の心むすびを心を込めて結び続けた6年間。美しく結ぶという腕前には、まだほど遠いが崩れることなく卒業を迎えられたことに母親として喜びをかみしめている」とメッセージを送った。
 子育て卒業にあたり感謝されたのは、写真整理大好きな私が作った子供の数冊のアルバム。いっぱいあってうれしいと披露宴用の写真を選ぶ娘を見ていたら、寂しさより楽しみになった。

   (2013.03.18 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載

春のたよりでーす

2013-03-17 19:47:06 | アカショウビンのつぶやき


西之表の友人から今年もそら豆が届きました。
今年は、そら豆だけでなくはおまけ付き!

パッションフルーツと、
パッションフルーツのジュースが入っていました。
とっても美味しいジュースです。

去年は天候不順で収穫が激減だったそうで、久しぶりのそら豆でした。
これから、友人にお裾分けです。

皆さん楽しみに待っててくださるのです。

おひな様今年も

2013-03-17 19:32:09 | はがき随筆


 3月1日に、おひな様をようやく飾った。2月半ばを目標にしていたが、多事多忙で機を逸した。
 庭では岩ツツジ、菜の花が満開になった。花に促され、雨の午後、段を素早く組み、顔を覆った紙を外して飾りながら「ツツジがこのように満開になりました。ご覧ください」と声をかけた。
 すると「まあ、お見事」「おお満開じゃのう」とささやきが聞こえるよう。
 飾り終える寸前、孫も来て手伝ってくれた。ありがとう。桃のつぼみも紅をさしている。飾ってよかった!
  鹿児島市 東郷久子 2013/3/17 毎日新聞鹿児島版掲載

教え子の夢

2013-03-17 19:25:04 | はがき随筆
 気難しそうだったが、個性的だったT君。同窓会に、理科担当の私まで招かれたが、T君は2回とも顔がみえなかった。「T君はどうしているんだろうか」と尋ねると「行方不明だそうです」と話す同窓生。一瞬、私はぼうぜんとなったが、彼の思い出が浮かんだ。美術の手伝いで、よく観察して描いたら、と注意すると「じゃ先生が描いて見せて」と、すぐ反発したT君。何回か相手をして遊んだ将棋好きだったTくん。彼は、今どこに? なんと20年ぶりに、T君が植物の新種を持って夢の中で私に会ってくれた。つかの間、私はうれしかった。
  出水市 小村忍 2013/3/16 毎日新聞鹿児島版掲載

小さな真実

2013-03-14 18:05:51 | はがき随筆


 私の家は海抜90㍍の畑作地帯にある。季節になると1㌶近いキャベツ畑が並ぶ。春と秋に収穫されている。それらのどの玉にも虫穴がないのだ!
 「小さなものの中にこそ真実がある」。京都大原に住むベニシアさんの言葉を思う。虫を見つけては取るのに、たった10株の妻のキャベツは穴だらけだ。約3アールの無農薬栽培の妻の畑では真っすぐな大根が育つ。15年に及ぶ妻の努力の結果である。「普通の品種と違うんでしょ?」。妻の穴あきキャベツを食べた人は、その味に驚く。
  出水市 中島征士 2013/3/14 毎日新聞鹿児島版掲載

栄光に向かって走れ! 尚志館高校

2013-03-13 22:00:03 | アカショウビンのつぶやき




 鹿児島県、大隅半島から初めての甲子園出場を決めた
鹿児島県志布志市の尚志館高校
県予選では数々のピンチを好守備などチームワークで乗り切り、
鹿児島実業や神村学園の強豪校を破って台風の目になった。……
3月13日毎日新聞鹿児島版より

尚志館高校の野球部員26人全員が
大隅半島の全自治体にあたる4市5町の出身者。
純大隅チームである。
そして我が鹿屋市出身の部員が7名いる。

いまに至るも野球音痴のアカショウビンですが、
「キバレ!」
と黄色い声で声援を送ろうと思っています。


はがき随筆 2月度

2013-03-13 21:51:17 | 受賞作品
 はがき随筆2月度の入賞者は次の皆さんです。(敬称略)

【月間賞】24日「恋文」井尻清子(63)=出水市
【佳作】21日「夢に見た帆船」鵜家育男(67)=鹿児島市
【佳作】23日「僕は野良猫」鳥取部京子(73)=肝付町

 恋文 亡き夫君への文字通りの恋文です。それも、なんの恥じらいもなく、というかあっけらかんとというか、これほど率直な恋情慕情愛情の吐露は、読む人の照れくささを吹き飛ばしてくれます。それにしても、人が人を死後までも恋い慕うというのはむしろ不思議な気もします。人間の情念の謎に思い至らせてくれる文章です。
 夢に見た帆船 太平洋の白鳥と呼ばれる日本丸を見に行った時の印象記です。その外観の美しさが、海賊船やシルバー船長などの活躍する空想の世界に連れ込んでくれ、まるで少年時代にもどったような気分になったというものです。いくつになっても、少年時代の好奇心と憧憬とをもち続けるのは素晴らしいことですね。
 僕は野良猫 野良猫に対する、愛情あふれた文章です。それが、野良猫の視点から書かれているところが、優れた文章になっています。野良猫が「奥さん」に「随筆に書くよ」と言われ、逃げ出したというところは、筆者の手の内をわざとさらすことで、文書を重層的にしています。
 この他に3編を紹介します。
 新川宣史さんの「決められた道」は、中学校の学芸会で、自分は郵便局員、友人は教員の役を演じさせられたが、後に2人ともその職業についていたという不思議が書かれています。それは先生の先見の明だったのかどうか、今は尋ねる術もない。清水昌子さんの「女正月」は、正月の忙しさをねぎらうための女性だけの慰労会、その女正月を再現させての小旅行の報告です。しゅうとめとの関係に苦労した話が盛り上がるなか、自分は嫁を大切にしているという互いの「自慢話」になったというのが、なんともおかしい文章です。中田輝子さんの「ひったまげたなあ」は、84歳になられる小学校の担任の先生が、菜の花マラソンを完走されたことへの驚きの文章です。8時間、1万3000番、自分に褒美などの恩師の電話の言葉は感動的です。要所に薩摩方言を混在させたために、文章が生きてきました。
  鹿児島大学名誉教授・石田忠彦