カレー臭は加齢臭 ５０７号

「カレー臭がする」
「カレーは食べていない。焼肉を食べた」
親父と娘のこんな会話で、親子の断絶が始まる。

親父がカレー臭で思い出すのは、子供の時にラジオから流れたＣＭソングである。

懐かし～い　懐かし～い あのリズム　エキゾチックな あの調べ　オリエンタルの謎を秘め　香るカレーよ　夢の味　嗚呼夢のひと時　即席カレー　君知る～や　君知る～や　オリエンタルカレー。

娘の言うカレー臭は中高年特有の体臭で化粧品メーカーの研究所が加齢臭と命名した。男女共に発生させる悪臭であると断定する独断と偏見が商売に繋がり利益を生む。高学歴社会は奇妙な理屈を考え出す。

なりふり構わず生活資金を懸命に稼ぐ男に特有な臭いである誤解が蔓延している。

有閑マダムの女は、親父の稼ぎで、資生堂の香水をふんだんに降り掛け、香り豊かなフレンチのバイキングをふんだんに食べる華麗な活動が加齢臭を薄める。

そして女はますます精悍な肉食女性に、男はますます大人しい草食男性に特化する。

化粧品メーカーは加齢臭を賛美するＣＭソングを作成することが、親父の応援歌となり、閉塞感を打破し、労働意欲が向上し、景気も上向くかもしれない。金権の時代は終焉し、心の時代が到来した。それが日本再生のキーワード。

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