風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

混沌と秩序 152号

2007年08月31日 10時39分55秒 | 随想

ギリシア語で混沌や無秩序を意味するカオスは、ギリシア神話に登場する、混沌・混乱の神である。カオス神は厖大なエネルギーを使い、宇宙を秩序ある世界に変えて、今の自然がある。極めて遠い将来には、自然は崩壊して、混沌や無秩序の宇宙になる。

エントロピー増大の法則は熱力学上の法則で、秩序立った状態から無秩序の状態に移行するのが自然であるとする。進化が高度で調和の取れたものへの変化でなく、進化とは多様化・乱雑化であり、進化論は退化論なのである。

キリスト教の創世記によると、神に似せて創った人間は、長い歴史の末、万物の霊長の独善解釈で、地球(ガイア)を独占して、環境破壊をする極悪人になってしまった。

仏教では、若い男女が混沌・無秩序の時期を経て、結婚して愛の結晶である子供を授かり、その赤子が最高に秩序だった存在である。その赤子は、社会生活の生存競争で、加齢の度にカオス人間に変化する。人は仏様を内包しているとする性善説が仏教である。禅で奨める人間像は、純真無垢な赤子が理想で、偏りの無い、囚われの無い、拘りの無い、母親に任せきって生きる人間である。

カオス理論はほんのわずかな初期条件の違いが予想もつかないほど大きく違った結果を生む現象で、個々の現象は決定論的に予測できるが、総体としては非連続でバラバラな挙動を示し予測不可能なことを、簡単な方程式で書き表せる。

秩序維持のためのエネルギーは多くを必要とする。日本文化を守る、官僚機構特に国内の秩序維持を担当する警察、国際秩序を守る自衛隊の組織は巨大である。地球規模の環境を守るエネルギーは個人のささやかな行為の積み上げが、大きな成果になり現れる。日の出と共に起床して、日中に精一杯仕事をして、日没には就寝する自然と同化した単純な生活が、その方程式である。

刹那・一瞬の怠慢が将来に大きな影響を及ぼすから、一期一会を大切に考え、懸命にそして自然に生きるのである。「各人が獲得した何か偉大なものを信じ、任せきって生きれば、どうにかなる」というのが、人生の簡単な方程式である。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。