水にこだわる箱根大平台温泉姫の水を使用した辻国豆ふ店で絹・木綿豆腐は前回、今回は大豆にこだわる越中五箇山のとうふ工房・喜平商店の堅豆腐を土産にした。
大きさは同じであるが、箱根五百グラムで越中一キロ。水より重い大豆の割合が多いのである。
源平合戦で敗北し僻地に隠遁した平家の落人の山村、阿波祖谷や肥後五木村にも存在する石豆腐・岩豆腐。
急な坂道、凍った雪道、効率よく物を運ばなければならない。水は雨が運んでくれる、人間は豆乳凝固物を運ぶ事をもくろむ。従って水は捨てる。
煮物にすれば出汁を吸収して軟らかい豆腐に戻り、胡麻油で炒め物、囲炉裏であぶり味噌を塗れば田楽の完成。便利は人間を堕落させ、不便は発明の母。
権力闘争に敗れたことが、心豊かな人間を生む。負けるが勝ち、敗北が価値を生む。