風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

エネルギーは仕事する潜在力 374号

2008年10月03日 15時02分44秒 | 随想
動物は食料を得る為に仕事をする。吸気の酸素で食料を体内で燃やし、水と炭酸ガスを呼気として排出してエネルギーを獲得して活動する。

植物は炭酸ガスと水を原料として、太陽光線のエネルギーによる光合成で炭水化物を合成し、動物の活動エネルギーになる。光合成と呼吸はちょうど逆の反応である。

動物と植物の活動が均衡すると、永遠に持続可能な生態系が維持されるのが、エネルギー保存則である。

植物の状態は価値の高いエネルギーを内蔵しているが、水や炭酸ガスになるとエネルギーが少ないことをエントロピー増大則という。

水が零度になると固体の氷に成る様に、全ての物質は絶対零度でエネルギー状態が最低になる。以上は熱力学の3法則である。

太陽エネルギーが根本の潜在力であるから、神道では天照大神、仏教では大日如来と命名して崇め奉る。
 
万物の霊長である人間は、唯一「火」を使う生物である。炊事に利用して貪欲に動植物を食いまくり、寒気から身を守る。

人間が生命を維持する為に、生物を体内に取り込む崇高な酸化反応が必要不可欠である。18世紀に始まった産業革命の蒸気機関は、経済発展が文化の名目で、化石燃料を燃焼させるエネルギーの大量浪費をしている。そして自画自賛しているが、生物の論理からすると全て無駄なエネルギー利用である。

日の出と共に活動を開始し、日没と共に就寝し、日中に農作業の合間に世間話をして必要な情報を収集し、農作業で遊べれば、文明の利器はすべて無用の長物になる。物欲中毒の現代人はエントロピーが増大し単純になっている。情緒が解り、義理人情の繊細な心が多量のエネルギーを保有している。

200年を費やして西洋科学主義の極限の山頂に到達した人間は、竿頭進歩の禅語に学び、東洋自然主義の麓を目指して山を下り歩きだすのが、農耕民族の本能である。己唯足知(己唯足るを知る)の清貧な心が人類存続のキーワードであると思うのである。

物欲社会の優等生のエネルギー効率は極めて悪く、無駄という廃熱となって宇宙に飛散して、絶対零度に向かって高速運転している。そのブレーキは自然と共生し、山川草木一切有情に目を向ける日本人の心であると思うのである。

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