風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

潜水艦は海中飛行機 176号

2007年10月05日 11時35分45秒 | 紀行文
四国一人旅の時に訪れたのである。海上自衛隊呉史料館てつのくじら館と大和ミュージアムの開館時間は9時である。てつのくじら館に開門前に並んでいたら、5分前に入場でき、一番乗りである。
潜水艦と掃海を展示する国の施設だから無料で、目玉は3年前まで現役であった、潜水艦「あきしお」の内部を見学出来る事である。

狭い。とにかく狭い。閉所恐怖症の人は耐えられない。禅の言葉に「座って半畳、寝て一畳、天下とっても4畳半」があるが、乗組員のベッドは半畳である。座ることは出来ない。隙間が70cm程度なのだから。天下を取った艦長の部屋が4畳半程度である。寺では、草取りをする作務で気晴らしが可能であるが、魚釣りで気分転換は不可能な職場である。乗組員には禅僧に勝る精神力が要求される。禅寺より酷い環境である。

水上艦艇は2次元の平面移動であるが、潜水艦は海中を3次元で移動するから、空中を移動する飛行機と同様に、高度の技術がいる。

隠密行動が最高の武器なのであるから、音を出したら相手に探知されてしまう。静粛は禅寺と同様に重要な作法である。

水中のエネルギー源は、電池と圧搾空気である。高圧空気の配管が壁に張り巡らされていて、狭くする要因である。充電するのはジーゼルエンジンで空気が必要であり、排気ガスを排出する為、及び空気を圧縮タンクに取り込む為に浮上しなければならない。永久に潜っている事は不可能である。水上艦艇は水中に没すると事故であるが、潜水艦は浮上できないと事故である。

安全を確保する為の武器は急速に発展するから、寿命が短い。出光丸が40年働いたが、「あきしお」は半分の20年で退役である。国防には金が掛かる。経済戦争に敗れて、金が無く危険な国になったら、どうすれば良いのか。

歴史の教訓に学べば良い。平家落人の里に居候して、農業に励めば生きていける。それでも駄目なら、死ぬだけである。未知の世界を妄想して怯えるより、今なすべきことに没頭するのが、人の道である。

直ぐ近くの大和ミュージアムに500円支払い入場した。戦艦大和には楊貴妃やクレオパトラに似た、妖艶な美しさがある。人間集団の狂気の作品の臭いがする。恐ろしくなり、早々に退散して、JR西日本呉駅10時33分発の列車で岡崎への10時間の旅を開始する。


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