風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

映像は真実を写しているだろうか 485号

2009年03月10日 05時50分57秒 | 随想
ハロゲン化銀に感光させる写真。光の三原色の赤・緑・青に対応する感光層を重ねるドイツのアグファやアメリカのコダックのカラーフィルム。

写真は現実を忠実に記録する芸術だった。過酷な自然を踏破した末の写真。其処には制作の苦労話が内包され、人々に感動を与える。

電子技術の発展は、デジタル画像を可能にした。そしてパソコンとの連携で如何なる画像も、家庭で手軽に創作できる。昔の写真と現代の画像は似て非なる物である。映像には写真と画像がある。

実在の現象記録なのか、合成写真なのか。裁判所はデジタル画像を証拠に採用しない。

一枚の写真からドラマを読み取れた昔の懐かしい写真。現代のデジタル画像はまず事実関係を調査しなければならない。

真実なのか贋物なのか。エアバスA380は欧州の巨大飛行機で、このデザインは試作機である。この時期に試作機体が何機だったのか、4機存在したのだろうか。他の情報を検索して映像の真贋を懸命に調査する。

試作機は5機製造された記事を発見する。写真の様で、贋画像ではない。昔、民間航空機が雁のV字で飛ぶコンピュータ画像に騙された経験がある。

現代の映像社会は贋物が氾濫している。見抜く為には、自分が主役になって判断しなければならない。たまたま見た美しい映像が動機付けになり、現場に足を運び、自分の網膜に焼付け、心に感動を獲得するのが旅の醍醐味である。

昔の中国の禅僧の瑞巌和尚は、毎日、自分を「主人公」と呼び、自分で「ハイ」と返事をする。「寝ボケていないか」「ハイ」「人に騙されなさんなや」「ハイ、ハイ」は無門関第十二則。

物欲の潮流の激しい現代社会は、確固たる信念で行動しないと、自律神経失調症に掛かる。その良薬は、人生は苦しい筈と思うことである。



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