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デンマークのアンデルセンの童話、「醜いアヒルの子」は大人になったら美しい白鳥だった。
ある概念では劣っていても、別の概念では称賛される存在である事を述べているのであり、大人は忘却の彼方に行ってしまった話だろう。「醜いアヒルの子」は排除するのが大人の態度なのだろうか。
渋柿は甘くないから食べない、渋柿の市田柿は「醜いアヒルの子」だろうか。
食糧難で飢餓を回避する為に創意工夫をした先人の智慧が干し柿だろう。渋み成分を除去する方法が皮を剥き、時間をかけて天日干しにすることであることを試行錯誤の末に獲得した。
老婆は「人事を尽くして天命を待てば、渋みが甘みに変わる」と文学的表現をするが、学者の科学的見解は「渋み成分の水溶性タンニンが長時間空気にさらされる事で酸化され不溶性タンニンに変化し、唾液で溶ける事が無くなるので渋みが感じられず、甘柿より甘い渋柿の特性が出現する」
貨幣万能社会に毒された現代人は利害得失を優先し心の余裕が無く結論を急ぐ為に、物事の現象を掘り下げて観察するのが苦手の様である。
豊かさの頂点を極め下山の時に生きる人類は既成概念では日陰者に目を向け、太陽の光を当て、その隠れた優越性に目を向け、新たな価値観を発見するのも選択肢だろう。