やまめの庭つくり

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川端龍子の庭

2009-07-28 | 庭園見学
先日の日曜日,午前中から34℃sunsunでした.

そんな日ですが,久しぶりに庭園見学に行ってきました.

JLFのランドスケープを読み解く会,今回は芸術家が設計した庭や建築物から,その作品と造園センスの関連性などについて鑑賞する・・・・という目的です.

今回の芸術家は「川端龍子(かわばたりゅうし)」.

近代日本画の巨匠です.

実は知らなくて,恥ずかしながら「かわばた たつこalienquestion」だと思っていました.

場所はJR大森駅西口から付近一帯を馬込文士村として,昔の文化人がたくさん住んでいた地域の一角です.

荏原台という浸食の進んだ古い台地の裾野近くをアップダウンを繰り返し1時間ちょっとかけて歩きました.

道を挟んで左が龍子記念館(美術館),右が住居とアトリエです.

住居とアトリエは11時,1時,3時の3回だけ,龍子記念館の職員の方のガイドで見学することが出来ます.



色々と龍にまつわるシャレが効いているのですが,庭園入り口から続く石敷きのアプローチも龍の胴体のウロコに見立て,そこを歩いていくと庭園奥の龍の身体の内部に誘われる趣向になっています.



龍子は,丸と四角と三角で形の基本が成り立っていると考えていたそうで,一番最初に見る手水鉢はこの丸,四角,三角で出来上がっています.

どこが三角か分かりますか??



アトリエも住居も龍子の設計だそうですが,建築に関する勉強は一切したことがなかったとのこと.

網代編みの軒が大きく張り出した数寄屋建築,という表現になるのでしょうか.



アトリエは60畳ほどの広さで,とても大きなガラス戸ぐるりと入っているので,軒が深くても室内はとても明るい感じでした.

天井のデザイン,素材,照明器具まで,あらゆるものをオリジナルでデザインしたということでした.

究極の注文住宅ですよね~yellow22symbol5





ガイドさんが,非常に熱心に建築の方の説明をして下さったので,ついつい庭を詳細に見る余裕がなくなりましたが,下草と中木で構成される自然風の庭だったと思います.

園路も玉石などを歩きやすいように敷き,下草には野草を多く植えていたようです.

やはり,画家だったので,室内から見える景色にこだわりがあったようで,鎌倉時代の石塔や,自らデザインした手水鉢など部屋から眺めて,まわりは気持ちの良い緑の世界を作っていたのかなと思いました.


down住居.

ここには俵屋宗達筆の桜芥子図襖が使用されていて,昨年11月に上野で開催されていた大淋派展に貸し出されたそうです.

やはり,龍子も昔の経済人達のように数寄を好み,日本の文化的な遺産を守っていこうという意識があったのか?

よくわかりませんが・・・alien



龍子は,カッパシリーズや龍のような空想の生き物を活き活きと描く人だったようで,どこかユーモラスな感覚を持っていたような印象を受けました.

それは,龍子が設計した記念館が,上から見るとタツノオトシゴを意識した形になっていることにも現れています.

down龍子記念館.

生存中にこれだけ立派な記念館を建てられるなんて,本当にすごい巨匠だったんですねyellow25symbol6



現在はカッパシリーズを中心に企画展示されていますが,他にも力強く躍動感のある作品を沢山遺しているので,またいつか見学に行きたいなと思いました.



upカッパが自分のヘアスタイルとパイナップルのヘタが似ているということでまじまじと見つめている様子.