韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

日韓両生類共同モニタリングが行われました!

2011-09-01 02:19:27 | 環境保護&エコツアー(2011まで)

 8月24日から28日までの5日間、韓国の環境NGOのグリーンコリアと日本自然保護協会(NACS-J)の両生類共同モニタリングが、日韓文化交流基金の助成のもと、行われました。今まで環境保護や自然保護の交流プログラムにはかなり参加していますが、両生類はほぼ初めて。とても勉強になった共同モニタリングでした。

 初日はキンポ空港からスタート。日本からの参加は、自然保護協会のメンバー4人とトウキョウサンショウウオ研究会の川上さん、北方生物研究所の植田さんの6人。韓国側がグリーンコリアのソ・ジェチョル局長とボランティアのジン・ヒョジンさん、ボランティア・ドライバーのジェゴン君、そして通訳&コーディの自分、合計10人。今まで下準備をしてきたグリーンコリアのボラムさんは、ゴルフ場建設反対の活動のため参加できず、残念。

 12人乗りのワンボックスは荷物があるため、ぎゅうぎゅうです。一番最後のシートの植田さん、ご苦労様でした。ということで、車は一路、ソクチョ(束草)へ。途中、インジェ(麟蹄)で五日市(5日ごとにたつ伝統市場)を見学してから、ソクチョへ。宿舎は台所がついているコンドミニアムタイプ。これで、あしたのおにぎりが作れます。

 

左からカエルを捕まえる’職人’の植田さん、NACS-Jの出島さん、ボランティアのジンさん。

これは、何のカエルかな? とにかく最初に見つけたやつです。今回のモニタリングで、植田さんの職人芸はすごかった。あっというまに、カエルを捕まえるのですから、すごい!

左から、NACS-Jの小此木さん、ジンさん、NACS-Jの福田さん(今回の責任者=団長です^^)、カメラを構えているのがグリーンコリアのソ局長。植田さん、NACS-Jの朱宮さん、図鑑を持っているのが(たぶん)川上さんです。

ヘルメットに採集用網と、<完全武装>の川上さん、本職は自然保護関係のライター&絵師です。後ろで、ソ局長がなにか一生懸命話していますが、何だろう。

これは日本にいないカエルですね。韓国ではムダン・ケグリといいます(日本語ではスズガエルというそうです。)

渓谷の石の下にいるサンショウウオを探しているソ局長。結局、この日はハコネサンショウウオ1匹と普通のサンショウウオの赤ん坊2匹と探し出せました。

この渓谷の下をソウルーソチョ間の高速道路のトンネルが通り、環境の悪化が心配です。この現場のあと、トンネル工事現場の責任者と会って、いろいろ話を聞きました。長さ12キロ近くの巨大トンネルですが、環境への影響について共同調査が行われているそうです。この件、ちょっと注目なので、調べて見ます。(続く)


日韓田んぼの生き物調査交流会の報告 その3

2011-08-13 02:16:34 | 環境保護&エコツアー(2011まで)

 交流会が終わってから、翻訳の仕事で身動きとれず、ブログの更新もできないでいました。「現代日本生協運動小史」という本で、日本語を韓国語にするので大変です。ネイティブチェックも必要ですし。翻訳しながら、日本の戦後史の勉強をしているわけで、いろいろ考えさせられることが、たくさんありますね。いずれ整理してみましょう。

 ということで、生き物調査交流会の最後の報告です。

午前中の調査を終え、午後は各地の報告です。会場は環境農業学習館です。

NPO法人田んぼの岩淵先生の報告。津波の被害を受けた田んぼの再生プロジェクトです。

夜は交流会。結婚式場を会場にして、盛り上がりました。日本チームも、<ふゆみず田んぼの歌><手のひらを太陽に><ふるさと>の3曲を全員で合唱しました。やはり、<手のひらを太陽に>は生物多様性の歌ですよ。生き物調査のテーマソングにしたいですね。

最終日、挨拶をする呉地さん(ラムネット共同代表)。ラムサール条約や生物多様性条約での<水田決議>の立役者です。

最後に、iCOOP生協のメンバーからプレゼントをもらう岩淵先生。

これはどこのグループかな。たぶんハンサルリムという生協の人たちです。

最終日、ホンソンの有機農業や協同組合運動の拠点のひとつ、プルム学校の見学をしました。全校生徒100人もいない、とても小さな農業高校ですが、韓国中から注目を浴び、いまでは入学試験も5倍の競争率だそうです。

学校の中での記念写真。この建物、実は男子寮です。(冬は寒くて大変だそうです)

この建物が通常の授業をする校舎。これ以外にも、食堂や実習棟などあります。

このビニールハウスは1年生の実習用。また、最近は障碍をもった子供の実習場所にもなっています。

どこで撮ったか忘れました^^; たぶんプルム学校の専修過程の校舎です。専修過程とは農業を本格的に生業にしようとする人たちが勉強する2年制の学校。今回、生き物調査をしたシムさんも、ここで農業を勉強したそうです。

これ以外にも、ホンソンにはプルム学校から芽生えたさまざまな共同体や拠点があります。ぜひ日本に皆さんにも直接見ていただければと思います。10月ごろ、ぜひツアーをしたいと考えていますので、よろしくお願いします!

4時半ごろホンソンを出発、ソウルへ。中央のバス専用レーンのおかげで7時ごろにはカンナムホテルに到着。8時ごろからホテル近くの食堂で、大宴会! 今までホンソンではほとんど肉を食べなかったので、皆さんサンギョプサルやカルビを存分に食べ、マッコリを飲んでいました。(ちなみに、それでも1人前3万ウォンですみました)

次の日は帰国の日。昼間の便の人とはホテルでお別れ。国立中央博物館を見学した後、秀明のかたがたが帰国のためにソウル駅で下車。残りのメンバーで広臓市場(クワンジャンシジャン)でショッピング&お昼&マッコリ・タイム。みなさん、ご苦労様でした。また来年会いましょう。最後に、市場での写真を2枚ほど紹介しましょう。

 

 

 


日韓田んぼの生き物調査交流会の報告 その2

2011-07-30 11:18:52 | 環境保護&エコツアー(2011まで)

 韓国で集中豪雨をもたらした雨雲が日本へ移動して、新潟や福島では大雨だそうで、ちょっと心配です。新潟のささがみ農協の方、佐渡の皆さん、南相馬の方、みなさん大丈夫でしょうか。この豪雨については、あたらめてコメントすることにして、先週の交流会の写真をご紹介します。

 オープニングは<ホンソン農業技術センター>で行われました。韓国の自治体にはこのようなセンターがあり、農業技術の教育やIT教育や料理教室などが運営されています。

 オープニングの後の夕食、メニューはビビンパ。岩淵先生、佐渡の斎藤さん、大井さんの姿が見えます。食べ終わったころに、オリザネットの古谷さんと東大の棚田さんが無事に到着。

夕食の後、3つに分かれて分科会。僕は通訳で<カエルの調査>。というよりは観察会でした。場所は、ホンドンのムンダンリにある<環境農業教育館>の周辺の田んぼです。

田んぼがあると、すぐ近くに行く仲間たち。降りようとしているのは京都大学の向井さん。 

 暗くなるまで、PPTで韓国のカエルのお勉強。メンコンイ(ジムグリガエル)に人気が集中。日本雁を保護する会の呉地さんも、かわいいと気に入った様子です。

 ビニールの中のメンコンイ。やっぱり写らないですね。

 さて翌日は5つのグループに分かれて、生き物調査へ。写真はささがみ農協の荻野さん。

 僕のグループは<1㎡定量調査>。ホンソンで農業を始めて4年目のシム・ジェウォンさんの田んぼで調査です。

 ホンソンは韓国で初めてカモ農法を実践したところ。現在でも20%がカモ農法。70%がジャンボ・タニシ、残りの10%が生物多様性農法。

 生き物調査へ向かうオリザネットの古谷さんと宮城の青木さん。

 

 右に移っているのがクォン・ヘギルさん、今日のリーダーです。ホンソンのプルム学校の卒業生です。

 こうやって1㎡の広さを決定します。

 いっしょに生き物を調べているのが大井さん、佐渡生きものがたり研究所の仲間です。

 田んぼの横の小川で足を洗う。数日前の大雨で川底の砂が流れ、コンクリートをうった川底が見えていました。

 シム・ジェウォンさんの番犬。北朝鮮産の固有種です。

 生き物の分類をしています。

 シム・ジェウォンご夫妻。シッケ(お米ジュース)、マッコリ、カムジャジョン(ジャガイモのチヂミ)

 マッコリ、おいしいですね。

 ほかのチームのメンバーもやってきて、あっという間に大混雑。

 調べた結果を、シートに記入します。

 シャーレに分類された生き物たち。

 これが有機農業認定の看板。

秀明自然農法ネットワークの酒井さんと、ささがみ農協の荻野さん。

 生き物調査を終えた舟橋先生。埼玉でサギの保全運動をしています。

 京都大学の向井さん。やはりフィールドの研究者、足元は地下足袋でした。

荻野さんと古谷さんのお二人も、生き物調査ファッションが似合っていますね。

というところで、続きます。


日韓田んぼの生き物調査交流会の報告

2011-07-29 03:20:33 | 環境保護&エコツアー(2011まで)

 ようやく雨も小降りになってきました。

 田んぼの生き物調査交流会が終わったとたん、今週の火曜日からバケツをひっくり返したような大雨で、ソウル市内の山崩れの様子は日本でも大きく報道されたと思います。この山、行ったことのある山で(山というより公園に近いのですが)、こんな大惨事が起きるとは、驚きました。

 さて、先週の木曜日から3日プラス1日で始まった<生き物調査交流会>、日本からの参加者は28名。農家、研究者、NGOメンバー、生協&農協職員と、バランスのいい構成でした。農家は、佐渡、新潟ささがみ農協、福島県南相馬、秀明自然農法、兵庫県豊岡と農家を見ても、バラエティーに富んでいました。いつものことですが、通訳でどたばたしていて、皆さんとはあまり話ができず、もったいないことをしました。

 初日の関門は何と言っても、全員無事に揃うかどうか。とくに、一人で来たことのない方や、集合時間より遅く着くため、鉄道で現地入りする人もいて、若干心配でしたが、一人の脱落なしで全員集合。呼びかけ人の岩淵先生といっしょに、ほっとしました。

 今回の<生き物調査交流会>は初日の夜から農業技術、調査技術、カエルの観察の3グループに別れ、討論や観察を実施。通訳でカエルグループに入りましたが、はじめて<メンコンイ=ジムグリガエル>をみました。小さくて、なかなか可愛いカエルですね。田んぼに行き観察をしましたが、カエルの数を数えるのはやはり無理ですね。定量調査をするのなら、やはり産卵期の卵の調査をきちんとやらないとだめでしょう。その上で、おたまじゃくしの調査ができればいいのですが、どなたか良い方法を教えてください。

 2日目の午前中は5つのグループにわかれ、田んぼの生き物調査へと出発。僕のグループは<1㎡定量調査>。写真(あしたアップします)でわかりますが、1㎡の枠の中の生き物を捕まえて調査するのですが、どのくらいアミですくったのか、忘れてしまった! これが定まった回数や量でないと、データは比べられなくなりますね。どう、やっていたかな・・・(続く)


ホンソンで電子出版を考える

2011-07-05 03:45:23 | 環境保護&エコツアー(2011まで)

 7月21日から行われる日韓田んぼの生き物調査交流会の会場となるホンソンの街に行ってきました。ここには有機農業や<対案教育>で有名な<プルム農業高等技術学校>があります。この日は交流会の打ち合わせのために行ったので学校を見学することはできませんでしたが、<環境教育院>や<プルム生協>などは見ることができました。

 佐渡に言ったときも感じたのですが、有機農業をしている地域はきちんと整理整頓されているな、言い換えると、なければいけない所にちゃんとそのものがある、という感じが田んぼから伝わってきます。僕の個人的な思い込みかもしれませんが、そんなエネルギーというか雰囲気というか、あるんですよね。

 ほんの数時間の滞在だったので知ったかぶりはよして、ひとつ思ったことを紹介します。どなたか、いいアイデアがあれば、教えてください。

 きっかけは、ホンソンのプルム学校を紹介する小冊子を見たからで、文庫本程度の本ですが、この地域にある関連施設が写真と文章で紹介されています。1ページに200から400字ぐらいで200ページぐらいの本です。

 これを翻訳して日本に紹介することはできないだろうか、紙媒体では経費的身難しいので、電子出版形式にして、たとえば500円ぐらいで1000人が見て、50万円。50万円あったら、翻訳料(僕がやるのですが)が30万ぐらいで、電子出版のHP維持費や編集費などの制作費が10万円、著者に印税で6%で3万円か・・・。

 たとえば、これを協同組合形式にして、語学能力があっても活用していない人(結構いるはずです)たちが集まって、自分の得意な分野で、紙媒体では採算に合わない書籍を翻訳出版していく。コアな読者を組合員にして、組合費で電子書籍の編集とHP運営や維持管理、営業などをしていけば、無理でしょうか? 

 まあ、組合形式が不可能なら、自分ひとりで個人出版社をやればいいのであって、1年に数冊、翻訳して、その中で1つぐらいヒットがあれば、どうにか維持できるのではないかと想像しているのですが、どなたか、この分野に詳しい方、アドバイスをお願いします。また、こんな本ならお金を出して読みたいというのがあれば、教えてください。


ナクトンガンの橋が流される!

2011-06-26 01:13:26 | 環境保護&エコツアー(2011まで)

【漆谷=ニューシース】「慶尚北道の漆谷(チルゴク)にある”護国の橋”崩壊は 4大河川整備事業で無理な浚渫作業をして、梅雨で増水したナクトンガンの早い流速に橋脚が耐えることができなくて崩れたのだ。」

 25日午前 4時10分頃、慶北漆谷郡若木面(ヤンモクミョン)の '護国の橋’(昔のウェガン鉄橋)'が梅雨で増水したため、 80余m ほど橋脚が崩壊する事故が発生し、漆谷郡民たちの声が厳しくなっている。

 '護国の橋'と呼ばれるこの鉄橋は、 1905年長さ 469m, 幅 4.5mに建設され、 106年の歴史を誇り、 2008年には文化財にの指定された橋だ。

 そんな歴史のある橋が、 100ミリ程度の雨で流されたことに関連して、漆谷郡民たちは 「今回の事態は、 4大河川事業での浚渫がもたらした明らかな人災だ」と言い、「洛東江の橋梁補強工事をしながら、全部の橋梁を補強しなかったため、今回の事態が発生した」と言い、戸惑いを隠すことができないという反応だ。

 事故が発生するとこの日、午後 1時頃洛東江 24工区で開かれた「橋脚遺失被害状況及び対策記者懇談会」でキム・ソクヒョン釜山地方国土管理庁長は「洛東江の浚渫をしながら 3, 4, 5, 6番橋梁に対しては補強工事をしたが、崩れた 2番橋脚は今度補強工事をした浚渫ライン計画から除外した区間」と説明した。

 大宇建設のチ・ドクチン所長は「橋梁が 100年が過ぎたということはとても古い」と言いながら「水が引けば、綿密な分析と原因分析を通じて崩壊原因が明かになる」と言った。 警察は工事関係者に対して、正確な事故原因を調査中だ。

------------------------------------------------------

 すごい事故が起きました。幸いなことに、この橋は観光用の橋になっているようで、朝早かったため人命の被害はありませんでした。テレビではあまり詳しく報道していませんが、たぶん他の地域でも危ないところがたくさんあるはずです。考えてみても、5~6メートル浚渫すれば、川底の中にあった橋脚の根元部分が、宙に浮いたり、川底部分が短くなったりして、橋に影響があるのは当たり前です。南ハンガンの支流でもそんな橋を見ました。

 また、本流を浚渫しているわけですが、支流との合流点て段差ができます。まあ、滝みたいになるわけで、この部分が川の水の勢いでどんどん削られて行きます。今後、こんな合流点でどんな事故が起きるか、僕には予想がつきませんが、まあ、大変なことになりそうです。たぶん、こんなところから堤防の決壊がおき、あるいは川がふさがれ水が溢れたりとかするのではないでしょうか。

 どちらにしても、今年中に完成予定の4大河川整備事業。まだまだ、予断を許しません。

 

 

 

 


韓国でトキが絶滅危惧種に登録されました!

2011-06-22 02:19:00 | 環境保護&エコツアー(2011まで)

SBSニュース

うれしいニュースです。2008年から人工増殖を行っていた韓国のトキが、絶滅危惧種のリストに入ることになりました。これで、野生復帰のための本格的な取り組みが可能になります。いままでは79年以降、確認されていないため、すでに韓国からはいなくなったため、リストにも入っていませんでした。

2008年に中国から来た1番が合計13羽に増えましたが、これは韓国のトキと同じ種だということを、韓国の環境部が認めたことになります。また、野生復帰のための条件つくりなど、これから環境部の予算も使えるようになります。これで、ようやくスタートラインに突きましたね。これからが野生復帰のためのながい取り組みになります。


田んぼの生き物調査交流会へ来ませんか?

2011-06-05 10:21:01 | 環境保護&エコツアー(2011まで)

 7月21日から24日の4日間、今年も<日韓田んぼの生き物調査交流会>が行われます。今回は韓国での開催で、忠清南道のホンソンという田舎街で行われます。

 このホンソンには、プルム学校とい有機農業を地域ぐるみで行っている学校があります。日本からも訪問する人が多く、こんなブログも見つけました。

大学人日誌・韓国プルム学校調査

 僕は一昨年の交流会に初めて参加し、田んぼの生き物調査を通して日本と韓国の中身がぎっしりとつまった交流が始まっているなという印象を受けました。2008年のラムサール条約の第10回の会議で<水田決議>が採択されましたが、お米を作り、同時に生物多様性も高くなり、山から里・川へ、里・川から海へという水の循環を湿地としての田んぼで実感しました。

 今回は、東日本大震災で直接被害を受けた宮城や茨城の方々も参加する予定です。地震や津波、そして福島原発の被害から田んぼや農業を、どうやって立て直してくか、とても難しい問題に直面しています。農家、有機農業関係のNGO、生協のスタッフなど、さまざまな方が参加されますので、興味のある方はぜひお問い合わせください。

 <<呼びかけ文>>

2011年第6回日韓田んぼの生き物調査交流会開催の案内
- 生命の地、田んぼへ行こう -

 韓国で田んぼの生きもの調査が始まって5年目になります。生物多様性の聞危機と言われる時代に始まった、田んぼの生きもの調査は、環境に配慮した農業が、ヒトや自然を守り、私達の希望となることを確認してくれました。  
 2010年に日本のコウノトリの街、豊岡で開催された第5回田んぼの生きもの調査交流会は、地域を支える自然の力や環境政策の大切さを認識する機会となりました。これまで、5回にわたって行われた韓日田んぼの生きもの調査交流会は、韓国の生産者や消費者にとって環境農業が向かうべき方向について見直すきっかけになり、田んぼの生きもの調査が、農村の再生において重要な実践の一つとして認識されることになりました。今年、第6回目を迎える韓日田んぼの生きもの調査は、韓国で始めて生きもの調査が行われた洪城で行います。これまでの取り組みや、成果を確かめるとともに、これからの田んぼやヒトとの繋がりについて語り合う場を設けたいと考えています。
 今回の田んぼの生きもの交流会では、まず生物多様性を育む稲作技術に取り組んでいる生産者、そして、田んぼの生きものや環境農業を知らせる調査活動、都市と農村を繋がる楽しい田んぼの変化。そして、田んぼの生きもの調査が持続可能な社会的実践になりうる方向について模索したいと考えています。環境や農業の発展のために日夜を問わず実践なさっておられる多くの方々にお会いできることを心より楽しみにしています。

◎問い合わせ先

「2011年第6回韓日田んぼの生き物調査交流会」 実行委員会
 〒989-4302 宮城県大崎市大貫字荒屋敷29-1  NPO法人 田んぼ
   TEL:0229-39-3212 FAX:0229-39-3212
    E-mail npotambo★yahoo.co.jp

 


再び、トキの島へ

2011-05-31 01:28:14 | 環境保護&エコツアー(2011まで)

 5月20日から2泊3日、トキの野生復帰に関する調査のために、再び佐渡を訪れました。昨年の11月の訪問のときは1泊2日という強行軍、そのうえ、2日目の夜は飛行機で名古屋に飛ぶという、かなりのハードスケジュールで、じっくり見たり、聞いたり、考えたりする時間がありませんでした。でも、今回は2度目ということもあり、また2泊3日という日程なので、精神的にも時間的にも余裕がある調査ができました。 今回も通訳しながらの写真撮影、飛び飛びでしか写していませんが、紹介しましょう。

 

 この写真は、最終日に<トキの森公園>に行く途中、道路脇の田んぼで餌を食べているトキを見つけて写したものです。ほんとに野生のトキですよ。僕たちが泊まって写真を撮っているので、地元の人たちも車を止めて見学していました。

 

 さて、お馴染みの交流会館でのパーティーです。前回は、斉藤真一郎さんから申し出があり、軽い気持ちで「お願いします」と頼んだところ、20名以上の大パーティーになりました。今回も、野生復帰ステーション、佐渡市役所、トキどき応援団、新潟大学などさまざまな人たちが集まってくれました。真ん中の左が佐渡市役所の池さん、隣が毎朝モニタリングをしている土屋さん。右には環境省の長田主席保護官、左には斉藤真一郎さんが見えます。

 

 今回の調査の目的はビオトープ(水のあるトキの餌場)巡りです。まず、到着した日の午後、新潟大の本間先生の案内で<キセン城>へ。ここは、30年以上も前に耕作放棄をした棚田があるところで、10年前から本間先生や新潟大のスタッフや学生が整備をしているところ。ほんとに、すごい山の中でした。

 

 これは、データを送るためのコンピュータや機械の電源用のパネルです。これで基本的な気象データを記録しています。

 

 これが機械のウラ。全部手作りだそうです。冬は雪がかなり積もるので、スノーモービルで来るそうです。

 

 こんな作業用の運搬機械まであります。試しにデモ運転をしてくれましたが、さすがベテラン、大学の先生やめても、食べていけそうです^^

 このキセン城での作業の様子は、トキ交流会館のブログにありました。

 

 

 さて、2日目の朝は、モニタリングです。この日は4時起き、4時半出発。今回も痛感しましたが、このような毎朝のモニタリングで、トキの習性が分かるわけですから、すごい。30分ほど待っていたら、目の前の田んぼにトキがやってきました。

 

 外にいるとトキがやってこない恐れがあるので、こうやって車の中で待機。その間、何人かのモニタリング・スタッフが無線でお互いに情報を交換しているわけですから、プロの仕事です。

  

 今回は、カメラマンのチェさんも同行。カメラとビデオの両方で撮影しています。

 このあと、朝ごはんを食べた後、言ったところが生椿(はえつばき)。ここの棚田を見たとき、これが里山なんだ、と感動しました。この生椿でトキの保護活動を続けている高野さんともお会いできて、いろいろと面白い話も聞くことができました。高野さんのことは、トキ・ファンクラブのブログをご覧ください。

 

  霧雨のなかの生椿。

 

 左から、ハン・ドンウック先生、イ・インシク先生、高野さん、本間先生。

 

 高野さんの愛犬、ラッキー。とてもおとなしい犬です。

 

 この風景には感動しました。山の中、海抜300メートルぐらいのところに、こんなに整備された棚田があるとは。これ、ほんとうに文化財ですよ。

 今回、佐渡を訪問して、島の魅力、伝統と自然というか、文化と生業というか、素晴らしいものがあるのに気がつきました。こんな<奥行き>があるから、トキにこだわることができるんだろうなと、痛感しました。野生のトキが最後まで佐渡で棲息していたというのは、偶然ではないですね。この辺の<感覚>を多くの人に感じてもらいたいし、それがないと韓国での野生復帰も難しい気がします。この点に関しては、もう少し考えを整理してから、書きましょう。 

 


2011クロツラヘラサギ国際シンポ~江華島

2011-05-18 02:07:42 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 5月16日に江華島で<2011クロツラヘラサギ保全とネットワーク構築のための国際会議>が行われました。その前日には繁殖地の現地調査が行われ、熱い人たちばかりでしたね。途中までの参加でしたが、今回は資料集の翻訳だけが僕の担当だったので、写真をとることができました。

 
カクシ岩に行くための船着場にある<漁村契>の事務所。上の横断幕には潮力発電反対の文字が。この辺りは干満の差が平均9メートルもあり、この潮の流れを使って発電をしようというもの。これだけ聞くと「自然を活用したエコな発電」と考えてしまいますが、広大な干潟に発電機を設置するための堤防を2本築かなくてはなりません。そして、2本の堤防の中に水を溜めるわけですから、干潟は当然なくなります。この干潟は漁民たちにとって宝の山。反対するのも当然です。昨日のニュースでは軍も作戦行動に支障をきたすとして、反対の立場だそうです。

 

 

 
この船着場から漁船に乗って、カクシ岩というクロツラヘラサギが卵を産むところに行きます。小さな岩ですから上陸はできません。船の上からの観察です。

 
これがカクシ岩。カクシというのは結婚したばかりの女性のこと。この岩には小さな赤ん坊もいるのに出家をした男性の奥さんにまつわる言い伝えがあります。そういえば、岩の形は人間の顔に見えてきます。

 
船の中でこのように写真をとっています。調査のためのカラーリングを確認できたそうです。

 
船から下りて、干潟センターへ。この施設は江華郡が作り、日常的な運営を<江華市民連帯>というNGOが担当しています。

 

 

 

 
センターから見える江華干潟。

 
山口県のきらら浜のボランティア団体「葦の会」の皆さんです。

 
右から、干潟センター長のキム・スンレ先生。中学校の先生です。となりが、この食堂のご主人で漁民の人。潮力発電所の建設に反対しています。

 
右から、今回のシンポジウムの中心メンバーのイ・ギソップ博士。韓国水鳥ネットワークの代表です。隣の女性が通訳の竹岡さん、江華島に住んでいるベテランです。

 
翌日、国際シンポ。最初に北九州の原賀さんたちの発表(というより、パフォーマンスです)下の写真のかたは、江華郡の郡知事です。 

 
 
 
右から、江華郡議会の議長、<江華市民連帯>の代表をしている神父、江華郡の知事。さすが原賀さん。すごいメンバーの前でも動じないで、環境教育のデモンストレーションをしていました。

 


 

 

 
 博多から来た松本さんと八田さん。福岡のアイランド・シティの工事の中断でできた擬似湿地がことし整備される予定だとの報告がありました。

 

 
 
 

 
こんな感じで、シンポジウムが行われました。上の上の写真は、東アジアフライウェイ(EAAF)のロジャーさん。帰国当日にもかかわらず、江華まで足を伸ばしてくれました。

 こんな感じで国際シンポが行われました。
 やはり、具体的に共通の保存種がはっきりしているのは、運動の広がりにとても力になりますね。とくにクロツラヘラサギは見分けがつきやすいですし、餌をとるときの動作も印象的です。

 今年も9月ぐらいまでは見ることができますので、ぜひ見てください。案内をしますよ。