韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

韓国に暮らして30年。なぜか韓国、いまだに韓国、明日も韓国。2022年もよろしくお願いします。

日韓トキシンポジウム(1)

2010-12-16 01:57:46 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 日韓トキシンポジウムが終わって、数日立ちましたが、まだ余韻が残っています。いままで、いろいろなシンポジウムに参加してきましたが、今回のはいろいろな意味で、ヘビー級でしたね。

 まず、写真の紹介からしましょう。

 

 インチョン空港に着いたのが12月8日の12時ごろ。新潟空港からプサンへの直行便がないので、インチョンからキンポ空港へ移動して、そこから国内線に乗ってプサンへという移動にまるまる1日かかるルートです。左から、環境省の笹渕保護官、佐渡市役所の池係長、地元でモニタリングを毎日やっている土谷さん。僕と新潟大学の本間先生は、窓に写っています。

 

 おなじみのインチョン空港の干潟。やっぱり始めてみると衝撃ですね。干満の差が10メートル近くあるというのは、すごいです。窓から見えるのが江華島です。

 

 

 この日、チャンウォンに着いたのが6時近くです。新潟空港が朝9時半の飛行機でしたから、本当にお疲れ様。というわけで晩御飯はこれ、ポッサムキムチ。韓国の食事で疲れも飛んでしまったようです。

 

 

 さて、翌日の9日は現地調査。無事にチャンニョンに行って…といいたいところですが、実はこの写真はコソンという街です。今回、韓国の慶尚北道では口蹄疫、日本の島根のほうでは鳥インフルエンザのダブル・パンチでウポ沼の近くには行けませんでした。
そのため、急遽、ハゲワシの越冬地になっているコソンに行って、見学をすることになりました。

 

 遠いですが、えさの豚の骨を食べているハゲワシです。毎日、400キロほどの量を肉屋から安く分けてもらって、えさとして使っています。もう、10年ぐらいになるそうで、中心のキム・ドクソン先生は僕らの湿地仲間。実際にえさをやっているのをみたのは、僕も初めてです。

 

 日本からのみんなもはじめてで、こんな感じで夢中でシャッターを押しています。ハゲワシは生きている動物は食べませんので、人間と同じですね、肉屋にある肉とか骨は食料になります。以前、60年代までは、韓国でも冬の渡り鳥として非武装地帯などにたくさん来たそうですが、最近は動物の死体がないので、数が減っています。今日のニュースでも10羽ほど死んでいるのが見つかりました。
 で、コソンでやっているのが、いわば人の手によってえさを食べているわけで、これが良いのか悪いのか、難しいところです。自然の環境で、毎日動物の屍骸があるというのは、ほぼ不可能に近いでしょう。このようなえさがなかったら、餓死するのも目に見えています。じゃあ、どうするか。トキの野生復帰でも、同じような問題にぶつかりそうな気がしました。

 

 ハゲワシを観察した後、すぐ脇の田圃をみてトキのえさがあるかどうかをチェックする土谷さん。さすが、モニタリングのベテラン、一つ一つ丁寧に説明してくれて、とても参考になりました。やはり、いっしょに現場を回ると、すぐ分かりますね。

 韓国でのトキの野生復帰にはいくつかの課題があります。
 まず、固体数の増加の問題。中国からは1つがいを貰っただけなので、これ以上増やすのは厳しいです。血統の違うトキを連れてくる必要があります。
 つぎに、国家の保護鳥になっていないという問題。すでに絶滅したため、保護鳥でないのです。そのため、人工飼育や野生復帰のために、国家予算が使えないという問題があります。
 最後に、トキのえさの確保の問題です。韓国で放鳥の対象になっている地域のウポ沼には私有地がたくさんありますが、農耕地の中には二毛作を行っているとことが多いそうです。そのような場合、どのようにして餌場となるビオトープを作るのかという問題。また、湿地保護地域でラムサール条約にも登録されているため、休耕地などを中心に環境部が買い上げた土地もかなりあります。そこを中心にビオトープと作ることになりますが、果たして<上>からのやりかたで、必要な面積を確保できるかという問題も出てくるでしょう。
 このほかにも、トキがほかの場所に移ってしまったらどうするか、寒い冬(水の少ない冬)をどのようにするかなど、問題はたくさんあります。

 では、このような問題はシンポジウムの場で解決できたでしょうか?(続く)

 

 

これから佐渡の方々とウポ沼に行きます

2010-12-08 12:03:44 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 いま、インチョン空港です。もうすぐ、佐渡でトキ保護活動をしている方々と合流して慶尚南道のウポ沼に行きます。ウポ沼では2008年に中国からもらった1つがいのトキから5羽が産まれ、いま7羽のトキがいます。2015年を目標に、野生復帰を目指しています。
 
 9日にウポ沼周辺の現地調査、10日に日韓シンポジウムが行われ、いつものように僕は通訳での参加です。4日間、同行しますので、あまり時間がありませんが、できるだけ写真や記事をアップしていきましょう。

4大河川事業(ハンガン)訴訟、敗訴!

2010-12-05 03:54:04 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 12月3日に、ソウル行政裁判所で4大河川事業のハンガン部分の工事許可の取り消しを求める訴訟の判決公判があり、裁判所は国側の主張を認め、原告敗訴となりました。新聞記事を訳しましたので、ご覧ください。

 日韓環境情報センターHP <環境保護 2 川、流域を守る>

 本当に公共事業の工事差し止めという裁判は日本でも難しいですが、韓国でも同様です。 
 ただ、このような裁判だけやっていたら、1歩も前進しないのも事実でしょう。差し止めを求める闘いは、いわば正面突破の正規戦。中央政府の決定というのは、そんじょそこらではひっくり返らないでしょう。やはり、もう少し工夫をして「ゲリラ戦」というか、相手の弱点をみつけて集中する戦いをしないといけないでしょう。

 また、環境関連の裁判で一番大切なのは被害者です。被害者で始まり、被害者で終わる、というのが日本の公害裁判の基本になっています。僕も4大河川で流域住民にどのような被害が出たか、分らないところもありますが、やはり被害を暴いて、被害者が立ち上がれるために、僕たちは何をすべきだったのか、もう一度点検する必要がありそうです。

 いま、4大河川事業を廻って、来年度の予算をどのように成立させるかで、与野党の攻防が激しく行われています。ただ、北朝鮮の砲撃事件以降、韓国全土が国家安保の問題をめぐって、様々な意見が飛び交っていて、4大河川事業反対という声は消されそうとしています。このままじゃあ、来年の12月ごろには、すべてダムが完成しそうです。

 5日は午後2時からソウル市庁前で4大河川反対の集会が行われます。果たして、どのくらい集まるのか注目です。

 




西海5島、軍事衝突と環境破壊

2010-12-03 02:34:10 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 分っているはずでしたが、地図を見ると北朝鮮が本当に近いところにあるのが分ります。



 この地図で<나>が江華島、島の北部に行く時は途中で検問があります。<가>がインチョン空港、地図で見ると本当に近いです。北側に向かって離陸する時は、すぐに曲がらないといけないそうです。
 1の島がペンニョン島、2がテチョン島とソチョン島、3が今回被害を受けたヨンピョン島、また地図には載っていませんが、ウ島という軍の部隊だけがあり、民間人の住んでいない島があります。この5つの島が、韓国で<西海5島>と呼んでいる島です。

 今日のニュースでは、北朝鮮がウ島を攻略するのではないかという報道がありました。今後どのような動きになるか、多くの韓国人はもう一度北朝鮮の攻撃があるだろうと予想していますし、この次は北側の攻撃以上に反撃をするべきだと考えているようです。とくに、先日の韓国側の反撃が北朝鮮にほとんど被害を与えていないことも、衛星写真の分析から明らかになり、今までのようなやり方ではダメだというムードがあります。そのような雰囲気のため、海兵隊(これらの島は海兵隊が守っています)に志願する急に増えたという報道もありました。

 でも、戦争が最大の環境破壊であることを忘れてはなりません。
 ペンニョン島周辺はゴマフアザラシの繁殖地といわれています。また、西海岸一帯は渡り鳥の繁殖地で有名で、江華島周辺はクロツラヘラサギの繁殖地として知られています。インチョン空港を利用した方はご存知だと思いますが、インチョン空港周辺や江華島周辺は広大な干潟が広がっていて、さまざまな生物の宝庫です。

 もちろん、北朝鮮の非人道的な砲撃は、許されるものではありません。自分たちの政権の延命のためにこのような暴挙を繰り返していたら、遅かれ早かれ自滅の道を歩むしかないでしょう。どのように解決をするのか、やはり武力での解決しかないのか、朝鮮半島の危機はいっそう増大しました。北朝鮮の挑発を許さないのと同時に、戦争は環境破壊であること、環境をも守ることは平和を守ることだということを、ぜひ考えてみてください。

スンチョン湾に行ってきました(3) そして、ナクトンガンの河口へも

2010-11-29 01:27:35 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 さて月曜日の22日、本当は休館日なのですが、スンチョン市役所のご好意でビジターセンターを再訪問。経済環境局長の崔徳林さんからのレクチャーを聞きました。レクチャーの内容は、このツアーの呼びかけ人の後藤弁護士のブログをご覧ください。

 福岡の弁護士 大橋法律事務所公式ブログ 

  ビジターセンターの中では湿地や湿地の生物、渡り鳥、葦などのテーマで展示がされています。休館日なので独占しました。
 
 

 

 3年後には5キロほど上流(というか陸地側というべきでしょうか)に新しいセンターが作られるそうで、訪問客はそこで車から降りて、自転車かライトレールで移動することになるそうです。

 すでに今年は訪問客が300万人を越えそうで、週末になると4500台ぐらいの車が駐車場を利用するそうです。湿地の賢明な利用、持続可能な活用を考えた時、スンチョン湾がこれから抱える課題というものにも注目する必要がありそうです。ということで、スンチョン湾の訪問もこれで終わり。最期にビジターセンター前の広場で記念撮影をしました。中央にいる人が崔局長です。ここには、ラムサール条約の説明の看板もありましたよ。

 

 

 
 

 その後、僕たちはプサンへ。ここではプサンの湿地保護団体、<湿地と鳥たちの仲間>のキム・ギョンチョル事務局長、江原大学法科専門大学院のパク・テヒョン先生、そして佐渡のトキ調査で一緒だったパク・ソンベさんが合流。パク・テヒョン先生とは来年の4月ごろ、日韓の環境訴訟関係の弁護団でシンポジウムや学集会をしようと意思一致。キム・ギョンチョルさんも、以前ナクトンガンの河口にかかるミョンチ大橋(現在は乙淑島大橋)の訴訟にかかわり、二審のとき弁護士が見つからず、自分たちだけで裁判をやったことがあるそうで、みんなびっくりしました。

 23日は帰国の日。ほとんどの皆さんの飛行機が5時50分出発なので、ナクトンガン河口を十分に見学することが出来ました。とくに、朝、気温が下がったので大気が澄んでいて、本当に遠くまでみることができました。また、パク・ソンベさんは以前ナクトンガン河口のエコ・センターに勤務していたので、とても充実した説明(苦労話やウラの話なども)を聞くことができて、勉強になりましたね。とくに、公立のセンターの役割とNGOとの関係をどのように作るかの話は、参考になりました。

 

 ナクトンガンのエコ・センター。国際コンペの結果、日本人のデザインが採用されたそうです。

 

 展示はなかなかユニークです。河の水の高さが透明なプラスチック版になっていて、そこから下の部分が水中の様子を展示していて、これはスルドイと思いました。これも、パク・ソンベさんのアイデアだそうです。

 

 これは有名なガラス窓。ナクトンガンの河口が一面に広がり、目の前の人工湿地にも鳥たちがやってきます。

 

 乙淑島の南のはじにある探鳥用の小屋。幼稚園の子供たちがどっとやってきました。また、ここは秘密のデートコースだとか。

 

 ナクトンガンの河口。おなじみの峨嵋山(アミサン)の展望台から。ここにはじめて来たのが2008年のラムサールCOP10の時。最初のときも、キム事務局長の案内でした。今日は本当にいい天気、遠くの新港まで見えました。

 

 ナクトンガン河口が終わってから、いつもの<ハルメチップ>でチャンオ・クッパッ(ウナギスープごはん)にパジョンにマッコリで昼ごはん。これも美味しかったですね。後藤先生の息子さんの光くん、1人で一人前以上食べていましたよ。

 最期、ロッテマートという大型スーパーでキムチやのりなどのお土産を買ったのですが、韓国の大型スーパーではレジ袋が廃止になり、自分が袋を持っていくか、紙のショッピングバッグを100ウォンで購入するか、あとはレジの近くの梱包用台で空段ボール箱を利用するかです。空ダンボールの再利用は日本ではあまりないようですが、韓国ではいまや常識、こんなところは韓国のほうが進んでいますね。

 ということで、スンチョン湾&ナクトンガンツアーも無事に終了しました。ぜひ、次は有明海周辺の自治体の職員や議員さんたちが見に来てくれるといいですね。また、干潟の保全活動に取り組んでいる各地の皆さんも、一度訪れるといいと思います。いろいろな意味で刺激になりますし、ムツゴロウ鍋も美味しいですし。興味のある方、ぜひ連絡をください。 

スンチョン湾に行ってきました(2)

2010-11-27 23:53:34 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 お昼ごはんにビビンバップで腹ごしらえの後、楽安邑城で観光をしました。ここは15世紀ごろに作られた城壁都市です。いまでも伝統的な藁葺きの家が100軒以上あります。毎年、新しい藁を屋根に葺きますが、この費用は全てスンチョン市が出しているそうです。僕たちが訪れた日も、おじさんたちが作業をしていました。彼らの話では7名が1チームになってようやく1日で仕事が終わるそうです。

 

  

 外から見ると朝鮮時代そのものですが、家の中は現代です。電信柱もありませんが、電線は地下に埋められていますし、トイレも水洗式になっているそうです。

 さて、僕らはガイドさんの案内で、まず城壁の上に登って村の全体を見ることにしました。

 

 左から堀弁護士、甲木弁護士、長崎支援の会の坂田さん

 

 長崎支援の会の高村さん、支援する全国の会事務局長の岩井さん

 

 長崎支援の会の池田さん、元ケースワーカーの方です。

 

 今回のツアーの呼びかけ人の後藤弁護士、末っ子のこころちゃん、長男の光くん

 

 最期、後藤弁護士の奥さんの真由美さん、長女の麗ちゃん

 という11名(子供を入れて)がツアーのメンバーです。まあ、気心の知れた人たちで、環境や干潟については物凄い情熱と愛情を持っている方々。僕のほうが色々勉強になりました。

 

 韓国の伝統村は安東のハフェ(河回)村が有名ですが、ハフェ村に劣らないぐらい、この楽安邑城(ナグァン・ウップソン)も有名ですね。この村ではかつて「チャングムの誓い」のロケも行われ、何人かの方が「覚えているぞ、この場所」といっていました。この写真の建物も、ロケに使われたそうです。

 

 ちょうど、紅葉が盛りの時期でした。韓国の紅葉もきれいですよ。

 

 楽安邑城の真ん中にメインストリートがあり、北側(東側だったかもしれません)はこの写真のような官庁の建物(瓦葺の屋根で建物も大きいです)、南側(西側?)が藁葺きの民家という配置です。この建物はかつての地方官吏が仕事をしたところ。当時は裁判も担当したわけで、当時はもちろん弁護士はいません。というわけで、弁護士の先生方、興味深そうに見学していました。

 

 メインストリートにはいろいろなお店もあります。ここでは餅をついていて、その場で売っていました。韓国の餅も日本のと似ていますが、ここでは黄な粉をまぶせて安倍川餅のようなものを売っていました。(韓国語でインジョルミと言います)

 

 ちょっとした市場もありました。豆や雑穀などがおいてありましたが、買う人いるのだろうか?

 このあと、僕たちはスンチョン市内のホテルへ移動。ホテルというより、健康ランドにホテルがついたような施設に行き、まずサウナ(韓国式伝統サウナ)へみんなで行きました。韓国に何度も来たことがある堀先生もこのような韓国式サウナ(ハンジュンマクといいますね)は、初めての体験。熱いカマのなかでじっくり汗を流しました。

 そのあと、ホテルの目の前の焼き肉屋で豚の三枚肉で夕食。やっぱり、韓国の豚肉っておいしいですね、というのが後藤先生の感想。ここには、スンチョン市役所のキム・インチョルさんと、環境団体のメンバーと漁民のメンバーも参加。スンチョン湾の保存活動の歴史や、最近の問題点など、いろいろ話をしてくれました。(通訳なので、写真がありません!)

 翌日の午前中は、スンチョンのアレジャン(上市場)に行って五日市を楽しみました。韓国では、伝統的な市場で周期的に大きな市場が行われます。大体、どこも5日ごとに回ってくる五日市が一般的。

 

 

 ちょうど、僕たちが覗いたところは魚などの海鮮物の市場でした。皆さん、エイや太刀魚が多いのに驚いていました。あと、生きているドジョウや貝殻つきの牡蠣などもありましたね。

 

 で、朝ごはんは市場の横の食堂で。テジクッパッが5000ウォン、カルビクッパッが6000ウォンでした。この구억식당、一番目立ったので入ったのですが、20年以上クッパッを出している老舗だそうです。スンデという韓国式の腸詰も入っていましたが、それほど臭いもきつくなく、美味しかったです。(続く)

 
 

スンチョン湾に行ってきました(1)

2010-11-27 02:46:30 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 

 まず、この写真から紹介しましょう。何気なく撮った写真でしたが、良く考えると色々な意味のある写真になりました。この写真を撮ったのが、先週の土曜日(20日)、夕方の5時ごろです。場所は全羅南道のスンチョン湾のビジターセンターです。写真に写っているところは、ビジターセンターの裏側で、駐車場の隣に湿地が見えますが、後で聞いたらここは田んぼを湿地に復元した所だそうです。有名なスンチョン湾は反対の方向にあります。土曜日の5時ごろ、車がまだたくさん残っているのに驚きました。20日から23日まで、九州の有明訴訟の弁護団と支援の市民団体の人たちとスンチョン湾に行ってきました。今回も通訳しながらの写真撮影なので、抜けている部分もたくさんありますが、写真を紹介しながら感じたことをメモしてみます。

 

 ビジターセンター(正しくは湿地生態館ですが)の横には天文台があって、そこも湿地を眺めるのにいい場所でした。金海空港から車を飛ばして4時半ごろにスンチョンに到着。そのままビジターセンターに直行です。目の前に広がる田んぼにはナベツルやガン・カモがあちらこちらで休んでいます。この田んぼは無農薬で稲作が行われていて、収穫の3分の1はスンチョン市が買い入れて鳥たちのエサになります。今年はナベツルが約450羽、やってきたそうです。

 

 天文台の建物の中には色々な展示がしてあります。まず、鳥の生写真。今年やってきた渡り鳥たちです。

 

 隅っこにあった展示です。一番左の模型は見たことがある人もいるでしょう。慶州にある有名な史跡、チョンソンデ(瞻星台)です。その横は良く分りません。(すみません、時間がなく説明まで読めませんでした)

 

 さあ、今回のツアーの参加者を紹介しましょう。右が弁護士の堀先生。ラムネットの共同代表の1人。やはり、鳥好き、自然好き、遠くの鳥の説明をはじめると止まりませんでした。左が同じく弁護士の甲木(かつき)先生、この前の選挙で民主党から立候補したとか。堀先生の説明を楽しそうに聞いています。

 

 

 出口に記念品のショップがあります。(建物もカッコいいのですが、写真を撮るのを忘れました。写真のある方、送ってください。)グッズもオリジナルで、なかなかしゃれています。旅行のお土産とか観光地の記念品て、だいたいどこ行っても同じようなものが並んでいるのですが、ここはちょっと違いますね。オリジナルのグッズや、<作品>が並び、一味違うなと感じました。

 

 日が沈む直前のビジターセンターの前庭。写っている建物、実はトイレでした。

 夕食はムツゴロウ鍋です。以前、ムツゴロウがそのまま入っているものを食べましたが(こんな感じです)

 

 今回はムツゴロウはすりおろされていて影も形も見えませんでした。食事の後にペンションに移動、ここの中庭で焚き火を囲みながらマッコリでおしゃべり。

 

 

 写真は「よみがえれ!有明」訴訟を支援する長崎の会の坂田さんと高村さん。お二人とも以前は高校の先生で締め切られた前の諫早湾の様子を知っている方々です。

 

 

 止まったペンションは韓国伝統家屋。でも、まだ建てたばかりなので新しくきれいでした。結局、ここ一軒を貸しきりました。春や夏なら中庭で焼肉も出来ますよ。ペンションの名前は「갈대밭 사랑채」。HPはこちらです。
 http://www.한옥팬션.kr/index.php  
 利用したい方は、ブログに書き込みをしてください。
 
 翌日、21日の日曜日は午前中にスンチョン湾、午後は楽安邑城(ナガム・ウプソン)。スンチョン観光の基本コースです。

 

 まず、葦が一面に広がる湿地を歩きます。木造の遊歩道があるので、子供でも大丈夫。

 

 3キロ弱(約1時間20分ぐらい)歩くとスンチョン湾を一望できる龍山展望台に着きます。この日は満潮で、湿地の部分は見れませんでしたが、まんまる(ミッキーマウスの耳ですね)の葦原がとても印象的です。

 

 ということで、記念撮影(2名ほど欠けていますが)です。この展望台、まだ完成して2年ぐらい。2階建てになっていて、年間200万人を予想して建設したのですが、今年はすでに270万人がスンチョン湾を訪れているので、ピーク時は人であふれてしまうそうです。

 

 

 そのあと、遊覧船に乗って湾を一周。これも30人ぐらいしか乗れませんので、この日のチケットは朝の段階で売り切れになったそうです。来年にはもう1隻ふえるそうです。船から眺めるスンチョン湾の景色もなかなかでした。

 

 遊覧船の乗り場。今日はチケット売り切れですという看板が入り口にありました。

 

 防潮堤の上を走るバス型電車。これには乗ることが出来ませんでした。この次、乗りましょう。

 

 ビジターセンターの中での記念撮影。前列の左にいるのが、今回案内をしてくれたキム・インチョルさん。もともと地元の環境団体のメンバーで、2年ほど前から市役所の専門職(鳥が専門です)として働いているそうです。彼のおかげで、今回のツアー、本当に充実したものになりました。(続く)

4大河川事業と慶尚南道

2010-11-16 04:56:41 | 環境保護&エコツアー(2011まで)


 これはプサン地方国土管理庁が慶尚南道に送った公文で、「慶尚南道が持っていた4大河川事業の事業権を取り消す」という内容です。4大河川事業は中央政府の事業ですが、一部の工事を関連自治体に代行させています。慶尚南道の場合、ナクトンガンの6~15工区の10箇所と47、48工区、合計8962億ウォンが投入されて、浚渫と河川環境整備をすることになっていました。

 これに対して慶尚南道は10月26日に「ナクトンガン事業調整協議会」を設置しようと提案をしていました。ナクトンガンの7~10工区では大量の廃棄物が地下にあり、また文化財の調査も行っている最中で、周辺住民への補償問題も解決していないため、工事を進めることができなかったの主張しています。

 韓国政府の考えは、唯一つです。来年、2011年末までに4大河川事業を終わらせるということだけです。すでに平均で堰(ダム)の工事は60%以上終わったという発表もありました。本格的に工事を始めて、1年ほどでこれだけのことをやったのですから、ものすごい話です。

 工事のテンポの速さもすごいですが、反対の声を一切認めないという態度もすごいですね。今回の事業権の取り消しは、中央政府の地方自治への「宣戦布告」とも言えます。慶尚南道も行政訴訟で争う姿勢を見せていますし、もしプサン地方国土庁が発注元(新しい事業主)になって浚渫を始めた場合、土壌の検査や浚渫土用の土地使用許可取り消しなど、全面的に争う可能性があります。

 たぶん、今回の問題が4大河川事業の今後を占う大きな試金石になる可能性があります。中央政府のゴリ押しに反対しようと、国民が声を上げるのか、あるいは中央の言うことを聞かない慶尚南道に問題があると見るのか、どちらにしても、慶尚南道に少しでも頑張ってもらうために、できることがないか考えて見ます。

CBD-COP10に参加して (3)

2010-11-01 00:47:09 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 さて、23日の土曜日は日韓こども湿地交流事業のイベントが行われました。以前、このブログでも紹介しましたが、今年の夏は藤前干潟の子供たち(ガタレンジャーJr)14名が韓国のウポ沼とチュナム貯水池、そしてナクトンガンの河口を訪れましたが、今回はチャンウォンから10名、ナクトンガンから4名の韓国のこどもたちが、22日から25日の日程で、名古屋を訪れたのでした。

 今回は昨日のシンポジウムや24日のNGO会議などのため、こども湿地交流には今日だけ参加することになったわけです。23日は熱田神宮公園のフェスティバルゾーンにあるCBD市民ネットの大テントで午前と午後の2回、韓国の子供たちが4大河川に反対するパフォーマンスをするというので、見に行きました。



 ナクトンガンの河川敷の湿地で一休みしようとしたナベヅルやマナヅルたち。でも4大河川事業の浚渫工事で去年まで途中の休憩地として使っていた湿地は無くなってしまい、エサを食べられなくてばたばたと倒れていきます。




 子供たちのパフォーマンスを見ようと多くの人たちが来てくれました。手前に座っているのが、今回の交流事業の中心メンバーの1人であるイ・インシク先生。




 終わってからテントの前でみんなで記念写真。誰が日本人で誰が韓国人か、よく分りませんね。



 
 この日の夜は日韓合同の食事会。もう、みんな仲良しになって、片言の英語や韓国語でコミュニケーションをしています。


 翌日の24日は、ラムネットと世界湿地ネットワークの共催の国際シンポジウム。「生物多様性と湿地の保全に関する世界NGO会議」というのが正式タイトル。生物多様性条約事務局やラムサール条約事務局などからもゲストが発表してくれて、とても内容のある会議だったという感じです。僕は聞くだけの予定でしたが、急遽、日韓の同時通訳をやることになり、冷や汗をかきましたが、まあ、いつも聞いている話が多いので、どうにかこなせました。

 では、写真を紹介しましょう(通訳をしていない時に撮ったものです)

 

 まず、ラムサール事務局のニック・デビッドソン。おなじラムサール仲間というわけで、かなり本音のところを発言している印象を受けました。特に、今回の生物多様性会議で水のことに十分に触れられていないのは問題で、ラムサール条約の立場から水の重要性を主張すべきだという発言はとても説得力がありました。本当は会議があるので、すぐに本会議場に戻る予定でしたが、その会議が中止になり、結局、夜の交流会まで一緒にいました。


 

 世界湿地ネットワークのクリス・ロストロン。2008年のチャンウォンのラムサールCOP10の時、スタートした世界湿地ネットワーク(WWN)の議長です。今回のNGO会議がWWNの最初のイベントで、この会議でも中心になって議論を引っ張っていました。


 

 ラムネット事務局の菅波さん。彼とはこの1ヶ月の間、ソウル、長崎、名古屋と3箇所で会っていますが、いつも忙しく落ち着いて話をしていませんね。今度は来年の日韓湿地フォーラムで会えると思うので、そのときはゆっくり話しましょう。


 

 ラムネットの共同代表の柏木さん、というか日本のNGOを代表していますね、最近は。2008年の4月に韓国のアンミョン島で柏木さんとマ・ヨンウンさんと会ったのが最初の出会い。この2人のおかげで僕は湿地保全運動にはまってしまったのです。


 

 KWNN(韓国湿地NGOネットワーク)のメンバーで、PGA湿地生態研究所のハン・ドンウックさん。彼とは佐渡から一緒で、1週間の間、一緒に過ごしたことになります。


 

 これから3枚が会議の後の交流会の様子です。佐渡で貰った日本酒を振舞ったら、ラテンアメリカから来ている○○さん(名前が分らない)が日本酒を気に入ったようで、次の日も美味しかったと言ってくれました。

 
 

 この写真の中でちょっと太めなのがルーマニアのピーターです。22日の夜、手羽先をつぎつぎと食べていた彼です。

 
 

 一番左がセマングムのチュ・ヨンギさん。オランダのルーク、ガンビアのバブカー、クリスなどが写っています。この交流会の最期に二つの「特別イベント」が行われました。一つは、長崎から来た諫早訴訟の支援の人(すみません、どなたでしたっけ)が日本左翼の伝統芸である「ガンバロー」をいっしょにやり、もう一つは、最期のスピーチをそれぞれの国の言葉でやったので、英語だけでなく、スペイン語、オランダ語、ルーマニア語、ガンビア語(?)などが飛び出し、世界のNGOが集まった会議にふさわしいエンディングになりました。

 おまけ:この後、慶尚南道のコソン郡の人たちから呼び出され、名古屋駅までいきラムサール環境財団のイ・チャヌ博士やイ・インシク先生などとまた飲みました。おかげで、コソン郡の郡守(いわば郡長ですね)が生物多様性の重要性を今まで以上に感じたと、あとから聞きました。




 

 

CBD-COP10に参加して (2)

2010-10-31 02:38:31 | 環境保護&エコツアー(2011まで)
 2008年のラムサール条約のCOP10からちょうど2年。環境関連の国際会議もこれで2回目なので、ちょっと余裕はありましたが、今回も通訳やコーディネータであちこち行ったり来たりしていました。写真で紹介しましょう。


 

 22日の午後に行われた水田湿地のシンポジウムです。遠くに見えるのが呉地さんだと思います。このシンポジウムには韓国からIcoop生協のクォン・ミオクさんが韓国での田んぼの生き物調査について発表しました(僕は通訳)。これ以外にもミミズの話などけっこう面白しろいシンポジウムでした。


 

 実は一番最後に予定されていたFAO(国際連合食料農業機関)のMatthias Halwartさんが、他の会議に出席するためトップバッターで発表をしました。ラオスやカンボジアでの田んぼの実態について説明をしてくれ、生物多様性が高く、それが食料に直結している実態を具体的に話してくれました。


 

 同じ日の夜は「日韓を中心とした湿地と生物多様性に関するホット・イシュー」というシンポジウムが開催。諫早湾干拓事業では弁護団の堀良一弁護士と原告の平方さんが出席。先日の長崎地裁での結審でも法廷に立った平方さんの「一日も早く開門をしてもらいたい」という訴えは心に響きました。


 

 次の写真は吉野川河口の井口さん。いつも元気なお姉さんです。釜山の近くのナクトンガンと四国の吉野川は雰囲気が似ているので、いつか交流をしたいですねと会うたびに話しています。

 このあと、新栄町のホテルの近くの中華料理屋(なぜ日本で中華を食べなきゃいけないのと思いつつ)で、ラムネットと韓国湿地NGOネットワーク、そして世界湿地ネットワークのメンバー、40人ぐらいで大騒ぎ。居酒屋での2次会にも20名ぐらいが参加しました。それにしてもルーマニアの代表のピーター、名古屋名物の手羽先をよく食べていましたね。2次会の会計は韓国環境運動連合のおごりになってしまいました。マ・ヨンウンさん、ご馳走様でした。そのあと、3次会に3名ほどで出かけ、2時半ごろにホテルに戻りました。ということで、長い1日が終わりました。