韓国雑記帳~韓国草の根塾&日韓環境情報センター&ジャパンフィルムプロジェクトブログ

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ナクトンガンの河口堰開放の国際フォーラム

2016-11-17 21:51:05 | 日韓環境情報センターの活動
11月15日から17日まで、釜山のナクトンガン河口堰開放の国際フォーラムに、通訳&コーディとして参加してきましたので、感想を紹介しましょう。

ナクトンガン河口堰というのは、水道の飲み水や工業用水や農業用水に海水の塩分が入らないように、河口から数キロのところにある可動式の堰のこと。1983年から工事を開始、1987年の11月に完成しました。これと同時にナクトンガンの川辺の湿地やアシ原や砂浜、干潟が埋め立てられ、工場やアパートが立ち並ぶようになったそうです。

この河口堰ができてから、海水と川の水が分断されて堰の上流には汽水域がなくなり、シジミ漁が壊滅状態になったのは、日本の長良川と全く同じです。

このように河口堰ができてから、環境は悪化したのですが、塩分が含まれていない水を供給するという目的のまえでは、河口堰のマイナス部分を指摘する声は大きくなりませんでした。

ところが、3年ほど前から急速に水質が悪化、ミドリのペンキを撒いたようなアオコが一面に発生し、大問題になったわけです。去年、信州大学のパクホドン教授や熊本保健科学大学の高橋教授とアオコの調査をしたときも、あまりの酷さにショックを受けました。

さすがに、これではダメだと、以前からの環境団体の働きかけに、プサン市も動きだし、昨年10月、市長自らが河口堰を開けると宣言をしたわけです。

ところが、河口堰は国のもの、プサン市が開けると言っても、プサン市だけではどうにもなりません。それで、行政だけでなくNGOや専門家等が一緒に開放のための活動を、共に行っているわけです。

国は反対、周辺自治体でも反対のところがあり、プサン市の闘いは、なかなか厳しいのが現状です。プサン市の中では、河口堰開放が主流ですが、国政レベルやプサン周辺の地域レベルで考えると、まだ多数派ではありません。この壁を、どう乗り越えるかが当面の課題になりそうです。