밀양오북춤
さて、僕が韓国の伝統芸能に興味を持ったのが1985年ごろからなので、もう30年にもなります。当時、86年のソウル・アジア大会、88年のオリンピックを盛り上げるため、韓国から様々な文化イベントがやってきて、その一つが踊りや音楽を中心にした伝統芸能でした。ナムサダン、サムルノリ、鳳山タルチュム、東海岸ピョルシンクック、カヤグムやパンソリなど、どのくらい公演があったかはっきりとは覚えていませんが、1か月に1回ぐらいは何だかの公演やイベントがあったようの思います。
そして、水道橋にある在日韓国YMCAでチャンゴ、カヤグム、伝統舞踊などの文化教室が始まり、僕も1年ぐらいしてから通い始めました。また、1年ぐらいしてからタルチュムも習い始めました。タルチュムは、YMCAでなく、当時、津田塾の学生だったAさんが韓国留学で習っていて、彼女を先生役にしてグループができていて、そこに合流した記憶があります。
そのとき、僕は一応、サラリーマンをやっていて、1週間に2回(チャンゴとタルチュム)、習い事を夜やっていたのですから、すごい集中力というか、体力というか、今ならできないでしょうね。そうそう、練習、終わってから一杯やるときも多かったですから、まあ、若かったのだと思います。で、これがきっかけで、韓国で暮らすことになりましたから、やっぱり、芸は身を滅ぼすという諺が正しく、芸は身を助けるということは、あまりありませんでした^^
韓国に来てから、パンソリも6か月ぐらい習いましたが、日本で習った時のような情熱はなかったように思います。この辺の事情というか、心の変化というか、ちょっと複雑な部分がありますので、考えを整理してから書くことにします。
さて、今日、紹介するのは、慶尚南道の密陽(ミリャン)に伝わる、オブックチュムです。前回の鶴舞いとは違って、服装が庶民的ですね。これは完全に農民の踊りで、たしか百中(ペクチュン)、旧暦の7月15日でしたっけ、そのときに行うお祭りで踊る太鼓踊りです。
これは、きちんと習ったことはありませんが、チャンゴのチャンダン(リズム・パターン)と基本的には同じですので、そんなに難しくありません(チャンダンを知っていれば)。太鼓なので、チャンゴのように音がきちんと出るようになるまで何か月もかかるのでもありません。そのため、大学や同好会、町の文化センターなどでも、よく教えていた記憶があります。大学の学園祭などでも、よくやってましたね。
農民の芸能と書きましたけど、撥を持って、ゆっくり踊るときの腕の線や、ステップを踏むときの足の動きなどは、先日の鶴舞いと共通するところがあると思います。これは、両方ともリズム・パターンが3分割の4拍子で同じですし、また、このリズム・パターンでステップを踏むとき、ひざなどの間接で動きをためる動作をしないと、リズムに乗れないという事情があります。そのため、両班の踊りも農民の踊りも共通なところがあり、そこが韓国の伝統芸能の特徴でしょう。(口で説明するのは、難しい) 日本の伝統的なリズムは強い弱いの2拍子なので、ここの違いはとても大きいですし、たぶん、こんなところに、僕は魅力を感じて夢中になったのだと思います。(続く、つぎは楽器の演奏に行きましょう)