枯雑草の写真日記2

あの懐かしき日々を想いながら・・つれずれの写真日記です。

木の命を見る・・ 尾道、天寧寺三重塔 

2010-07-16 | 古い神社や寺で
           尾道の古寺めぐりは、尾道駅の近くから始まり、東へ24の寺を巡りますが、
          そのほぼ中央にあるのが天寧寺。24の寺のうち、塔婆を有するのは、この寺
          のほか、三重塔が西国寺に、多宝塔が浄土寺にあります。
          いずれも以前に紹介させていただきました。実は、この天寧寺三重塔もづっと
          以前に載せたことがあります。何度訪れても、その度に新たな発見があり、
          感動がある・・、私にはそう感じられます。

          天寧寺は1367年開山の曹洞宗の大寺で、五重塔が建立されたのが、1388年。
          その後1692年、傷みが激しく大破した塔の上二層を撤去し、今に見る三重塔と
          して改修されたものといいます。その大胆な決断には、驚きを禁じえないですね。
          そう言えば、三重塔にしては、厳つく重い感じ。様式は和様を基調に、扇垂木
          など禅宗様を濃厚に採り入れたもので、軒下から見上げると、その木組みの
          中に宿る、木の命を見る思いがします。

          尾道の古寺めぐりのコースは、この寺の下を通っています。従って、コースを
          辿っている限り、この塔を仰ぐだけで、塔の全体を見ることはできないのです。
          ロープウエイに拠らず、歩いて千光寺への道を登り降りして、初めて、水道と
          尾道の街並みをバックにした、この独特の三重塔の姿に出会えるのです。
          この道で、ロープウエイの山頂駅から、下ってくるハイキングの人達によく会い
          ます。「この塔ねー、昔は五重塔だったんだって・・」きまって、そんな声が聞こ
          えてくる坂道です。