KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

『線で繋ぐ石鎚山~引地山』堂ケ森・二ノ森

2023年05月11日 | 四国の山


ここ最近寝つきは良いのだが、夜中に目が覚めたら二度寝が出来ない。それが朝方なら

まだしも、夜中に目が覚めると朝まで悶々とした時間を過ごす事になる。そのせいか

朝起きてからの胃の調子も悪い。色々と原因はあるのだが、今日もそんな感じで夜中に

目が覚めてほとんど寝られなかった。今日のコースは今まででもけっこうな累積標高差

になる。それを考えて少し興奮していたのかもしれないが、最悪の体調で朝を迎えた。

ただ今日まで天気予報を見ながら順延していたお陰で、奥様たちの待つ豊浜SAまでの

既に明るくなった高速道路の空は、最高の青空が広がっていた。











黒森峠を越えて久万高原町の笠方まで来るとフロントガラスの前方遠くに、小さな

反射板が見えた。車を止めて奥様たちに『堂ケ森が見えるよ!』と言うと、後部座席の

二人が『ほんと、でも随分と遠くて高いね!』と。

梅ケ市登山口には既に二台の車が停まっていた。今回、保井野登山口ではなく、自宅からの

距離が遠いこちらの登山口にしたのは、保井野登山口に比べて車の移動時間はかかるが、

累積標高が100m以上違うという理由からだった。YAMAPを見ていると、

とんでもない距離や標高差を歩いている人はたくさんいるが、今のところ私たちには、

今日のコースが『線で繋ぐ~』を始めてから、高ノ瀬から三嶺への縦走以来の最大級の

山場となりそうだったので、少しでも負担を少なくと思ってだったのに、それ以外で

体調を準備万端にして迎えられなかったのがただただ悔やまれる。







8時過ぎに梅ケ市登山口をスタートする。奥様たちには『16時には下山の予定です』と

伝えて、先ずは林道を歩いて行く。今日の体調からすると、いきなりの登山道の急登でなく

しばらくの間の林道歩きが助かる。











15分ほどで林道から登山道への取付きに着いた。道標には『堂ケ森 3.3km・

2時間40分』と書いてある。距離の割にはこの時間、やはり予想通り堂ケ森までは

ほとんど登りの様だ。ふ~う。(涙)




前回歩いた青滝山からの分岐までは植林地の中の道が続いて行く。登山道は度々

作業道と交差するが、その都度、案内標が木に巻いてあるので道を間違えることはない。











日陰になると少し肌寒いが、それでも額の汗が半端ない。上に着ていたTシャツを

一枚脱いでいるうちに二人の姿は見えなくなった。











植林地の尾根に出ると1264mのピークと青滝山の稜線が見えた。少し木々が

疎らになった尾根からまた樹林帯の中への道になると、分岐までも近い。










そう思って前回を思い出しながら登って行くと奥様たちが立ち止まっている。『青滝山

からの分岐を通り過ぎてるわ!』と。スマホを見て見ると確かに気づかずに通り過ぎている。

スタートしてから分岐で休憩にする事にしていたので、ここで一息入れて行動食を口入れる。

ここからは足元には笹が現れ、道の左右にはブナ木が立ち並んでいる。











そんなブナの道を抜けると一気に頭上が明るくなり視界が開け笹原に出た。

遠くから山座同定の目印になる堂ケ森の反射板も、まだ小さく見える。

振り返ると面河ダム湖から四国カルストまで、山並みが重なり合って続いている。














少しづつコツコツと登って行くと、何とか保井野登山口からの分岐に着いた。

振り返ると笹原の中に続く道。『高度も随分上がって来たよ』と、やさしく吹く風が背中を

押してくれる。頑張るぞ~取りあえずあの反射板までは!(ため息)














この笹はオモゴザサだという。花音痴の人間に笹の違いが判る筈もなく。シコクササも

オモゴザサもどれも一緒に見える。この登山道はその笹も刈り払われ、雨で流れる石を

金網でまとめた場所が随所にある。この道は誰が丁寧に整備しているのだろう?














先に堂ケ森の肩に着いた奥様たち。目の前にど~んと構えて見える山をどうやら

二ノ森だと思ったらしく、あれは『鞍瀬の頭ですよ!』と教えてあげると、二人ともが

驚いた様子だった。その鞍瀬の頭と西ノ冠山の間に弥山も見えた。もう何度も石鎚山には

登っているけれど、こちら側から見るのは初めて。写真ではよく見るが実際に見ると

やはり感慨深い。そして後ろには松山の市街地が広がっていた。














遠くからでも見える堂ケ森の反射板は巨大だった。そのせいで少し離れた山名標

近くまで日陰になって吹く風が肌寒い。このマイクロウェーブ反射板。電波を

反射して遠くと通信する為に造られたのものだが、現在では衛星通信や携帯電話の

普及でその役目はほとんど終わっている。ただ当時はこの機材を全て人が背負って

ここまで運んで来たそうだ。昔の人はやはり強い!

ルリちゃんは今から登る二ノ森を、私はその奥の弥山を指さし、そしてあっちゃんは

山名が書かれたペイント石。














西ノ冠山の左奥に見えるのは瓶ケ森だろうか?初めて見る西側からの山々は、どうも

普段と勝手が違う。堂ケ森の山頂に立つと弥山から南尖峰までの岩稜が見渡せた。











堂ケ森の山頂からは一旦下って鞍瀬の頭への笹原が続いている。取りあえずここまでは

頑張ろうと歩いてきたが、次のピークが見えたら何とかあそこまではと思ってしまう。

それにしてもまだ随分と遠くて高い。そして最後の二ノ森も見えてはいない。(^_^;)

堂ケ森と鞍瀬の頭との鞍部の少し下に赤い屋根が見えた。愛媛大学山岳部の避難小屋だ。










その場所からもうしばらく下って行くと一体の不動明王?が、その避難小屋を

見守る様にして祀られていた。そしてさらにその下には水場があった。

山頂から50mほどの笹原を流れて集めた水場は、降雨後数日で枯れてしまうようだ。











オモゴザサに日が当たり輝く笹原に濃い緑のシコクシラベのコントラストがなんとも

言えずに美しい。そして鞍瀬の頭の南側の肩の五代ノ別れへは、緩やかな笹原が続いているが、

北側は急峻な切り立った斜面になっていて、南と北では極端に対照的な山容になっている。

その険しい山肌にはピンクの花がチラホラ見える。アケボノツツジだろうか?














前を歩くあっちゃんがシコクシラベのゲートを潜った。ここから五代ノ別れまでは

日差しを遮るものが何もない。お年頃のお二人は日焼けを気にしている様子。(笑)










振り返ると堂ケ森の右には東温市から松山市が見えている。と言う事は松山市内からでも

堂ケ森の反射板は見えると言う事か?







風は乾いていて爽やかだが日差しはなかなかキツイ。何度も立ち止まっては水分を

補給する。ここでこれ以上熱中症にでもなったら二人に迷惑がかかる。

そして何とか五代ノ別れに着いた。ここから稜線と五代ノ森への尾根が分れていることから

この名が付いたという。そしてやっと最終目的地の二ノ森が姿を現した。その右には

岩黒山と筒上山、そして土小屋までが見渡せた。







鞍瀬の頭をトラバースをして道は続いて行く。そして二ノ森への最後150mの標高差だ。














今までの笹原からシコクシラベの林の道になる。岩場も何ヵ所かクリアしていく。







最後の急登を登りきると目の前に圧倒的な景色が待っていた。南尖峰・天狗岳

そして弥山へと続く岩稜とそこから西ノ冠山への稜線が、その西ノ冠山を越えて

この二ノ森の足元まで続いている。先客がすでに居て休んでいたので大きな声は

あげられなかった、小さな声で『お~~お!!』







垂直な険しい岩壁に建つ頂上山荘は、まるで北穂の小屋を思わせる。そして南尖峰の

直下にあるはずの墓場尾根も、正面過ぎて凹凸感が全くなく目視では同定できない。








先客は高知の男性と名古屋から来たと言う女性。女性は独りで電車・バスを乗り継いで

昨日成就社で泊まり、今朝、成就社を出発して弥山から天狗岳を往復した後、

せっかくなのでここまで来たそうだ。そして今夜は頂上山荘に泊まって、明日は西ノ川まで

下るそうだ。奥様たちと変わらない年齢に見えるが随分と達者な人だ。奥様たちと

たっぷりとお喋りをした後、元気にサブザックを背負って弥山へと戻って行った。











お昼も過ぎているのでここでご飯にする。このところ前日の仕事帰りにコープに寄って

巻き寿司か稲荷ずしを買って帰っていたが(夜は30~50%引きになっている)、昨日は

どちらも売り切れで、チラシ寿司になった。お酢の効いたチラシ寿司は普段なら食欲を

そそるはずだが、やはり今日は2/3を食べるのがやっとだった。

お昼ご飯を食べたら『また来週来るからね!』と、この絶景とお別れして山頂をあとにする。





鞍瀬の頭へは奥様たちだけで登ってもらい私はトラバース道を五代ノ別れへと。

トラバース道からは五代ノ別れから五代ノ森への稜線がクッキリと見える。











五代ノ別れの三差路からは右に折れて今度は堂ケ森への鞍部へと下って行く。途中で

堂ケ森を背にした少しだけ花を残したアケボノツツジが咲いていた。先週も思ったが、

今日が本当に今年最後のアケボノツツジになるだろう。







鞍瀬の頭から鞍部への雄大な景色の笹原を独り下って行く。鳥の囀り、風の音。その

余韻に浸りながらゆっくりと下っていると、鞍瀬の頭の山頂直下で声がした。奥様たちだ!

今まで静かだったのが、まだかなり離れているが急にいつもの賑やかになった気がした。(笑)

















堂ケ森の登り辺りで合流すれば、後は下るだけだと思っていたら、もっと下の水場の

辺りで追いつかれた。そしてあっという間に離されていく。待って、待ってください!(涙)








ここから見る鞍瀬の頭と弥山・西ノ冠山ともここでお別れ。このコースの特徴の

オモゴザサとシコクシラベとは別に、シコクシラベの白骨樹も趣がある。

ただこのシコクシラベも徳島・高知では絶滅危惧種Ⅱ類、そしてこの愛媛では

準絶滅危惧種になっている。葉の付いたシコクシラベがいつまで見られるのだろうか。











堂ケ森からも奥様たちは一気に下って行く。そのスピードが半端ない。青空と同色の

面河ダム湖を見下ろしながらの道も新鮮だ。














ブナの道まで戻り大ブナに手を触れお別れの挨拶をする。しばらく下って行くと

奥様たちが立ち止まって何やら話込んでいる。どうやらここが青滝山との分岐の

ようだが、道標もなくピンクのテープがあるだけなので気づかなかったのだろう。











分岐からも二人のスピードが落ちない。とうとう往路でお昼ご飯の前に、二ノ森の

手前ですれ違った男性に追いついてしまった。この辺りの植林地は丁寧に枝打ちが

されていて、杉の木もすくすくと伸びている明るい林は気持ちがいい。











するとあっちゃんが屈んで何やら写真を撮っている。その横でルリちゃんが『笹の花?

かもしれない』と言っている。花音痴が返って調べて見るとこの実から白い花が咲くようだ。








奥様たちの超特急のお陰で登山口の駐車場には予定通りの16時には着いた。

今日の天気で今までになく汗をたっぷり掻いた。車に乗り込む前に三人とも

シャツを着替えて、整理体操をして乗り込んだ。これからの季節、暑さ対策が

ますます大切になってくる。でもそれ以上に自身の体調管理が重要だと反省しかり。

さて来週はいよいよ今回の引地山までの線が繋がる。目標を作っての山歩きは

とにかく楽しい。事前にコース取りを計画するときの楽しさ、実際にそのコースを

歩てこそ見える景色と予想しなかった道外し。そして歩き終わって次々と繋がって

いく線。さあ来週に繋がった後、今度はどこを繋げていこうかな?