『線で繋ぐ石鎚山~引地山』も残すところ、石鎚山から二ノ森の区間となった。
今週は奥様たちの都合で木曜日に予定していたが、天気がいいのは水曜日までで、
木曜日の天気がイマイチ。せっかくなら石鎚山から二ノ森の稜線は、青空の下で
歩きたいと思い順延する事にした。奥様たちには自主トレにしましょうと伝えて、
私は天気のいい水曜日に歩くことにした。ただこの間の体調不良を鑑みて、どこか
軽めに歩ける山は・・・・と考えていたら、YAMAPでのりたまさんが、『徳島
花紀行』と題して、高越山のオンツツジと岳人の森のヒメシャガの写真をアップ
していたのを見て閃いた。まだ見た事のないヒメシャガの群生と、直ぐ近くの手軽な
お山の雲早山のシャクナゲ尾根・・・・・に決定!
山川町から国道193号線を南下。倉羅峠を越えて神山町に入ると木々の間から
見えた南の山に見覚えのある施設が・・・・『高城山だ!』
巨大なレーダー雨量測候所のある高城山は、アンテナ施設が林立する梶ケ森と
同様に、遠くからでも同定しやすい山だ。
神山町川又からさらに国道193号線を走り高度を上げて行き、雲早トンネルを抜けると
左手に一般駐車場と書かれた4~5台は停められる駐車スペースがある。
以前はここから更に剣山スーパー林道を走って登山口まで車で乗り入れられたが、
現在は途中で崩落個所があり通行止めになっているので、この駐車場がスタート
地点となる。既に車が二台。二台ともが福岡ナンバーの車だった。
7時50分駐車場をスタート。いつになく早い時間のスタートだ。朝の光を浴びた
新緑が目に眩しく、爽やかな朝を迎えて喜ぶ鳥の鳴き声がそこらじゅうで響いている。
ヤマヤナギの綿毛はまさに綿といった感じで、このまま集めたらお布団に出来そうだ。
道はこの土須峠の標識で大きくヘヤピンカーブになっていて、そのまま歩いて行くと
土場の様な広場からは、正面に高城山が大きく見えた。
崩落個所は更に次のヘヤピンの場所だった。大きくえぐれて崩れた道。でも確か以前に
崩落したのも同じ場所だった気がする。この場所は谷筋になるが周りの水はちゃんとした
排水路を流れるようになっているのに、何故か同じように崩れている。
道は崩落個所の手前でショートカットして、カーブの上部に歩けるようになっている。
スタートからおおよそ30分で登山口に着いた。その手前のシャクナゲ尾根への取付きは
ホイールキャップが目印になっている。
登山口からは沢沿いの道を登って行く。大きな音をたてて流れる水はまだ冷たそう。
南から差し込む光に当たった新緑のシャワーの中を歩いて行く。
途中のテーブルのある広場は大雨のあと谷筋から石や岩が流れ込み、年々狭くなっている。
カツラの大木も芽吹いたばかりの明るい緑で覆われている。
広場からは少し方角を変えて東に向かって登って行く。この道も谷筋。雨の影響で
道が荒れるのが、所々で踏み跡が分かりづらくなっている。ミズメの木は
高い位置で枝葉を伸ばしている。
ほぼ支尾根近くまで登ると、今度は南東に向かって九十九折れの道が始まる。
気持ちのいい自然林を眺めながら汗を拭きふき登って行くと、苔岩の庭園。
庭園を過ぎるとパラボラの分岐に着いた。ここから山頂は右に折れて10分もかからないが、
今日は左に高丸山方面に。縦走するわけではないが、次に考えている『線で繋ぐ
剣山~和田ノ鼻』の縦走で、菖蒲権現を経て柴小屋山へ向かう分岐点を確認しに
いく事にしたのだ。
パラボラ分岐からは直ぐに展望広場。鹿舞ダキ山の肩の右に見えるのは東宮山かな?
その奥の峰々は高越山。振り返ると山頂手前の岩のピークにピンクの色が見える。
色が少し薄いのでミツバツツジではなくシャクナゲだろう。
展望広場から気持ちのいい尾根を歩いて行くと、1445mの標高点。この場所には
毎年カタクリの花が咲く。そして今はシャクナゲが盛りだ。標高点の石柱の横に
古い案内標識があるが、字が消えて全く判読できない。でもここから北に菖蒲権現への
道が続いているようだ。ここからは結構な斜度の下りになっているが、菖蒲権現から
柴小屋山へは剣山スーパー林道と交差しながら稜線は続いている。この区間、
菖蒲権現までの往復とするか、柴小屋山までだと結構距離がある。さてさて
どうするか、またゆっくり考えてみよう。
標高点から少し密生した草木を掻き分け下っていると、下から男性2名、女性2名が
登って来た。私が草木からいきなり飛び出したものだから、かなり驚いた様子だった。
今から高丸山へピストンするそうだ。『がんばってくださいね!』と言うと、
すれ違いざまに『がんばらんといかんね!』と。はて、駐車場に停まっていた、
福岡ナンバーの人達かな?
パラボラ分岐まで戻り、岩のピークへと登って行く。左手には高丸山への稜線が
見え始める。斜面にはまだミツバツツジが所々で咲いている。
岩のピークから山頂までのこの間は倒木が多いのか、来るたびに木々が疎らになり
明るい稜線になっているように思う。以前にはなかったシャクナゲ尾根への分岐に
案内板が設置されていた。
山頂はやはり誰もいなかった。360度の眺望と青空を独り占めだ。正面に高城山を
眺めながら腰を降ろしてのんびりと。高城山の左の南高城山のシロヤシオの花付は
今年はどうだろうか?。二年前に奥様達とこの山に登ってシャクナゲ尾根が不発に
終わって、時間があったので初めて南高城山まで足を延ばした。その時のシロヤシオは
見応えがあった。今年はどの花も花付がいいのでシロヤシオも期待できるだろう。
南に二三子山(昔は福寿草と言えばよくこの山に登っていた)
高城山のレーダードーム(左の三角が南高城山?)
西砥石権現の鞍部にファガスの森
大川原高原の風力発電も見える
山頂に祠のある山はたくさんあるが、狛犬まである山はなかなかない。次に目指す
線で繋ぐの大川原高原までの稜線。『待ってろよ!』
20分ほど景色を眺めながら休憩した後、いよいよ今日の目的地のシャクナゲ尾根へ。
先ほどの分岐の案内板がまだなかった時は、このヒメシャラの大木を目印に左に折れた。
すると下から年配の男性3人が登って来た。登山口でスーパー林道を神山町から
走って来て、シャクナゲ尾根の登山口に車を置いて登って来たようだ。
『どうでしたかシャクナゲ?』と聞くと、『下の方はもう落花し始めているけど、
上の方はきれいに咲いているよ!』と教えてくれた。見た目の歳の割には三人とも
蛍光色のお揃いの派手なシャツを着て、仲良く話をしながら登って行った。
あの年で男三人仲良く山登りが出来るなんて・・・・・いいな~と。
シャクナゲ尾根への分岐にも同じような案内板が設置されていた。さあここからが
激下り。油断すると転落に繋がりかねない。慎重に下って行く。そしてシャクナゲは
期待通りにこれでもかというくらい沢山の花をつけて咲いていた。
途中でソロの女性と男性とすれ違う。どうしてみんな時計回りでなく、反対周りで
この急登を登ってくるのだろうと思いながら下って行ると、シャクナゲの硬い根っこに
足を引掛けて転びそうになった。『そうかこの尾根下りの方が難しくて危ないからだ』
花は濃いピンクから薄いピンクと様々。薄いピンクは近づいて見ると透けて見える。
途中で崩壊した尾根や木の根で踏み跡が不明瞭になった場所が何ヵ所かある。すると
目線の下に見覚えのある伐採地らしい斜面が見えた。慌ててYAMAPを見て見ると
道から左に反れている。そういえば前回もこの辺りで道を外して、ここからまだ
かなり下で気づいて這い上がって来た場所だ。また同じ間違いをした。仕方がないので
尾根に向かって急斜面を横切るが、掴む木もなく危うく転げ落ちそうになる。
何とか難を逃れてシャクナゲ尾根へ復帰。この時点でシャクナゲ尾根の半分くらい。
次第に道の傾斜は緩やかになってくるが、肝心のシャクナゲは色が変わり始め、
足元には散った花弁が散乱していた。山頂から50分ほどで林道に飛び出した。
以前に見た時の大爆発ほどではなかったが、それでも四国でも有数の群生地を
堪能できた。今日の目的ひとつめクリア!
駐車場への帰り道から双耳峰に見える山は砥石権現かな?途中では崩落個所への
工事車両の乗り入れの為か、重機によって林道の路面の整地作業がされていた。
更にその先には索道やモノレールを使ったけっこう大掛かりな工事。釜ケ谷の
対岸の治山の為の工事らしい。道の脇に咲く小さな草花を撫でながら駐車場まで戻る。
駐車場には4~5台ほどの車とバイクが停まっていた。そこから今日の二つ目の
目的地の岳人の森に移動。入り口にある観月茶屋でお昼ご飯にする。
冷たい出汁にすだちの爽やかな酸味は喉こしがとてもいい。
食事の後は車をキャンプ場の駐車場に移動して散策開始。順路の矢印に沿って
草花の咲く斜面を登って行く。途中のシャクナゲやオンツツジはもう終わりを
告げていた。そこからさらに登って行くとお目当てのヒメシャガの群生地。
日陰に咲く白い花びらに黄色と紫の模様のシャガに、今まで何故かあまりいい
印象が無かったが、そのシャガより一回り小さいヒメシャガの紫の花びらは
とても可愛らしく目に映った。なるほど日本一の群生地と謳うだけの事はある。
順路通りにゆっくりと歩いて行くと今まで見た事もない希少な草花があちこちに。
雲早山のシャクナゲに始まり、今日はまさしく花紀行。のんびり歩いて、美味しい
食事をして、そしてヒメシャガの可愛い花を眺められた楽しい一日だった。
さあ時間もあるし温泉入ってその帰りに散髪して来よう!
(週一の休みは山ばかり、なかなか髪を切る時間もありません)
クリンソウ
エビネラン
オダマキ
ヤマブキソウ
神山町から石井町に抜ける道すがら、道の脇で昼間から体操をする人々の姿が。
と思ったら手作りのかかしだった!(笑)