特に自分は三角点フリークではないけれど、以前から訪ねてみたいと思い続けている三角点が国分寺にあった。
四等三角点 国分台は過去二度チャレンジして、二度とも近づくことさえできなかった鬼門の三角点なのだ。
それは地形的なものとかルートの難易度とかの問題ではなく、ただ自分が平日登山者だということだった。
そう、国分台は八十番札所国分寺の北、五色台の山中にある三角点なのだが、その場所は自衛隊の演習場の中に
あり、平日だと自衛隊が演習していて立ち入ることができない。(もちろん日曜日でも)
山友はじめ他の人が訪ねているのは日曜日で、どうやら自衛隊もお休みの様子。それが平日だと銃器の発砲音が
山の中に鳴り響いている、そんな場所なのだ。
初めて計画した時は、その演習場のぐるりを囲むようにして造られている防火帯を通って三角点を目指す予定だ
ったが、道を間違えて演習場の中へいつの間にか入ってしまっていた。そしてふと見ると戦車が二台。何食わぬ
顔をして通り過ぎようとしたが当然注意され、追い出されてしまった。
その後防火帯の場所を探し出して予定のコースで歩いて行こうとしたら、行く手をジェットコースターの
ファーストドロップの様な急角度の防火帯に恐れをなして撤退した。
二度目は高結神社から直登して防火帯まで登ったが、やはり銃器の発砲音がして諦めたという経緯があった。
そんな因縁のある国分台だが、今日は土曜日だけれど正月。さすがの自衛隊もお休みしているだろうとふんで、
以前に計画した防火帯を通って三角点を目指すことにした。
その前に取り合えず何度も訪れているけれど、YAMAPの山頂ポイントとしてゲットしていない、猪尻山と
大平山をゲットしてから三角点を目指すことにした。
いつものように国分寺のカッパドキアのスタート地点になる駐車場に車を停める。見上げると国分台の岸壁が、
寒風にさらされて白く輝いていた。
駐車した場所から少し下がって舗装路を東に入った場所の脇から取り付いて行く。以前は羊歯をかき分けかき分け
け歩いたけれど、今は羊歯も刈られていて歩きやすい道になっていた。
道の両側の背丈以上もある羊歯はこの寒さの中にあって、若い緑色していて生き生きしている。
少しづつ高度が上がってくると、国分寺の北部とその向こうに里山が見渡せる。
羊歯の海が終わるとカッパドキアの谷を見渡せる場所に出る。初めてこの谷を訪れたときは対岸にそってもちろ
ん藪をかき分けて登った記憶がある。その谷筋の終端にはいつの頃からそう呼ぶようになったのか大天狗の岩壁
が、その終端を塞ぐように立っている。
谷筋の上からは正面に国分台の岩壁とその上に波打つような防火帯がちらっと見えている。東を見ると六ツ目山
・伽藍山・挟箱山のおむすび家族とその後ろに堂山が逆光でシルエットになっている。
このカッパドキアの地質は年末に歩いた小豆島の地質に似た露岩だけれど、小豆島の露岩は崩れたりせず固まっ
ていたが、ここの露岩はぽろぽろ崩れている。道の脇には小さなキノコ岩。これも大嶽の足元から見上げた岸壁
に生えていた?のと同じような形をしている。
谷筋に沿って行くと終点の大天狗。この岩壁も大小の岩が岩壁に張り付いたようになっていて、これも五剣山や
屋島の冠ケ嶽の岸壁と同じような地質をしている。
大天狗の岩壁の上は2mほどの幅の平らな露岩になっている。その下から冷たい風が吹き上げてくる。
見晴らしとしては抜群な場所。ここで腰掛景色を眺めながら一服したいところだが、とにかく風が冷たく寒い。
すぐに山手へ猪尻山目指して入って行く。ただ前回はこんなに苦労したかと思うくらい足元は滑り、木々の中に
は時々意地悪な茨が密集していたりと悪戦苦闘。ほぼ真っ直ぐには登れず、木々の隙間を見計らっては右に左に
とかき分けながら登って行く。
その内何度かは枯れ木のトラップに引っ掛かり、後ろにのけ反りそうになる。以前のトラックを見てみると、
少し東を歩いているが、トラックを辿るのも面倒でそのまま登って行くが、これが後の祭りで帰って過去のブロ
グを確認してみると、途中から踏み跡らしいルートを辿っていた。
結局、大天狗からは標高差150m、距離にして300mほどを50分かかって猪尻山に着いた。久しぶりの藪
コキらしい藪コキだった。そして三角点の脇からは悔しいことにしっかりとした踏み跡が麓に向かって続いてい
た。写真を撮った後電波塔の横で腰掛小休止。今日初めての水分補給。四等三角点 猪ノ尻山 438.95m
猪尻山からはゴルフ場跡地の太陽光発電所のフェンスに沿って歩いて行く。横たわった屋島の上にちょこんと五
剣山が頭を覗かしている。
発電所の横から少し脇に入って行くと巨大なNTTドコモ電波塔と今は用無し?になったマイクロウエーブの反射
板。この二つは麓の国分寺からもよく見える。発電所の入り口には唯一ゴルフ場の在りし日の門柱が残っていた。
さらに先に進んでいくとここにもカッパドキアのキノコ岩と同じような形をした、高松空港のレーダー施設が建
っている。
レーダー施設の入り口から県道に出る。舗装路の脇を落ち葉を踏みながら歩いて行くと一カ所東の眺望が開けて
いた。そこからは岩清尾山の左側に高松の湾岸地区、そしてシンボルタワーが見えた。
レーダー施設からまたNTTドコモの電波塔を過ぎ、二つ目の電波塔の奥に大平山。 三角点は二等三角点 新居
478.69m。
それにしてもこの道沿いは電波塔だらけだ。そう思いながら歩いて行くと中山休憩所に着いた。そこには見慣れ
ないきれいなトイレができていた。そのトイレの裏の東屋で早めのお昼ご飯。久しぶりにカップラーメンにして
正解。暖かいお汁が身に染み渡る。
それでもじっとしていると身体の冷えは治まらない。食べ終えて早々に歩き始める。県道から四国のみち、そし
て白峰寺から根来寺への遍路道に入って行く。いきなり倒木で道がふさがれていたが、長い脚?で跨いで歩いて
行く。道は最初は路盤が見えていたのに、次第に落ち葉で埋まって行く。
道には遍路道らしく石仏の丁石が並んでいる。
十九丁の石仏の横にはお遍路さんのための『景子ちゃんの接待所』があった。ちょうどボランティアの方がジュ
ースやお茶の補充をしていた。色々と話を聞かせてもらったが、景子ちゃんのお接待の謂れについて書かれたプ
レートの話が特に面白かった。(内緒)
ここから道は白峰寺へ道と一本松への道に分かれている。途中の石仏は丁石ではなくなっていたが、国分寺から
歩いてくるお遍路さんをずっと見守っているのだろう。
景子ちゃんの接待所から15分ほどで一本松に着いた。ここから南にへんろ道を下ると80番札所の国分寺。
本来ならスタート地点からの周回だとここから下って行くのだけれど、今日の目的は周回ではなく国分台の三角
点。ここから県道を少し西に歩いて脇道に入って行く。
どこの山中でも見る廃車を横目に見て、最終民家の横を過ぎ少し藪っぽくなった所でズドーンと音がした。『ん
?』猟銃と思ったが、続いて連発の音がした。『いや~演習してるやん!』
自衛隊さん週休二日にして土曜日もお休みにしようよと思いながらも引き返した。さすがに銃弾飛び交う演習場
の中には入っていけない。
仕方がないので一本松まで引き返して下って行く。すぐに東屋のある展望台とお大師さん。
ここからはへんろ転がしと云われる急坂が続いて行く。大天狗からの滑りまくりの急登が堪えたのか、段差の大
きいこの階段状の道で左の膝が傷み始めた。一段一段膝を庇いながら降りていく。
へんろ転がしを降り終えて石鎚神社へ寄り道してみる。
石鎚神社の分社らしくて鎖場もあるが、今日は落ち葉が積もっていて膝の調子も悪くてパス。
石鎚神社に参拝した後、スタート地点の駐車場へとお戻って行く。正月太り解消するには計画通りに10kmオ
ーバーを歩きたかったけれど、素手では銃器に敵わない(笑)本来の目的の国分台の三角点には三度目の正直な
らず、3戦3敗になってしまったが、まぁ家でじっとしているよりはマシだと慰める。