先月歩いた鶏足山や梶ケ森で、このシーズンには珍しく、
雨に濡れて岩や木々に付いた生き生きとした苔が目につきました。
春の花のシーズンには少し間が空くので(あまり花には詳しくないので)、
今回は前回がご当地アルプス第三弾だったので『苔の山第三弾!』を企画。
メンバーが未踏の山でどこかないかと考え思いついたのが鉢ケ森でした。
以前に誰かのレポートで目にした鉢ケ森は、山犬嶽程ではないにしても
たこ焼きのような丸い岩に苔が付いた写真でした。と言う事で今日は10名のメンバーで一路高知へ!
今日も西と東のメンバーで2台の車に分かれて南国市の風の市で合流したあと国道195号線を東に走ります。
道の脇ではさすが南国高知。もう田植えの前の水がはられていました。アンパンマンミュージアムを過ぎて
北に物部川を渡って林道を走り杉林の中をグイグイと高度を上げていくと、道の脇の法面のコンクリートの
上をお尻を向けて逃げるずんぐりとした物体が。『イノシシや!』と言うと隣でひなちゃんが驚いた声があげています。
薄暗い杉林を抜けると景色が開け所々で麓の景色が見え、ほどなく峠に到着。
峠から北にアスファルト道を少し下がったヘアピンカーブの所に登山口はありました。
正面には青空の下先日歩いた梶ケ森の電波塔がくっきりと見えます。『いい天気だ!』
切り通しの法面に沿って急登を登ると笹の道から杉林に変わります。
『さっき、イノシシがいたね~』と話をするとまゆゆが『え~ちらっと顔が見えたけどカモシカだったよ!』と。
『体形はイノシシだったけどな~。カモシカにも短足はいるんやな~!』
杉林の道は風で落ちた枝や葉が積もって何度も足を引っかけてしまいます。
デジカメを構えながら歩いていると度々転びそうになります。するとルリちゃんが
『KAZASHIさん。2回目で~す!』と言うと、少し離れた後ろでやまじいが『え!転んだん?』と。
『やまじい~なんか嬉しそうに聞こえるんやけど!』
杉林が終わると地形図に松尾越となっている鞍部に一旦下ります。
すっかり葉の落ちた開けた林になっている松尾越。道は少し右に振っていますが、尾根の方にも続いています。
先を進んで行くメンバーと後続が開いていたので、一人残って間違えないように待つことに。
しかし、しばらくたっても後続が来ません。やっと坂の上に現れたメンバーの姿を見て冗談で、
『やまじい~転んだん!』と言うと、一斉に笑い声がします。
なんと冗談ではなく本当に途中でやまじいが転んだようで、しかも『KAZASHIさんには黙っといてよ!』と言っていたとか。
『いやいや黙っていてもその膝を見たら誰でも気がつきますよ!』
鞍部から少し下って支尾根を北側に回り込むように歩いて行きます。道はザレて不明瞭。赤テープを目印に進みます。
支尾根の北側になると苔が目についてきます。陽が余り当たらない場所では霜柱が残っています。
道はゴトゴト岩と呼ばれる空谷にでました。大きな岩が谷の上から下まで続いています。
ゴトゴト岩を過ぎ苔岩の中を少し登って行くと道には石灰岩?なのか白い石が目につきます。
ザレた道には白い石とまた違った薄紫のきれいな色をした石もあります。
ザレ場を過ぎると苔岩の斜面が現れました。するとゆかりんが、
『苔~~!』と後ろから来るメンバー声をあげています。
『ゆかりん。やまじいにコケ~(転べ!)なんて言ったらいかんよ!』
でもここの苔岩は皆さんのレポートで見たたこ焼き苔岩とはちょっと違うような・・・・・。
にせ苔岩を過ぎるとやはり今日の目的のたこ焼き苔岩が現れました。
山犬嶽の苔岩は割と平たんな場所にこんもりとした山のようになっていますが、ここの苔岩は
斜面に延々と続く丸い苔岩でまた違った迫力があります。
陽の当たったヶ所と影になったヶ所のコントラストが立体感があって、
何やら地中から湧いてうごめく怪しげな生き物のようにも見えます。
その苔岩を横に見ながら今日一番のザレた急登を登ります。
足元にはオクラを大きく太くしたような茎が何本も伸びています。
『KAZASHIさん!これ何は何て言う名前!』と聞かれるのですが、レポートで見て覚えていたのに思い出せません。
斜面のあちらこちらで顔を出している茎を、出来るだけ踏まないように上って行きます。
急登を登り詰めると道はなだらかになり灌木の道を過ぎると突然開けた場所に出ました。
梶ケ森を始め周りの山々の眺望が広がっています。少し霞んでいますが高知市内も見えています。
さ~あとひと登りで山頂です。がんばって登って行きましょう。
山頂直下の斜面にはブナの大木が点在しています。幹の低い位置から四方八方に枝を伸ばして鎮座するブナ。
寒い冬を静かに過ごしたあと、これから芽吹いて葉をつけまた生き生きと輝く事でしょう。
安徳天皇がここで行宮(あんぐう、会の御所)を営んでいたときに、山の主と言われる物がいて、
たびたび恐ろしい異変が起り、これを鎮めようとして持っていたた御兜の鉢を山上に埋め、
山祇の命草野姫の命をお祭りして朝夕礼拝したところそれ以来妖怪変化はなくなり、
長くこの地に住んだところから山の名前となった鉢ケ森。山頂には大山祗神社の祠がありました。
南側は太平洋まで続く高知の眺望が開けています。
まだ少し時間も早いので記念撮影のあと、北西の1219mの辺りまで足を延ばしてみることにします。
先ほどのブナの大木の横を下り広い斜面に出ると、緩やかな尾根が続いています。
この山の眺望はやはり山頂よりここからの景色が一番でした。
ゆとりすとパークの風力発電や遠くには法皇山系、そして祖谷山系の国見山や中津山。
春の日差しを浴びながらのんびりと歩いて行きます。先週が少しハードだったようなので、
今週は緩めにとこの山を選んで正解です。いつも以上に皆さん話が弾んで歩いています。
珍しく杉さんもIRIBITOさんと話しこんで歩いています。
道の脇にあるブナを見てやまじいが、『これ、さっきのブナ?(山頂直下のブナ)』と言っています。
今日はやまじいのボケが冴えわたりツッコミどころ満載です。来月に予定している神戸支部長?の企画としての
六甲山登山がだんだん不安になってきました。
『支部長では不安やから、先週来てくれた生粋の神戸っ子のひろりんを絶対連れてきてよ!』
一つ目のピークから1219mの標高点はさらに下って登り返しになるようなので、ここで引き返します。
今日の最終到達地点で記念撮影。両手に花で鼻の下が伸びているやまじい!
セニョさんに代わってバンザイポーズの麺法師さん!
足の長さを自慢する(笑い)ルリちゃん!
今日の登山道は道に掛かる倒木が意外と多くて、その度にゆかりんが『頭!』と声を掛けます。
足元ばかりに気を取られ、木を跨いだ後にある枝で頭を引っかけたりする場面も度々。
眺望広場からたこ焼き苔岩へのザレた斜面を下って行きます。
ここで突然思い出しました。『バイケイソウや~!』葉が伸びる季節にはこの斜面一面が緑の葉で包まれるようです。
晴れの日が続いて乾いた苔はモコモコとした感触。可愛らしい苔玉も道の脇に。
今シーズン最後の雪を横目に見ながら、往路の時とまた陽の当たる角度が変わって
苔の緑の部分が多くなったたこ焼き苔岩に別れを告げます。
ここからの道でもゆかりんの『頭~』の声が飛び交います。ただ声を掛けるゆかりんとみなちゃんは、
屈むことなく難なくくぐって行きます。するとルリちゃんが『身長、何センチ?』と聞くと
みなちゃんが『53.6!』と答え、『何その6mmの半端な数字?』とルリちゃん。
『いえいえ身長の低い人にはこのミリ単位が重要なんです!』というみなちゃん。
前を歩くゆかりんも大きくうなずいています。
苔の道が終わり松尾越の手前で1118mの三角点に寄り道します。『四等三角点 松尾』の周りは
きれいに下草も刈られていました。
三角点から支尾根を下って松尾越に。
往路では一升瓶が転がっているのを見てはいたのですが、その瓶に文字が書かれているのには気づきませんでした。
時間は丁度お昼時。松尾無線中継所の廃墟の前でお弁当を広げます。
先ほど峠の道に下った時に廃墟はまだ上に3つ見えました。ご飯を食べたあとは『廃墟ツアー』です。
建屋まではずいぶん昔に使われたと思われる車道が続いていますが、もうその面影はなく
真直ぐに歩けないほど木々が生えています。切り通しでは脇の斜面が崩れて道が埋まっています。
一つ目の廃墟は遠くからは二つに見えた建屋。ここは扉は固く締まって中に入ることはできません。
その建屋の横からさらに登って行くと、一番古い建物だったのでしょうか?
屋根も崩れ建物の内部にも木々が伸び放題になっていました。
引き返して二つ目の建屋からは先ほど登った鉢ケ森が正面に見えます。
最初の廃墟まで戻り、中を覗いてみます。三階建ての建物の一階部分には何やら大きな動力が据えられていたような跡。
錆びついた急な階段を登り、さらに今にも崩れ落ちそうな外階段を登って屋上に出てみます。
パラペットの立上は至るところで崩れ、屋上モルタル防水はほとんどが割れて浮いています。
あとから麺法師さんとなみちゃんが登りましたが、麺法師さんもこわごわです。
廃墟のよこでは痩せて年老いたイノシシ(笑)が罠の前で構えていますが、中に餌がないので入りそうにありません。
この松尾無線中継所はNTTの元中継所の建物で、梶ケ森に電波塔ができた後その役目が終わり、
屋上のマイクロウェーブの鉄塔が撤去された後、建屋はそのまま放置されて廃墟となっているのだそうです。
お弁当を食べた広場ではIRIBITOさんがお湯を沸かしてコーヒーの準備をしてくれていました。
登山と廃墟ツアーを終えて、恒例の〆の美味しい美味しいコーヒーです。
そして最後は今日の最終目的地のコンビニエンス・おかばやしに向かいます。
林道を下って行く途中、もう一台の車のメンバーが往路で見たというミツマタが至るところで咲いていました。
『往きでは全く気付かんかったわ~』と一同。
するとひなちゃんが『さて問題。ミツマタは何の原材料でしょう?』と聞いています。
私が『ヒント!高知の特産物』と言うと、ゆかりんが『芋けんぴ!』と即答。 ( ゚Д゚)
続いてみなちゃんが『カツオ?』・・・・と答えます。
『何それ!』と爆笑した後、『土佐〇〇です!』とさらにヒントを出すと、『土佐ジロー!』と返ってきました。
『食べ物ばっかりやんか!!』後部座席の二人の珍回答を聞きながら和やかに走っているとおかばやしに到着しました。
噂のコンビニにはユーモアたっぷりのお菓子やデザートが並んでいました。
『何~これ!』『かわいい!』などと女性陣が賑やかに楽しく買い物をした後、一路香川へと帰ります。
標高と行程の割には移動時間が長い鉢ケ森ですが、緩やかに続く道に珍しい苔岩。
そして眺望と廃墟ツアーと見所の多い一日でした。また違う季節にぜひとも訪れてみたいと思いました。
【Geographicaからカシミールにアップしたトラックです】
【3Dトラック】です。
一番上にあったと思った建屋の上と道の販売側にもあるんですね。確かに地形図には載っていた様に思います。所有者までご存知だなんて。詳しい情報ありがとうございました!
このあたりは大阪の企業の所有だそうで、ふつうはきちんと撤去される中継所ですが、なにかあったようで、1970年代後半から居抜きの状態で放置されています。昭和30年代から40年代前半に建てられたものですから、はや50年か60年が経過しています。