KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

やっと行けた八反奈路!

2021年06月10日 | 四国の山



以前からずっと行きたいと思って温めていた場所がある。

それは山ではではなく白髪山の山頂近くに広がる

八反奈路と言う場所。八反は2,400坪、奈路とは山間部の緩傾斜地の事を云うという。

中国、四国地方に多いナラ、ナル、ナロも、高知県では「奈路」となる。

その八反奈路には樹齢数百年の檜(ヒノキ)が林立し、名前のある主要な木だけでも

30本以上という、異世界が広がっている。

八反奈路は山中にありながら平坦な地形をしていて、木材の搬出に適さないため、

白髪山の檜を販売することで、莫大な利益を上げていた土佐藩も

八反奈路の檜を伐採することができず、現在に至っているという。

根下がりヒノキは白髪山の北面でも見ることができるが、その数は圧倒的で

是非一度は尋ねてみたいと思っていた。


WOC登山部は自粛中なので自主トレで今回は出かけてきたが、一応現地集合という形で

女性陣が集まってきた。昔、小学生の頃、女の子と遊んでいたら「女の中に男がひとり~」と

よくからかわれたが、今日は4人の熟女?の中におっさんが一人となった。


モンベルアウトドアビレッジ本山の横を通り、県道262号線を吉野川に沿って走る。

狭い道が片側二車線になって最初に民家のある場所で北に曲がって、また狭い道を

どんどんと登って行き、最上部で左手に未舗装の道をしばらく走ると登山口となる。

車を降りるとまず目の前に滝山大樽の滝が目に飛び込んできた。

何段にも分れて流れ落ちる滝から涼しい風が吹いてくる。





前日に早めに飲み終わったが少し量が過ぎたのか体調が思わしくない。

しかも今日の女性陣はルリちゃん・キョウちゃん・あきちゃん・さゆり~なの強力なメンバー。

果たして付いて行けるだろうかとスタート前から不安になる。







駐車場の横にある鳥居の脇から登山道に取り付く。滝山への道標に沿って登って行くが、

最初からいきなりの急登。直ぐに昨日のお酒の嫌~な汗が噴き出してくる。










道は先ほど見た滝山大樽の滝の上部へと続く道。かなりの落差のあった滝の上部まで

短い距離で登って行くのだから、やはりキツイ!それにしてもやはり女性陣は元気だ。







ひいコラひいコラと登っている私を尻目に、四人で『山スカートや山ガールは何歳まで?』という

話で盛り上がっている。登山部のコアラさんがよく『山ガールは20歳台まで』と言っていたので

今日のメンバーは当然NG(笑)なので、『後ろ姿、山ガールにしときましょう!』と私。







やっとのことで滝の中段に来た。『えっ!まだ中段』と思ったが、前を行く四人は

トントンと快調に登って行くので付いて行くのが精いっぱい!

滝へと流れ込む小さな沢を渡ったり、丸太の橋を渡ったりして変化のある道。

その内に大きな岩が現れた。













随分と時間が経ったように感じたが、GPSを見てみるとほとんど距離を稼げていない。

駐車場から200mほど標高が上がった場所に展望台があった。

本山町へと続く谷あいの奥に見えるのは杖ケ森や国見山(本山町)辺りだろうか?













展望台からは先ほどまでの急登がウソのような緩やかな道が続いていく。

沢沿いの道は涼しい風を運んでくれて心地よい。













何度か渡渉を繰り返しながら歩いて行き、時々その沢の水に手を浸かせて顔を洗うと、

冷たい水に怠かった身体が引き締まる。右岸から左岸に渡った場所には

『墓』と書かれた場所に、小さな祠と石仏があった。




水の流れが小さくなると薄暗い場所から明るい作業道に飛び出した。

ここから二回程作業道を横断して登って行くと、白髪山から続く支尾根に出た。










支尾根からはしばらく杉林の中の道が続いていくが、次第に道の左側は自然林が広がり始めた。

一旦登って少し下って行くと、道は支尾根の東側を巻いて行く。
















支尾根に戻ると道は自然林の中の道になり、途中で行川登山口への分岐を過ぎ

更に進んで行くと八反奈路と白髪山山頂への分岐に着いた。







ここで作戦会議。アタック隊の三人はそのまま山頂へアタック!

二週間ぶりの山に足が攣りそうになっているというルリちゃんと、

ヘロヘロ隊員はこのまま八反奈路へと歩いて行くことに。

今日の三人の顔ぶれだと、コースタイム以上の速さで往復できるだろうから、

留守番隊は八反奈路でのんびり時間を過ごす事にして別れた。

分岐からは緩やかに下って行くと裾野が広がっていき、その緩斜面にブナの新緑が広がっていた。







更に下って行くと今度は両側には苔岩の庭。梅雨時の苔は生き生きとしていてまさにベストシーズン。
































広々とした場所に踏み跡とテープに沿って散策していくと、

次々と目当てのヒノキの巨木が現れた。それぞれのヒノキには番号と名前を付けた札が立っている。

倒木の上に芽吹いた樹が倒木を覆うように根を張り、やがて倒木が風化してなくなることで、

根下がりヒノキになり独特な姿を造りだしている。樹齢500~800年にもなるヒノキ巨木。

その大きさは根の部分だけでも人がゆうに通れる高さがある。






















その根の部分も、すくっと立ち上がったものもあれば、

複雑に絡み合った、どうなったらこんな形にあるの?といったものもある。










札に書かれた名前も、なんで?といった名前がついているものが結構ある。












この木は子供をおんぶしようとして前のめりになった母親を

お父さんが踏ん張って支えているように見える。




幹の途中までは手入れをされていたのだろうか?

全く枝が無く、数十メートル上に大きく枝を広げた木。




足元の悪い場所には木道が作らていたり、切株で飛飛び石のようにして道は続いている。

それまでは根下がりヒノキの周りはロープが張られていて立入れないようになっていたが。

奥に進んで行く内に、その根の下を通れる場所もあった。



















地形図では1074mの標高点まで来ると、道は更に下に向かって続いている。

ここから先にまだ1番のヒノキまで何本かがあるようだが、下って行くのもなんだし、

ルリちゃんとテープの見える脇へと進んで行く。




踏み跡はなくテープとGPSを頼りに枝を掻き分けたり、岩を登ったりしながら

元来た道へと周回をしていく。







テープの通り歩いて行くが少し元来た道から外れ始めた。

GPSで確認して軌道修正して、ヒメシャラが二本立っていた広場まで戻って来た。

ここで腰を降ろして初めての休憩。おにぎりを出して軽めの昼食にする。

自然林の森の中、新緑の葉がそよぐ風に揺れている。

聞こえてくるのは鳥の鳴く声。揺れる新緑を見上げながらのんびりとした時間を過ごす。




分岐で後ろ姿山ガールの三人娘と別れて1時間以上になる。

そろそろあの三人なら山頂から降りてくるころだろうと腰を上げて歩き始める。

ブナの木に落ちそうになった枯れ木が何とか掴まり堪えている。

命名・イナバウアーの木

山頂への分岐に登る手前で声がした。案の定アタック隊の三人が、無事登頂を果たして降りてきた。

簡単に八反奈路の様子を説明して、アタック隊の三人は八反奈路へと歩いて行く。













支尾根の道からはあとは下るだけ。ここにきてやっと体が軽くなって来た。

ヘロヘロ往路では目に入らなかったものが目についてくる。度々立ち止まって写真や動画を撮るので

前を歩いて行くルリちゃんを何度も待たせてしまう。














途中で中段の滝にも立ち寄って落ちてくる水の涼風で涼む。


















『こんな急なところを登って来たんやな~』と言いながら、山頂分岐から1時間30分ほどで

やっと駐車場に着いた。登山口に降りる前に道の脇に進んで滝壺から滝を見上げてみる。

新緑のモミジに囲まれた大樽の滝は、秋の紅葉の頃はいい感じになるだろう。

















駐車場でしばらく腰を降ろして一服していると、予想以上に早くアタック隊の三人は降りてきた。

山頂分岐から30分で登り、山頂からは道を間違えて工石山への縦走路を下ってしまって

引き返したというのに、この速さは何だろう!恐るべし後ろ姿山ガール!










帰り道、モンベルに寄ってアイスクリームを食べながら雑談。

カップのアイスガ硬すぎてスプーンが使えないので、アスファルトの熱で溶かすルリちゃん。




山に出かける前には万全の体調でと反省した今回。

梅雨の晴れ間を狙って出かけてきた念願の八反奈路は、長い年月をかけて

逞しく生き延びる生命の力強さを感じ変化のある道に、往路はヘロヘロで

山頂は踏めなかったものの大満足の一日だった。


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