富士山・立山とならんで日本三大霊山に数えられ、古代より山岳信仰の対象とされてきた加賀白山。
山頂部は、大汝峰(2684m)、剣ヶ峰(2677m)、最高峰御前峰(2702m)と三つのピークが鎮座し、その名の通り、遅くまで雪が残り、水場もあちこちに点在し、雪解けとともに至るところ百花繚乱のお花畑が広がり、山頂部を核として古来からの参詣道や新旧の長い樹走路も八方に伸び、昭文社の「山と高原地図」を見渡す限り破線のような難路もないようで、よく整備されているようだ。1659年に最後の噴火をして以来、噴火の記録はないがCランクのれっきとした活火山である。それゆえ、ふもとの多くの登山基地には温泉が湧いていて、白山温泉、中宮温泉、白山一里野温泉、岩間温泉、新岩間温泉、大白川温泉など下山後の癒しどころが待っていてくれる。
まさに、山岳愛好家ならだれでも歩いてみたい山域なのだが、東日本に在住するものにとって、いかにも遠いし、白山に行く時間とお金があるのなら、多くが南・北・中央アルプスや乗鞍・御嶽に行ってしまい、足繫く通うということはないのだろう。
オイラもこの山に登ったのは、1度だけ。昭和の終わるころだから、32年くらい前か、和歌山県在住の折、職場の慰安旅行が能登半島だったため、行事終了後金沢駅で降ろしてもらい、たしかメインルートの市ノ瀬から山頂に向かったと思われるのだが、季節はいつごろで、日帰りだったか山小屋だったか、「よく覚えていない」。
そんなことだから、リタイア後、再訪して、じっくりこの山の魅力を堪能しようと思っていたが、やっぱり2019年は、白馬、乗鞍、御嶽、昨年は立山とアルプスに足が向いてしまった。
さて、この夏は北岳~富士山のあと、いわゆる夏山シーズンは、どの山域で涼をとろうかと練っていたところ、昨年はコロナのため運休となっていた仙台~富山・金沢の高速バスが今年は運行している模様なので、「それでは、また立山か黒部源流の山にいこうか」、「いや待てよ、朝目覚めたら金沢駅に立っていられるなら、ハクサンだ!」という結論に達した。
トイレ工事のため、お盆までのわずか2週間だけだというが、幸い南竜ヶ馬場という標高2000mのお花畑近くにテント場も開設してくれているようだ。昨夏の立山のような月明かりではなく、日程的には星がさんざめく新月の時期も重なっているようだし、ゆっくり数泊して、あちこち歩いてお花を撮ったり、寝っころんで夜空を見上げようか。
テン場まで3時間ばかりの登り、ちょっと重いが三脚と一眼を担いでいきたいが、体力に自信がないので、あと2ヶ月たらず、「鍛えよう」と前向きな考えも湧き出すようになってきた。
が、
問題は、全国的に染み出した「コロナ禍」のことである。
「そのころには、全国的にステージ3~4の嵐が吹いており、オリンピックどころかすべての動きが止まっている」
という鬼神の声がする。
一方で、「某ポンコツ宰相のいうとおり、やっと7月末までに2回目のワクチンを打つことができたわよ、さあどこへでもお出かけ!」
という聖マリアさまや観音菩薩さまのお声も、どこからか聞こえる。
どちらに転ぶかだ。ことしの夏山シーズン。それが問題だ。
2019 乗鞍山頂から眺めた白山のシルエット(再掲) 9月でも雪が残っている白い山