日々雑感「点ノ記」

備忘録(心の軌跡)

「くやく」考

2013年06月09日 | インポート
午後から、旧諫早干拓の「くやく」に出た。

子どもの頃に父親が年の内に何回か、どこそこの田んぼの「くやく」に行ってくると言って、スコップや鎌などを持って出かけていた。

子どもの頃には音として「くやく」という言葉を覚えていて、共同で田んぼの溝浚えや農道の除草作業などをすることをあらわす言葉だと認識していた。

そして、それを漢字で表せば「苦役」だろうと思い込んでいた。

しかし「苦役」の意味を検索してみると、「懲役」を表す言葉だとある。

自分が認識している「くやく」の意味からは大きくかけ離れている。

ゆえに、他の漢字があるはずだと思い検索してみる。

「公役」と書いて「くやく」と読み、官府から課せられる軍役や夫役とある。

また、「公役」と書いて「こうえき」と読み、兵役や夫役(ぶやく)など、国家または公共団体から命ぜられた役務をあらわすとある。

おそらく、田んぼなどの共同作業の際に使われている「くやく」という言葉は、漢字で書けば「公役」であり、元々は公的な夫役を意味するものだったが、土地改良区での共同的奉仕作業にもそれを使うようになったというところだろうか。

田んぼなどでの共同的奉仕作業の事を「でぶ」という地域もある。

漢字で書けば「出夫」ということになろうか。

旧北高来郡高来町の人が、そのような言葉を使っているのを聞いた事がある。


本日は、その「公役(くやく)」での水路脇の除草作業だった。

作業自体は、数十人規模で刈り払い機を使っての除草作業なので20分程度で終わるのだが、その作業に入る前の伝達事項などに要する時間が長い。

伝達事項の説明中に小雨がぱらついたが、除草作業を開始する頃には雨は止んでいた。

公役の除草作業が終わってから、自分の田んぼの除草作業をやった。

少し前に除草していたが、梅雨に入って雨が降ったり照ったりで、田んぼの草の生長は恐ろしいほど速い。

さらに、田んぼ脇のアスファルト舗装道路面のわずかな隙間から生え出ている雑草の生命力は相当に強く、わずかの期間にかなり生長していた。

田んぼの畔の部分と、道脇の下の田んぼに生えている雑草を刈り、田んぼの一部に繁茂しつつある葦(よし)を刈ったりして、その後、道路面に生えている草を刈り終わったら17時を回っていた。

「くやく」と「くやく」の後の除草作業で、草払いをできる環境にあることの幸福感を味わいながら、適度な肉体労働で体を動かす事ができた休日だった。



豊田一喜