日々雑感「点ノ記」

備忘録(心の軌跡)

場所のグラデーション

2013年06月28日 | インポート
実家に車で帰る途中で思った。

自分の記憶の中にある「場所」にも、濃淡があるのではないのかと。

頻繁に行った事がある地域は、色であらわすならば濃い色のような認識で、そのような場所から離れるほど薄い色のような認識の様に思える。

今住んでいる所の色は淡い色で、佐世保市内からハウステンボス町、東彼杵町、大村市、諫早市と通過しながら自宅に近付くに従って、記憶の色が濃くなっていくように感じた。

それぞれの場所で過ごしていた時間や通った事がある回数の差がそのように思わせるのだろう。

ハウステンボス町の周辺や南風崎町(はえのさきちょう)ならびに東彼杵町大音琴周辺へは、緊急雇用対策によって雇ってもらっていた頃に、荒廃竹林整備の現場監督として何度か通った事はある。

大村市には竹松遺跡の発掘作業員として今年の3月まで約9ヶ月間通った事があるし、諫早市は雲仙市の隣りだから買い物などで頻繁に行っている。

それらの場所の風景をどれだけの回数見たかによって、記憶の濃さが異なるように思える。

必然的に生まれ育った実家に近い所を訪れた頻度が高いので、車で移動する時にそれらの記憶が呼び戻されて、色に例えれば濃い色に感じるのだろうと思う。

自宅に帰るまでの2時間の時間の中で、場所のグラデーションが変化してだんだんと濃くなり、終着点の我が家において最も濃くなり、最もくつろいで落ち着ける空間になる。

週に一度の、場所のグラデーションの貴重な体験。




豊田一喜