川越だより

妻と二人あちこちに出かけであった自然や人々のこと。日々の生活の中で嬉しかったこと・感じたこと。

希望のありか示す  沢山町政

2009-02-07 21:17:13 | ふるさと 土佐・室戸
 ときどき、高知県東洋町の沢山町長の日誌を読ませてもらっています。町長が先頭に立って殖産興業を計り、役場の職員や町民を奮い立たせようとしている様子が伝わってきます。



       2009年2月 1日 (日)
    面接


東洋町単独で緊急雇用対策を打ち出した。臨時議会にかけて、失業者・不安定就労者を雇用すべく、公募した。定員10名ほどだ。
1週間ぐらいの期間で35名の応募があった。
大勢の応募者を見てはじめからあきらめて辞退者もあった。

今すぐにどこかの職場で欠員が生じた、というわけではない。役場や直轄会社リボルトも目一っぱい人を雇っている。
失業対策で採用してもこれらの人々の仕事場を作り出すことが先決であった。野山の放置された耕地や山林に入ってもらうにしても、その耕地と山林を用意しなければならず、道具類も用立てねばならない。採用した10人の人を統率するリーダーも必要である。そして、それらの人間と業務について、効率よく働いてもらうように当方が管理し運営するのであるから、その気遣いも大変である。

しかも、予算が続く間の、使いっぱなしでいい訳ではなく、その事業が採算ベースに乗り、継続出来るようにしなければならない。昔の失対のように道の清掃などだけではなく、地域の産業復興の先端としての役割を担うのである。
多くの応募者の中で10人を選択するのは極めて困難である。農作業や、山の仕事であるから、経験や技能、体力を主としてみているが、扶養する家族が多い人も救わねばならない・・・・。

1人でも多くを雇いたいし、まだ少々の予算はあるけれども、仕事場を構える当方の能力に限界があるのだ。賃をやるから何でもして働け、というわけにはいかないのである。
4月からの来年度は雇用対策について国の支援金も相当あるけれども、それを活かせる準備・体制が間に合わないのである。
町長が正月返上365日休みなく働いても、おびただしい雇用を求める需要の声に、供給が追いつかない。都会で働いていて失業したとか、地元の土建業がつぶれたとか、町内の状況は極めて厳しい。

1月31日の面接は無事終了した。10人を社員として雇い、その他に数人を役場で雇えないか検討することにした。なお、4月からは予算が可決されたら、今回選にもれた応募者からさらに何人か相当人数を採用する予定で5~6人を補欠者として決めた。今のところ、東洋町としてはこれが精一杯だ。

 都会に出ていた多くの人々が失業をしてどんどん故郷に帰ってくる。昔と違うのは、帰っても田や畑は荒れ、海は枯渇していて生きるすべが少ないということである。自ら土にまみれて開墾から始めねばならない。
日本を覆うこの暗い経済状況はこれから一層悪くなることはあっても少しもよくなることはない、ということだ。社会全体が激変しつつあり、大変動の時代が迫ってきている感がする。疾風怒濤の時代の中で東洋町だけは町民やその親族が生き抜いていく準備をしなければならない。

 面接の後、数人の者と野根の奥山に入って間伐の状況を見て回った。東洋町の大自然を活かせば十分やっていけるという感懐を抱いて山を下りた。

 出典
http://sawayama.cocolog-nifty.com/blog/


 ぼくは一昨年の夏、この文章の最後に出てくる東洋町野根の山村を訪ねたことがあり、山林の再生について「川越だより」に書きました。

四人の元お嬢さんhttp://blog.goo.ne.jp/keisukelap/d/20070824

 沢山さんは早くからこの課題に気づいておられたのでしょう。雇用対策として山林の再生にさっそく取り組み始めたようです。普通なら森林組合がやるところなのでしょうがそちらの方はどうなっているのでしょう。スズメバチの退治からはじまって、何でも町長が実行部隊の先頭に立たなければならないと言うのは少し悲しい気がします。役場の職員を始め力を持った方々がいるはずです。それぞれの分野で
リーダーシップを発揮する人々の姿が見えるようになってくると嬉しいのでが…。
 ぼくは日本中の自治体がこの機会に山林の再生に取り組んでほしいと思います。そして政府はこれを全面的に後押しすべきです。危険の伴う重労働です。しかし、森林の再生は日本の人々が生き残っていく上で不可欠な課題です。自衛隊員や海上保安庁職員に匹敵する人材を確保し、教育を施し、賃金を保障しなくてはなりません。
 農林水産業を蔑視する教育のあり方も転換しなければなりません。なかなかに難しく、おいそれとは行かない大事業です。しかし、今は100年に一度の試練の時だと言う人もいるぐらいです。沢山さんが言われるように、どんなことがあっても生き抜いて行かれるような準備を智慧のあるリーダーなら考えるでしょう。