川越だより

妻と二人あちこちに出かけであった自然や人々のこと。日々の生活の中で嬉しかったこと・感じたこと。

万感胸に迫る絶唱 田月仙さん

2009-02-14 13:07:53 | こどもたち 学校 教育
 13日。昼寝をして体調を整えてからほぼ2時間かけて都立小山台高校に行きました。小山台高校定時制の第7回「こや定ふれあいスクール」に出席するためです。生徒たちが教員や大学院生と連携しながら人権について学びを深める「学校」です。
 今回のテーマは「家族の思い 人権は国を越えて」。
 
 最初に横田滋(しげる)・早紀江(さきえ)ご夫妻のお話。いつものように滋さんがめぐみちゃんがいなくなった日から今日までの経緯を話し、早紀江さんが母としての思いを語ります。03年7月20日に僕たちが主催した集会でお聞きしたのと骨格は変わりません。あれからでももう6年です。来る日も来る日も日本中を駆け回って協力を呼びかけるご夫妻の姿にぼくは合わせる顔がないような気持です。
 
 同胞が罪もなく拉致されたというのに政治家も国民も力を合わせて動こうとはしません。この日も早紀江さんが言っておられました。戦争以外のあらゆる方法で北朝鮮の独裁政権の手から拉致被害者を取り戻すことができなければ「日本」は融けて流れます。「国民」の実体、人間の核心の抜けた幽霊のような集団に化していくに違いありません。娘を奪われた一人の母親としてその胸ははち切れんばかりの筈ですが、一人の日本人として、一人の人間として、そのあり方を冷静に問う早紀江さんのきっぱりとした姿勢にぼくは心から共感します。
 国会の拉致問題特別委員会は何をしているのでしょうか。北朝鮮人権法に基づいて国民大集会を開くなどということは出来ないでしょうか。スローガンは一つ、「拉致被害者を帰せ」。場所は皇居前広場。呼びかけは全政党。この日は仕事を休み全国から100万人以上の参加を目指します。国民の怒りの心を結集し、独裁者に見せつけることが闘いの基本であるはずです。これに反対する政党があるのでしょうか。

 第2部は田月仙(チョン・ウォルソン)さんの独唱。4人の兄を北朝鮮の独裁政権に奪われ、3人が非業の死をとげています。在日コリアン二世のオペラ歌手です。引き裂かれた親子・姉弟・恋人…の思いを謳う絶唱が続きます。
 
 『夜明けの歌』『山河を越えて』『桜の悲しみ?』『歌劇 蝶々夫人から ある晴れた日に』『浜千鳥』『ふるさと』『故郷の春(韓国語)』

 あふれる思いを抑制して歌に託し、舞台に立つ姿はほんとうに凛々しい。ぼくは深い感動にとらわれ嗚咽寸前です。心の奥底から励ましを受けたともいえます。力強いのです。
 横に座っておられる早紀江さんも目頭を押さえています。中学生のめぐみさんが『流浪の民』が好きだったという早紀江さんのお話をふと思い出しました。

 横田さんご夫妻の目の前で歌うことは田さんにとってまたとない喜びではなかったかと思います。三つの心は響き合って深いところで固く結ばれていったのでしょう。そのようなまたとない場にいることが出来て私たちは最高の学びをすることができたのです。

 この企画を立て実行した生徒たちはどう感じたのでしょうか。それを知りたいのですが今日はここまででした。
 この企画は公開されており、保護者や卒業生も見えているようでした。残念なことは小山台高校の全日制の教師や生徒の姿が見られないことです。冒頭に校長の挨拶がありましたが、昼間の人々への呼びかけは為されたのでしょうか。このような機会を生かそうとしないでどうやって学校に命を蘇らせることが出来るのでしょうか。これは校長に聞いてみたかったことです。
 カツヨシさんと精さんと3人で遅くまで語り合いました。家についたのは一時前です。お陰で元気いっぱいです。