昨日は嬉しい一日でした。
午前中に『日本から「北」に帰った人の物語』(新幹社)という本を書かれた韓錫圭(ハン・ソッキュ)さんにお会いすることが出来ました。幾重にもつながる友人たちの縁に恵まれてのことです。
この本の奥付の著者紹介にはこう書いてあります。
http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%8B%E3%82%89%E3%80%8C%E5%8C%97%E3%80%8D%E3%81%AB%E5%B8%B0%E3%81%A3%E3%81%9F%E4%BA%BA%E3%81%AE%E7%89%A9%E8%AA%9E-%E9%9F%93-%E9%8C%AB%E5%9C%AD/dp/4884000714
1930年代後半、関東で在日朝鮮人二世として生まれる。高校を卒業後、就職できず、帰国運動を展開している朝総連傘下の在日本朝鮮青年同盟に誘われて加入。6ヶ月間、朝鮮語と社会主義祖国に対する教育を受け、専任活動家として働いたあとに帰国。
帰国後は、朝鮮中部の炭鉱都市に配置され、無煙炭運搬用のトラックの運転手として働いた。
2003年、日本から「帰国」した人々と日本人家族の実情を世界に知らせ、何らかの対策を立ててほしいとの一心で、脱北を敢行。2004年に日本入国。
現在、なんとしても帰国の目的を果たすために、パソコン入力を習い、その前で奮闘している。
ぼくとは同じくらいの年頃の方です。17歳で北朝鮮に渡って以来、40数年間封印していた日本語を駆使して書かれた本です。日本に来て直ぐにパソコンを買ったと言われます。
生活保護の身で買えないことがわかったとき、同行していた支援者が何も言わずお金を出してくれたが、温情に頼るわけには行かないので月一万円ずつ返却する約束をして買ったそうです。そのパソコンに向かったのです。思いの程が察せられます。
お会いする前に読んでおこうと本を取り寄せたのですが、まだ全てを読み切ってはいません。電車の行き帰りなどに一章ずつ読むという具合なのです。家で集中的に読むという精神力がないのです。
ぼくのような微温的な人生を歩んできた人間にはとてもとても想像も出来ないお話の連続です。しかし、それは全てぼくと同じ時代を生きてきた人の歩みです。
「地獄への道は、善意のジュータンで敷き詰められている」
つい最近、コニヤンのブログで読んだばかりのことばです。躊躇する日本人妻を説得し、北に送る背中を押したのは寺尾五郎さんの奥さんなど左派日本人女性たちであったといいます。
ぼくがあと一回り先に生まれていたら、このような『善意』から無縁であり得ただろうか?
日教組に組織された先輩教師たちは「教え子を再び戦場に送らない」といいながら、この犯罪行為に手を染めた。「朝鮮の子は朝鮮学校の門へ連れて行くのが日本人教師の役割だ」と。
これらの人の誰一人からも罪を告白する人が出てこない。これはいったいどういうわけだ?
どこを切り取っても自分とは無縁といい切れないお話ばかりで、ぼくでさえ感情が高ぶります。
韓さんが一番に伝えたいことはまだかけない事情があるとのことです。たくさんの家族が北朝鮮に残されているからです。子どもたちをはじめとする家族の再会を実現することが当面する課題です。
お話を伺っていると17歳の時から今日に至るまで、寸分の隙もなく現実と対峙し、自己を堅持して譲ることのなかった人間の力強さが伝わってきます。朝鮮労働党に入ることだけは注意深く峻拒したと言います。相手の価値観に屈してしまうからです。
ほんとうに『かしこい』人とはこういう方を言うのではないか。ぼくのような人間から見ると現代史のただ中を生き抜いてきた奇跡的な人と言う他はありません。
友人たちがこの方と出会って感服した謎が解けた気がしました。この人の仕事が少しでも順調に進むように彼らは精一杯協力しています。そういう友人たちの姿にもぼくは深く励まされます。
午後は癌研有明病院で主治医の診察がありました。
X線検査では右肺の癌の成長は見られず、抗ガン剤の効き目が持続している模様です。血液検査は全ての項目が合格です。先生からは何の注意事項もなく生活を楽しんでくださいという趣旨の診断がありました。次は4月です。
それまでまた病気であることを忘れて、会いたい人に会い、行きたいところにいき、やりたいことをやって人生を楽しむことができます。
ここのところ花粉が飛び交うので散歩することもままなりません。昨日からは雨模様です。忠幸さんが勧めてくれた『神なるオオカミ』(姜戎著・講談社)を図書館で借りてきたので、読んでみようかと思っています。
http://www.amazon.co.jp/%E7%A5%9E%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%82%AB%E3%83%9F%E3%83%BB%E4%B8%8A-%E5%A7%9C-%E6%88%8E/dp/4062138492
3月の声を聞くころには春の匂いもするようになって、またどこかへ行きたくなることでしょう。花粉の飛ばないところがいいな。
午前中に『日本から「北」に帰った人の物語』(新幹社)という本を書かれた韓錫圭(ハン・ソッキュ)さんにお会いすることが出来ました。幾重にもつながる友人たちの縁に恵まれてのことです。
この本の奥付の著者紹介にはこう書いてあります。
http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%8B%E3%82%89%E3%80%8C%E5%8C%97%E3%80%8D%E3%81%AB%E5%B8%B0%E3%81%A3%E3%81%9F%E4%BA%BA%E3%81%AE%E7%89%A9%E8%AA%9E-%E9%9F%93-%E9%8C%AB%E5%9C%AD/dp/4884000714
1930年代後半、関東で在日朝鮮人二世として生まれる。高校を卒業後、就職できず、帰国運動を展開している朝総連傘下の在日本朝鮮青年同盟に誘われて加入。6ヶ月間、朝鮮語と社会主義祖国に対する教育を受け、専任活動家として働いたあとに帰国。
帰国後は、朝鮮中部の炭鉱都市に配置され、無煙炭運搬用のトラックの運転手として働いた。
2003年、日本から「帰国」した人々と日本人家族の実情を世界に知らせ、何らかの対策を立ててほしいとの一心で、脱北を敢行。2004年に日本入国。
現在、なんとしても帰国の目的を果たすために、パソコン入力を習い、その前で奮闘している。
ぼくとは同じくらいの年頃の方です。17歳で北朝鮮に渡って以来、40数年間封印していた日本語を駆使して書かれた本です。日本に来て直ぐにパソコンを買ったと言われます。
生活保護の身で買えないことがわかったとき、同行していた支援者が何も言わずお金を出してくれたが、温情に頼るわけには行かないので月一万円ずつ返却する約束をして買ったそうです。そのパソコンに向かったのです。思いの程が察せられます。
お会いする前に読んでおこうと本を取り寄せたのですが、まだ全てを読み切ってはいません。電車の行き帰りなどに一章ずつ読むという具合なのです。家で集中的に読むという精神力がないのです。
ぼくのような微温的な人生を歩んできた人間にはとてもとても想像も出来ないお話の連続です。しかし、それは全てぼくと同じ時代を生きてきた人の歩みです。
「地獄への道は、善意のジュータンで敷き詰められている」
つい最近、コニヤンのブログで読んだばかりのことばです。躊躇する日本人妻を説得し、北に送る背中を押したのは寺尾五郎さんの奥さんなど左派日本人女性たちであったといいます。
ぼくがあと一回り先に生まれていたら、このような『善意』から無縁であり得ただろうか?
日教組に組織された先輩教師たちは「教え子を再び戦場に送らない」といいながら、この犯罪行為に手を染めた。「朝鮮の子は朝鮮学校の門へ連れて行くのが日本人教師の役割だ」と。
これらの人の誰一人からも罪を告白する人が出てこない。これはいったいどういうわけだ?
どこを切り取っても自分とは無縁といい切れないお話ばかりで、ぼくでさえ感情が高ぶります。
韓さんが一番に伝えたいことはまだかけない事情があるとのことです。たくさんの家族が北朝鮮に残されているからです。子どもたちをはじめとする家族の再会を実現することが当面する課題です。
お話を伺っていると17歳の時から今日に至るまで、寸分の隙もなく現実と対峙し、自己を堅持して譲ることのなかった人間の力強さが伝わってきます。朝鮮労働党に入ることだけは注意深く峻拒したと言います。相手の価値観に屈してしまうからです。
ほんとうに『かしこい』人とはこういう方を言うのではないか。ぼくのような人間から見ると現代史のただ中を生き抜いてきた奇跡的な人と言う他はありません。
友人たちがこの方と出会って感服した謎が解けた気がしました。この人の仕事が少しでも順調に進むように彼らは精一杯協力しています。そういう友人たちの姿にもぼくは深く励まされます。
午後は癌研有明病院で主治医の診察がありました。
X線検査では右肺の癌の成長は見られず、抗ガン剤の効き目が持続している模様です。血液検査は全ての項目が合格です。先生からは何の注意事項もなく生活を楽しんでくださいという趣旨の診断がありました。次は4月です。
それまでまた病気であることを忘れて、会いたい人に会い、行きたいところにいき、やりたいことをやって人生を楽しむことができます。
ここのところ花粉が飛び交うので散歩することもままなりません。昨日からは雨模様です。忠幸さんが勧めてくれた『神なるオオカミ』(姜戎著・講談社)を図書館で借りてきたので、読んでみようかと思っています。
http://www.amazon.co.jp/%E7%A5%9E%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%82%AB%E3%83%9F%E3%83%BB%E4%B8%8A-%E5%A7%9C-%E6%88%8E/dp/4062138492
3月の声を聞くころには春の匂いもするようになって、またどこかへ行きたくなることでしょう。花粉の飛ばないところがいいな。