「三角乗り」という。
大人用の自転車に子どもが
乗る時の必須テクニックだ
った。
この自転車は「重荷(じゅ
うか)用」と呼ばれる荷台
が丈夫な自転車だ。
この三角乗りは1960年生ま
れの私の世代頃までは知っ
ているのではなかろうか。
この画像の少年は多分私の
15~18歳くらい年上かと思
われる。
なぜ子どもたちがこういう
自転車の乗り方をしていた
のか。
それは子ども用自転車など
は敗戦国日本には無かった
からだ。
毎日食べる物さえ無かった。
なぜ?
戦争をしたから。
一億玉砕をうたい、実は日
本人全員が日本人によって
殺されようとしていたのが
昭和の大戦だった。
私の世代頃までが「昭和」
の戦後を知っていた世代で
はなかろうかと思う。
戦後のまだ日本全体がとて
も貧しかった時代から高度
経済成長が開始した頃とい
う時代は、毎日がめぐるま
しくどんどん変化した。町
も人も世の中の仕組みも。
高度経済成長が終焉した1973
年オイルショック以降は、現
在の21世紀の今とさほど変化
はしていない。せいぜい電子
機器類が高度に発達した低度
だ。
とりわけ、芸能人の現在の形
態は1970年代中期~1980年
代に作られたので、現在も
それが踏襲されている。
アイドルなどは1980年代の
「作り方」と現在もまったく
同じである。
ただ、今のような「出来上が
った後の世界」と、「出来上
がる過程」を見てきたのとで
は、世界観そのものが大きく
異なるということが現実にあ
る。
「歴史に学ぶ」ことの大切さ
というものは、空虚な絵空事
ではなく、現実に人の生き死
にに関わることであり、未来
をどう作るかのことであると
私は思うのだが、今の時代は
なんだか変なことになりつつ
ある。
「戦後世界」があたかも「悪」
であるような風潮が作られつ
つあることに私は非常に危機
感を持つ。
「戦後日本」は決して悪い世
界ではなかった。
日本の現行憲法は米国主導で
「作られた」ものであるとは
いえ、日本に多くの平和で人
を大切にすることについての
光明をもたらしたことは確か
だ。
主権在民、平和主義、基本的
人権の尊重という日本国憲法
の三原則は「戦後世代」は学
校の授業で習ったはずだ。
だが、その三原則さえも「悪」
であるかのように捉えようと
している、あるいは捉えさせ
ようとしている勢力が現在力
を持ちつつある。
戦後の昭和20年代から昭和40
年代まで「世の中をもっと良
くしよう」として自ら動いた
国民がいた時代とは真逆の方
向に日本を持って行こうとし
ている力が、「社会風潮」と
してこの国を支配しつつある。
国民の生活をもっと良くしよ
うとしてかつて国民が動いた
時代とは異なり、この国をど
ういう方向に持って行くか、
という支配者の意図の下に国
民が動員されることに従う
人々が増えるという、戦後日
本の大きな変化が今来ている。
ある方向に国民が総動員され
つつある。一部の勢力によっ
て。
私は、今現在を「暗黒時代の
前夜」だと思っている。
昭和大戦の戦災後に復興し
つつある日本国内で遊ぶ子
どもたち。昭和20年代か。
暗黒の時代、それはまず子
どもたちの笑顔が奪われる。
私が2才の頃の日本とは、
まさにこんな感じだった。
キューポラのある街(1962)