あらら。
肩までお風呂に入って温まっていたつもりでいたのに、良く見たら膝までしか浸かってなかった、うわー、風邪引きそう、って感じです。
・・・逆ですが。
『1号機、燃料棒すべて落下の可能性と発表』
『福島第一原発1号機「メルトダウン」東電認める』
福島原発一号機を「水棺」といって、水で一杯に満たして冷やして、爆発や放射能漏れなど危険を回避しようという計画がここしばらく行われておりました。とにかく、注水、注水。
そして、今日までずっと、「まだ燃料の頭から1.6mくらいまでは露出してしているが、残りの部分は水の中に入ってて、順調に冷やされている」という計器の表示を、東電も政府も保安院も、学者さんたちも、当然僕たちもずっと信じてきたのですが、
どうも、これは間違いだったようです。
今日、作業員の方が中に入って、実際に見てみたら、燃料棒の頭から5m下まで水が入ってなかったということが判った、ということです。燃料棒の長さは4mですから、もう、全て露出していることになります。
水に入っていない状態の燃料棒というのは、ものすごい高温の熱を発しますので、非常に危険です。ほんの数時間、冷やさないだけで爆発の危険があるくらいで(震災直後には実際に水蒸気爆発もしました)、とにかく水を入れて、冷やす必要があったのです。でも、冷やせてなかった。
水棺にする作業では、圧力容器そのものを全部水で満たしてしまおう、という水浸し作戦だったので、毎日150トンという大量の水を注いでいたのですが、実際に見てみたら、全然水が無かった。
あれっ?
「水が入っているはず」という根拠のよりどころになっていた容器内の温度が上がっていなかったので、「これはバッチリ。冷やされてるよ」と思っていたら、見たら、水が無い。
どうも、そもそも、水位計もどうやら故障していたみたいです。(他のは大丈夫なのかな?全部壊れてる?・・・まだわかりません)
じゃあ、なんで温度が上がってないの?という疑問がわきますよね。だって、露出してるのなら、物凄い高温になるはずなんですから。
で、「・・・ひょっとして、燃料棒って、露出してないんじゃない?」という推測になっているのです。
つまり、もう自らの熱(崩壊熱)で溶けてしまって(炉心溶融≒メルトダウン)、容器の下に溜まってる水の中にあるんじゃないの?というお話なのですね。
で、さらにあれだけドボドボ入れていた水が、容器に全然溜まっていないってことは・・・当然、
容器に穴があいてるんじゃん・・・、
となるわけですが、この穴はなんと、圧力容器のみならず、その外側の格納容器にも開いていると発表されてしまいました。格納容器の下、つまりあの建屋の地下なんて、まず人間が近づくわけにはいかないでしょう。今、そこはは、超高濃度汚染水のプールでしょう。
で、底に穴のあいたバケツのに上から如雨露でジョボジョボ水を入れてたようなものですが、建屋内で留まっていられる量ではないのですから、じゃあ、その汚染水は何処へいったのか、という問題も大問題ですよね。海に流れても大問題。土壌を汚染しても大問題。地下水脈に流れこんだら、どこへどう行くやら。
そして、溶け落ちてしまった燃料そのものですが、まだ圧力(格納?)容器の中にあるのか、それとも・・・
両方の容器を突き破って、床に落ちているのか。(チェルノブイリで「象の足」といわれているアレです。)
さらに、このまま手出しできなかったら、もしかして、床にも地面に穴をあけて、地中に入って行ってしまうのか。
物凄い高温を発する燃料棒(・・・棒というか、もはや溶けてどろどろの状態のはずらしいですが)は、地面をも溶かします。
そして地中奥深くにどんどん入って行って、最終的には、地球の逆側にまで到達する、つまり、地球に穴をあけてしまう・・・南米の方々、すみません・・・、
というのは、「チャイナシンドローム」という映画の中でひとつの想定として描かれた放射能事故の行く末の恐ろしい話ですが、科学的には、ありえないといわれてもいますが(あちら側に抜ける時に、引力に逆らって進むのは難しい)、でも、単純に地中深く燃料がどんどん落ちていく、というのはありえるそうで、
今日の東電の会見でも、「チャイナシンドローム」という言葉は、何度も使われました。
『東京電力 会見で1号機のメルトダウンを認める』(今日の会見の中継動画です)
そもそも、今、燃料棒(どろどろの、かな)がどこにあるかわからない上、
容器に穴があいている(水を入れても溜まらない)、
となれば、このまま現状の計画にある水棺にできるのかどうか、というのは・・・。
もしかしたら、誰もがわかっていることのような気がします。
つまり、「冷却し、冷温停止させ、安全に廃炉にする」という、企画そのものは、おそらく一旦、破綻。
何か別の手を講じないといけなくなった可能性が高そうですよね(勿論、まだ、東電側はそこまでは認めていませんが。)
元々は、冷却できたら、上にクレーンを設置して、燃料棒を一本ずつ取り出そうという話だったはずです。
でも、もう燃料棒は溶けてしまいました。変な例えですが、中身が空のUFOキャッチャー状態。
しかも、この一号機は、事故を起こしている1~4号機の中でも、「一番コントロールしやすい」とされていたものでした。
つまり、4人兄弟の中では一番「言うことを聞いてくれそうな子」だったのです。
それが、こういったことになってしまいました。
どうにか、これを解決しても(・・・今のところ、解決する手立てはありませんし、楽観できる目処や根拠も残念ながらありませんが)、
さらにまだ、残り2~4号機まで、これよりもやっかいな存在が、三つもあるのです。
今日、ミヤネ屋(というワイドショーで)、ミヤネさんが初めて「これ、アカンちゃいますか」的な、ネガティブなことを言ったのを聞きました。「今まで、何やってたんですかね」「一体、何を信じてたんですかね」と。
学者さんも、けっこう「これは、まずい状況です」的な立場で発言してました。
この番組は、僕が目にした範囲では、いつも相当な楽観の立場で、まず「これ、大丈夫なんですよね!」ばっかりだったので、
今日の姿勢にはちょっと驚きました。というか、正直「やっとまともな反応だ」でしたが。
これから梅雨も来ます。穴の開いた原子炉を通って、海に流れ込む雨水は止められません。土にしみこむ水も止められません。
台風も来ます。
台風が福島に上陸したら、あのボロボロの原発建屋は、どこまで耐えられるのか。
今も毎日、モクモクと何万ベクレルと放出されている放射性物質は、強い風に巻き上げられて、どこまで飛んでいくのか。
気が遠くなりますね。
勿論ね、これに負けずに、これからだって色々と頑張りたいと思っていますが、
・・・こんな知らせばかりでは、なんだか気が重たくなりますよね。
しかしまあ、よく次から次へとトラブルが起きるものです。
やはり、僕たち人間の手には負えないものだったと思わざるをえません。
早く、収束してほしいですね。何にもできないですけれども。
どうか、僕の、皆さんの願いが、届きますように。
・・・空の上は、キレイでしたよ。
ではー。