現代人は気づかなくなってしまったけれど、こころの奥深くに魂があり、人間の行動の深いところで魂の影響を受けている。
その魂のありようを見るのには、世界各国の神話を読み解くことによってヒントを得ることができるはずとこの本では、日本の神話はもとより、ギリシャ神話、北欧神話、アメリカ先住民の神話、そして神話とは言えないかもしれないが旧約聖書などを渉猟している。自分でもわからない自分を動かしているのは何か、自分という存在は何か、死の現実とは、親子の関係性とは、男と女の関係性とはなどなど人間の存在の根源的なことを神話に出てくる物語を読み解きながら読む人の心に感じさせようとしている。

有名なオイディプスの神話をどう読むのか、イザナキ・イザナミの誕生・生い立ち・別れをどう解釈するのか、ギリシャ神話に出てくるゼウスの奔放な振る舞いに見る神の気ままさは何なんだろう、答えが出ぬままに人間の心の奥底にあるものが表現されているように思える。
ところでこの本で一番気になったのが「トリックスター」についての記述。
トリックスターとは強いて日本語に訳すと「いたずら者」とか「ペテン師」となるのだろうけど、世界中の神話のみならず昔話、伝説で大活躍をする創造者であり破壊者であるキャラクター。
ユングによればトリックスターは人間の初期の未発達な意識段階の反映と述べているが、人間の意識ができあがってくるとき、それは現代の人間の意識のような主体性や統合性を備えたものになる以前は、断片的、刹那的、衝動的だったりする反映なのだろう。思春期の時は成人の意識の出来上がる前の段階なので、トリックスター的心理が働くのは当然で
誰でも思春期の時になぜあんなことをしたかわからないと言わざるを得ないこと(万引きをするとか、何かを壊すとか途方もない嘘をつくとか)を衝動に駆られてしてしまうものです。成人してからはほとんど忘れてしまうのですが、自分の心の中に住むトリックスターをうまく活躍させる人もいればトリックスターに自分が乗っ取られてしまいほとんど病気の状態なる人もいる。
トリックスターの行為は世の中をかき回しはするがあまりプラスの効果はない。しかし本人がどこまで意識しているかは判明しないとしても隠していた誰かの悪行が露わになり結果的にプラス面が出ることもある。
日本神話のトリックスターと言えばスサノオなのだが、そこでは「侵入者」であり「破壊者」であるけれど「英雄」でもあるというように多面性がある。日本昔話で言えば「吉四六」の話がトリックスターの自在性両義性をよくあらわしている。
どうしてトリックスターについてこうまで気になったかというと、最近の政治家はトリックスターがもてはやされているのではないかと思うから。世の中を引っ掻き回して、ではどういう効果があったかというと定かではない。でもある種の既得権益という悪行は露わになったのかもしれない。
豊かになったけど何処となく閉塞感を感じ生きづらい気がしている現代人は無意識の中でトリックスターを待望しているのだろうか。トリックスターの行為を生かすも殺すも、それを周囲の人がどのように受け止めるかということなのでしょうが、そろそろトリックスターであることに気が付いてもいい頃です。
神話の中で物語られていることは荒唐無稽なのですが、心の奥底の真実を伝えていて、人間が成長し生き難い世を生きてゆくうえで大きなヒントになっている。トリックスターだけについて書きましたが、もちろんそれだけではなくて、いつもの河合先生の話ですがいろいろな生きるヒントをもらいます。
その魂のありようを見るのには、世界各国の神話を読み解くことによってヒントを得ることができるはずとこの本では、日本の神話はもとより、ギリシャ神話、北欧神話、アメリカ先住民の神話、そして神話とは言えないかもしれないが旧約聖書などを渉猟している。自分でもわからない自分を動かしているのは何か、自分という存在は何か、死の現実とは、親子の関係性とは、男と女の関係性とはなどなど人間の存在の根源的なことを神話に出てくる物語を読み解きながら読む人の心に感じさせようとしている。

有名なオイディプスの神話をどう読むのか、イザナキ・イザナミの誕生・生い立ち・別れをどう解釈するのか、ギリシャ神話に出てくるゼウスの奔放な振る舞いに見る神の気ままさは何なんだろう、答えが出ぬままに人間の心の奥底にあるものが表現されているように思える。
ところでこの本で一番気になったのが「トリックスター」についての記述。
トリックスターとは強いて日本語に訳すと「いたずら者」とか「ペテン師」となるのだろうけど、世界中の神話のみならず昔話、伝説で大活躍をする創造者であり破壊者であるキャラクター。
ユングによればトリックスターは人間の初期の未発達な意識段階の反映と述べているが、人間の意識ができあがってくるとき、それは現代の人間の意識のような主体性や統合性を備えたものになる以前は、断片的、刹那的、衝動的だったりする反映なのだろう。思春期の時は成人の意識の出来上がる前の段階なので、トリックスター的心理が働くのは当然で
誰でも思春期の時になぜあんなことをしたかわからないと言わざるを得ないこと(万引きをするとか、何かを壊すとか途方もない嘘をつくとか)を衝動に駆られてしてしまうものです。成人してからはほとんど忘れてしまうのですが、自分の心の中に住むトリックスターをうまく活躍させる人もいればトリックスターに自分が乗っ取られてしまいほとんど病気の状態なる人もいる。
トリックスターの行為は世の中をかき回しはするがあまりプラスの効果はない。しかし本人がどこまで意識しているかは判明しないとしても隠していた誰かの悪行が露わになり結果的にプラス面が出ることもある。
日本神話のトリックスターと言えばスサノオなのだが、そこでは「侵入者」であり「破壊者」であるけれど「英雄」でもあるというように多面性がある。日本昔話で言えば「吉四六」の話がトリックスターの自在性両義性をよくあらわしている。
どうしてトリックスターについてこうまで気になったかというと、最近の政治家はトリックスターがもてはやされているのではないかと思うから。世の中を引っ掻き回して、ではどういう効果があったかというと定かではない。でもある種の既得権益という悪行は露わになったのかもしれない。
豊かになったけど何処となく閉塞感を感じ生きづらい気がしている現代人は無意識の中でトリックスターを待望しているのだろうか。トリックスターの行為を生かすも殺すも、それを周囲の人がどのように受け止めるかということなのでしょうが、そろそろトリックスターであることに気が付いてもいい頃です。
神話の中で物語られていることは荒唐無稽なのですが、心の奥底の真実を伝えていて、人間が成長し生き難い世を生きてゆくうえで大きなヒントになっている。トリックスターだけについて書きましたが、もちろんそれだけではなくて、いつもの河合先生の話ですがいろいろな生きるヒントをもらいます。