矢嶋さんは毎週見ている「マーケット・アナライズ」のゲストコメンテータでちょくちょく出演していますが、私的には一番楽しみにしているコメンテータです。
著書はこの本にも書いているように文章が苦手と言うこともあってか、これまでは共著の純粋学術書が2冊だけです。
今回エッセイ集というか齢50にしてこれまでの自分の人生を振り返るつもりなのか、自伝的なものとして新刊を出版しました。
ともすれば自らの人生振り返りを書くと自分に都合いいことばかりで結局は自慢話かよとなりがちですけど、この本にはそういう嫌味はありません。
ちなみに矢嶋さんの名前は「康次」と書いて「やすひで」と読みます。読めないですよね。この本の題名も「ときのすみか」とルビが振ってあります。これも読めないですよね。
矢嶋さんは新潟県の豪雪地帯で有名な高田出身(読んでみるとわかるのですが相当な田舎です)で、小学生の時に父を亡くし母が働き祖母に育てられたそうです。大学に入学して以来東京暮らしなのですが、大学は東京工業大学の材料学科。経済学ではなく、バリバリの理系です。この本の出版が慶応義塾大学出版会なので慶応の経済かなと思っていたのですが、違いました。そう言えば同じマーケット・アナライズのコメンテータとして出演している長濱利廣さんも早稲田の理工です。経済分析には理系の知識が有効なのでしょう。矢嶋さんは単位を取るためのテスト対策で必死に勉強した偏微分方程式が経済という生きものの動きを奇麗に描き出すことに感動している。
う~ん、私は一応経済学部出身なのですが、統計学の単位を取るのに四苦八苦して、数理経済学などは近づかないようにしていたのですが、これでは現代の経済分析では通用しないか。
東京工業大学卒業後、ひょんなことから日本生命に入り、融資総務部に配属になり金融工学のデリバティブを担当してから、95年にニッセイ基礎研究所に異動。晴れてシンクタンクに異動しエコノミストになったと言うちょっと変わった履歴。生命保険会社は保険数理が必要で理系とは相性がいいのか。
研究所のエコノミストとして矢嶋さんは講演や経営者との懇談に全国を回り、現場感覚と実際にミクロ経済の世界で何が起こっているかの知識を深めていきます。こういうところは「デフレの正体」の著者の藻谷浩介とよく似た感覚です。
そうやって見てきた日本経済の問題は少子化と人口減少の進展と過去の成功体験に引きずられてリスクを取ろうとしない経営陣。少子化に対する対応は効果が表れるまでに長い時間がかかることもあって一刻も猶予がないのだが切迫感はイマイチでもどかしい。
高齢化した社会では変革を嫌い過去の遺産を食いつぶしつつ何ら有効な手を打とうとしない。日本経済を高度成長をもたらしたアニマルスピリッツは何処へ行ったのか。このままでは孫・子の代には留学などをさせて、いかに海外で生活できるようにするのかということが経営者のもっぱらの話題となる日も近く日本に残るのはババを引いた人となるのだろうか。
矢嶋さんは大学の講師もしていて、今どきの若者論も結構面白い。最近の若者は覇気がなくやる気があるのかと言われているがそれは社会の反映。年配者がこういう若者の考えを作っていったと言うのは納得です。
どうもこうやって書いていくと日本の先行きは悲観的な見方になってしまうのですが、矢嶋さんは日本の未来を決して悲観していない。最後に明日の風向きは変わると言っている。株主至上主義の見直しや環境・持続的成長重視は日本にとってはフォローの風。そこにうまく乗ることをができればチャンス。もちろんぼーっとしていれば足をすくわれてしまうので、ここが勝負どころ。
文章は苦手だと言う矢嶋さんですが、読みやすくて、現場で実感してきたことばかりなので説得力があります。
著書はこの本にも書いているように文章が苦手と言うこともあってか、これまでは共著の純粋学術書が2冊だけです。
今回エッセイ集というか齢50にしてこれまでの自分の人生を振り返るつもりなのか、自伝的なものとして新刊を出版しました。
ともすれば自らの人生振り返りを書くと自分に都合いいことばかりで結局は自慢話かよとなりがちですけど、この本にはそういう嫌味はありません。
ちなみに矢嶋さんの名前は「康次」と書いて「やすひで」と読みます。読めないですよね。この本の題名も「ときのすみか」とルビが振ってあります。これも読めないですよね。
矢嶋さんは新潟県の豪雪地帯で有名な高田出身(読んでみるとわかるのですが相当な田舎です)で、小学生の時に父を亡くし母が働き祖母に育てられたそうです。大学に入学して以来東京暮らしなのですが、大学は東京工業大学の材料学科。経済学ではなく、バリバリの理系です。この本の出版が慶応義塾大学出版会なので慶応の経済かなと思っていたのですが、違いました。そう言えば同じマーケット・アナライズのコメンテータとして出演している長濱利廣さんも早稲田の理工です。経済分析には理系の知識が有効なのでしょう。矢嶋さんは単位を取るためのテスト対策で必死に勉強した偏微分方程式が経済という生きものの動きを奇麗に描き出すことに感動している。
う~ん、私は一応経済学部出身なのですが、統計学の単位を取るのに四苦八苦して、数理経済学などは近づかないようにしていたのですが、これでは現代の経済分析では通用しないか。
東京工業大学卒業後、ひょんなことから日本生命に入り、融資総務部に配属になり金融工学のデリバティブを担当してから、95年にニッセイ基礎研究所に異動。晴れてシンクタンクに異動しエコノミストになったと言うちょっと変わった履歴。生命保険会社は保険数理が必要で理系とは相性がいいのか。
研究所のエコノミストとして矢嶋さんは講演や経営者との懇談に全国を回り、現場感覚と実際にミクロ経済の世界で何が起こっているかの知識を深めていきます。こういうところは「デフレの正体」の著者の藻谷浩介とよく似た感覚です。
そうやって見てきた日本経済の問題は少子化と人口減少の進展と過去の成功体験に引きずられてリスクを取ろうとしない経営陣。少子化に対する対応は効果が表れるまでに長い時間がかかることもあって一刻も猶予がないのだが切迫感はイマイチでもどかしい。
高齢化した社会では変革を嫌い過去の遺産を食いつぶしつつ何ら有効な手を打とうとしない。日本経済を高度成長をもたらしたアニマルスピリッツは何処へ行ったのか。このままでは孫・子の代には留学などをさせて、いかに海外で生活できるようにするのかということが経営者のもっぱらの話題となる日も近く日本に残るのはババを引いた人となるのだろうか。
矢嶋さんは大学の講師もしていて、今どきの若者論も結構面白い。最近の若者は覇気がなくやる気があるのかと言われているがそれは社会の反映。年配者がこういう若者の考えを作っていったと言うのは納得です。
どうもこうやって書いていくと日本の先行きは悲観的な見方になってしまうのですが、矢嶋さんは日本の未来を決して悲観していない。最後に明日の風向きは変わると言っている。株主至上主義の見直しや環境・持続的成長重視は日本にとってはフォローの風。そこにうまく乗ることをができればチャンス。もちろんぼーっとしていれば足をすくわれてしまうので、ここが勝負どころ。
文章は苦手だと言う矢嶋さんですが、読みやすくて、現場で実感してきたことばかりなので説得力があります。
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