東野圭吾の人気シリーズ「ガリレオ」
テレビドラマにもなっているので、本を読んでいるとついついガリレオは福山雅治のイメージに染まっている。
今回はシリーズ10作目の「透明な螺旋」です。
おなじみの草薙係長(最初の時は平刑事だったと思うけど何時昇進したのか?)と内海薫、そして草薙の大学の同級生のガリレオこと物理学者湯川学が事件の謎を解いていくのはいつものパターン。ガリレオもいつの間にか帝都大学の教授になっている。今回はガリレオの父母が登場。今現在はリモート講義を行いつつ認知症で末期の母親の介護を手伝うために横須賀のマンションで両親と同居中。さらには秘められた出生の秘密も明らかになっていくのだがそれは読んでのお楽しみ。
発端は房総沖で見つかった男性の遺体。拳銃で撃たれて死亡している殺人事件。身元を探し出すと同居していた女性島内園香は松永奈江という童話作家に連れられて行方不明になっている。色々調べていくと被害者上辻亮太はとんでもないDV男。プライドばかり異様に高くて思うように仕事が出来ず、部下にはパワハラで愛想をつかされている。中野信子さんが「脳の闇」で書いているように「正義中毒」で自らは正しくて、分かっていない部下を教育しようとしている、それが酷いパワハラであっても自分的にはそれが正義。満たされない「承認欲求」が膨れ上がり自分自身を制御できずに暴走していく。
パートナーに対しても同じ。自分の思うように支配しようとして反抗すれば暴力を使っても従わせる。自分が正しくて教育していくのが正義と思っているのだろう。被害者の上辻亮太は殺されても同情の余地のないパラサイト人格です。読んでいるとおぞましくなるようなⅮVなのですが、実例の報告書などを読むとここで書かている姿はまだまだ小説としてソフィストケートしてあるぐらいでは。
DV被害に遭っていた島内園香が一番疑われるのだが、きちんとしたアリバイがある。それでは園香を連れ出した松本奈江はいったい何者?どうやらガリレオとは接点があるみたいなのだが…
さらには警視庁の草薙係長の行きつけのクラブVOWMのママ根岸秀美まで絡んできて話は混とんとしてどう転がっていくのか。それにしても一介の警察の係長が銀座のクラブのなじみになることが可能なのか?私なぞはせいぜいが栄の外れの安いスナックぐらいでたむろしていたぐらい。クラブなどはほとんど行ったことがないのだが接待費がない世界で自前ならそれが精々では。
閑話休題。島内園香を取りまく人間関係には母親の育った児童養護施設が絡んでいるみたいで、徐々に輪が狭まってくる。そこにはガリレオ湯川学の出生の秘密とリンクしてくるのですが、そこは東野さんのガリレオシリーズ、一筋縄ではいきません。伏線はあちこちになるのですけど最後まで読者の予想は裏切られていきますので一気に読み終えてください。
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