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怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

超マクロ展望世界経済の真実

2011-05-03 08:07:43 | 
久しぶりに視野のやたらに広い骨太の経済論を読みました。

このところ非常に狭いレンジの株価が上がるかどうかとかデフレがどうなるとかの議論しか読んでいなかった気がするので、こういう重商主義以前から説き起こす議論は目が覚める感覚です。
イラク戦争の真の理由は石油に裏付けられたドル基軸体制にフセインが対抗してきたからで、ドルを基軸として回っている国際石油市場のルールを守るための戦争だったのです。決してイラクにある石油資源を植民地的に囲い込むためではなかった。
そのことがよく分かるように資本主義の歴史から概観しているのですが、資本主義500年の歴史を覇権国の利潤率(=利子率)の変化によって見ていくと最初はイタリアの都市国家ジェノバとかヴェネチアから資本主義が始まるのですが、すぐに利潤率は下がり世界経済の中心はオランダに。オランダも利潤率が下がっていくとヘゲモニーはイギリスに移っていきます。そして20世紀の前半にアメリカに覇権は移ります。そのサイクルを見てみるとどの国のヘゲモニーにおいてもまず実物経済の下で利潤率があがって、それが次に低下することで、金融拡大の局面になり、ある種のバブル経済が起こる。と同時にその国のヘゲモニーが終わる。金融拡大のときはその国のヘゲモニーの黄昏時で金融拡大で蓄積された資本が次の新しい覇権国に投資されていく。
ではアメリカの後にヘゲモニーを握る国はどこになるのか。
ここで想定されているシナリオは、アメリカとヨーロッパの連合体が軍事と金融を牛耳って世界経済のルールを定め、中国の経済成長の果実を吸い上げるというシステムとしています。
さらに長期的に見れば中国あるいはインドが成長してしまうともう世界には経済成長を牽引できるような地域がなくなってしまうかもしれない。そうなると世界中の生産力を吸引し、高い利潤率の元でリターンをもたらしてくれる場所が世界から消失することになり、それこそ資本主義の根本的な危機が訪れると。
分析の視野は広くて論理も明快なのですが、第5章の日本はいかに生き抜くべきかでは現実的政策処方箋の議論になるので、素直にこうあるべきとは頷けないのですが、世を挙げてのリフレ論に対してはチョッと待てと言えるのでしょう。ちなみに水野和夫は数多のリフレ論者からは経済を知らないとぼろくそだそうです。
でも中長期はそうでも一時しのぎでも短期はリフレ政策かなとも思っています。
経済学者の水野和夫と哲学書の萱野稔人の対論という形をとっているのでとても議論は分かりやすく、知的好奇心を刺激される本でした。
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