く~にゃん雑記帳

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<大阪市立美術館> 特別陳列「酒と食のうつわ~杯のなかの小さな世界」展

2013年02月02日 | 美術

【鶴亀や四季の草花、名所…朱漆塗りの杯の中に優美な金銀の蒔絵】

 大阪市立美術館で特別陳列「酒と食のうつわ~杯のなかの小さな世界」展が開かれている(11日まで)。酒を酌み交わす器の1つ、朱の漆塗りの杯。同館はその朱杯を約560枚収蔵、日本屈指のコレクションといわれる。草花や鶴亀に代表される吉祥、江戸や京都の名所絵など多彩な文様が金銀の蒔絵で描かれた豪華な朱杯。その中から名品約260点が展示されている。

 

 主な収蔵品はウンゲルンコレクション60枚、森コレクション110枚、カザールコレクション390枚。ウンゲルン氏(1879~1952年)はエストニア生まれの白系ロシア人。ドイツ国籍を取得後来日し、神戸市外大でドイツ語の教鞭を執った。カザール氏(1888~1964年)はイタリア生まれのスイス人実業家。世界的に有名な漆器のコレクターだった。森新治郎氏(1893~1981年)は森電機(現アジアグロースキャピタル)の創業者。生前、美術品の海外流出を憂い日本画、蒔絵を中心に収集した。

 

 朱杯に描かれた題材で多いのは、江戸時代の七福神信仰から恵比寿や大黒天、布袋さんなど。中国の伝説上の動物、猩々(しょうじょう)も福神の化身と信じられ、酒を好む赤い髪をした姿で描かれた。江戸時代後期には諸国の名所を紹介した名所案内記や浮世絵が流行したが、朱杯の下絵にもこれらの刷り物が参考にされた。天満橋、天神橋、難波橋を描いた「浪華三大橋蒔絵組み杯」をはじめ京の大堰川、通天橋(東福寺)の紅葉、江戸の不忍池や両国橋などを描いたものもあった。

 「猿猴舟蒔絵組み杯」は5~6匹の猿が舟遊びするユーモラスな構図。「三方飾り組み杯」は三方の上に伊勢海老などが飾られ、「牧牛蒔絵杯」は30頭余の牛が群れる牧場の光景を小さな杯の中に繊細に描いている。朱杯のほかに室町~桃山時代にかけて作られた根来塗といわれる漆塗りの酒器や椀なども展示されていた。こんな優美な杯や酒器で飲むと、酒のうまさも一段と引き立つに違いない。(写真は上段㊧「猿猴舟遊び蒔絵杯」、㊨「魚介蒔絵杯」(羊遊斎銘)、下段㊧「三方に伊勢海老蒔絵杯」(花一房銘)、㊨「牧牛蒔絵杯」)

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