く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<BOOK> 「日本人こそ見直したい、世界が恋する日本の美徳」

2013年02月04日 | BOOK

【永田公彦著、ディスカヴァー・トゥエンティワン発行】

 一昨年の東日本大震災直後、悲惨な映像が世界に発信されたとき、日本人の冷静沈着な行動や互助の精神などが繰り返し称賛された。筆者は「日本人が育んできた価値観と精神性に宿る美徳」を日本人自身が再認識すべきと強調。その美徳を様々な形にして世界に〝伝道〟することが人々の心を癒やし、「軍事・経済のパワーではなくソフトなパワー」で国際社会をリードしていくことができると主張する。

     

 著者は1960年生まれで、JTBの海外事業部門のマネジャーなどを務めた後、96年フランスに拠点を移しMBA(経営学修士)を取得し、リヨン商工会議所、調査コンサルティング会社などに勤務。2003年から「ナガタ・グローバル・パートナーズ」代表パートナーを務める。長い海外生活の中で「日本人が従来から持ち合わせる価値観と精神文化が今後ますます注目され世界に広がるとの確信を深めた」とし、「第三のジャポニズムの到来をも感じている」という。そうした思いが本書執筆を促したようだ。

 6章構成。第3章「ニッポンという国の魅力はこんなにある」、第4章「世界が注目するニッポン人の美徳」で、日本と日本人の魅力・美徳を粋・平安・和・敬・清・こだわり――の6つのキーワードごとに列挙する。例えば「ルールを守る」「時間を守る」「手を清める」「丁寧な技へのこだわり」「静寂な大都会」「世界をカッコいいと言わせる和食」「安全~自転車泥棒と痴漢だけ気をつければいい」等々。

 筆者は社会が格差と不確実性を増し、混沌・殺伐とする中で「ニッポン売り込みの機が熟している」とみる。売り込むのは長年日本人が育んできた美徳に裏打ちされた〝和風ソフトパワー〟。文化芸術、商品、サービス、知的財産、デザイン、映像などのコンテンツ、道徳、倫理、社会モデル、経営モデルなど様々な形にして売り込んでいく。そのために重要なのが「国家ブランディング」戦略と指摘する。

 フランスは経済規模で日本の半分以下だが、国際的なプレゼンスや発言権ははるかに強い。その背景には外に向けた強い国家ブランドがある。韓国もトップ主導で〝韓流〟という文化コンテンツと韓国製品を組み合わせたパッケージで輸出を増やし、外国人観光客数でも2009年以降、日本を上回る。著者は日本とフランスなどの海外文化交流拠点数などを比較しながら「全方位で親日家を増やそう」「世界中に〝I LOVE JAPAN〟のネットワーク拠点を」と呼びかける。

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