【通算12戦で6勝、ライバルの2位サラに大きく水をあける】
スキージャンプの女子ワールドカップ(W杯)は10日、山形・蔵王で第11戦(風で順延となった9日分)と第12戦を行い、総合でトップを走る高梨沙羅が2連勝を上げた。これで今季12戦中6勝。昨季チャンピオンで今季2位のサラ・ヘンドリクソン(米国)に獲得ポイントでさらに大きく水をあけた。残り4試合。高梨の総合優勝がかなり濃厚になってきた。
高梨は8戦中4勝という圧倒的な戦績を引っ下げて、4試合を戦う日本大会を迎えた。だが札幌・宮の森では2日の第9戦12位と振るわず、翌3日の第10戦も5位にとどまった。2日は悪天候のため1回目だけのジャンプで順位が決まるという不運もあった。「スランプか」と心配する向きもあったが、蔵王での連勝はそんな懸念を払拭してくれた。1年前、W杯初勝利を飾った蔵王はやはり高梨にとって験のいいジャンプ場だった。
10日の第11戦のジャンプ1回目。高梨は95.5mの最長不倒距離を飛ぶと、2回目も最長の93.5mで他を圧倒。さらに日本最終戦の第12戦では1回目に102mと唯1人HS(ヒルサイズ)の100mを超える大ジャンプを披露し、2回目も94mで最長をマークした。3位だったサラは1回目が93m、2回目が92mだった。
【12戦終了時点でのW杯順位とポイント】
①高梨沙羅(937ポイント)②サラ・ヘンドリクソン(米国、707ポイント)③ザイフリードスベルガー(オーストリア、697ポイント)④コリーヌ・マッテル(フランス、593ポイント)⑤アネッテ・サーゲン(ノルウェー、551ポイント)⑥カリーナ・フォークト(ドイツ、415ポイント)⑦ダニエル・イラシュコ(オーストリア、390ポイント)⑧エヴェリン・インサム(イタリア、330ポイント)⑧カティア・ポズン(スロベニア、330ポイント)⑩リンジー・ヴァン(米国、309ポイント)
これで高梨は日本での4戦でポイントを267かさ上げし、合計937まで伸ばした。サラの4戦は7位、3位、4位、3位。ポイントは合計707で、高梨との日本戦以前のポイント差169が230にまで広がった。ポイントは1位100、2位80、3位60……。計算上、残り4戦で仮にサラが2勝しても、高梨に追いつけないポイント差になったわけだ。
【残り4戦 スロベニアとノルウェーで各2戦】
上位陣ではオーストリアのザイフリードスベルガーが日本で1位1回、2位3回という好成績を収め、高梨を上回るポイント340を獲得した。ザイフリードスベルガーは22歳で、昨季は総合11位。今季は好調を持続しており、札幌での第10戦の1位は彼女にとってW杯初優勝だった。順位も8戦終了時点の6位から3位まで上げており、高梨にとってはサラと並ぶライバルとして急浮上してきた。
今季のW杯はスロベニアとノルウェーでの4試合を残すのみ。今月16~17日にスロベニア・リュブノで第13~14戦、3月15日にノルウェー・トロンヘイムで第15戦、そして同17日にノルウェー・オスロで最終戦が行われる。仮に高梨がスロベニアで連勝すれば、ノルウェー戦を前に高梨のW杯初優勝が決まる。