【某大学の学生食堂、ただし「学生限定」の割引】
学生食堂に入ろうとして、入り口の「朝食100円引きセール」の看板に目が釘付けになった。「朝定食A」がたったの20円、「朝カレー」も100円――。ただし「本学学生さん限定!」とあった。レジ係の女性によると2年前の春からこの価格で提供しているという。「朝食を抜かないでしっかり食べてほしい」――この割引にはそんな大学側の〝親心〟が込められているようだ。
この大学では学食の運営を給食事業者に委託し、事業者側は収益を上げる狙いもあって大学関係者以外にも開放している。私もこれまで何度か利用させてもらっていた。が、看板は見過ごしていた。気づいていても割引の対象外だが……。看板の下側にも「学生証のご提示をお願いします」とあった。
朝定食Aは「ご飯とみそ汁、味付け海苔又はふりかけ」。極めてシンプルな内容だが、それにしても20円とはほとんどタダ当然。おかずが1品付いた定食Bは180円が80円に、おかず2品の定食Cは250円が150円に。カレーライスは200円が100円という。200円でも割安だが、それが100円とは! その差額は大学側が補助しているらしく、毎日20人程度が利用しているそうだ。
朝食を抜く若者の〝欠食〟が問題になっている。内閣府のネット調査(2009年)では、朝食を「ほとんど食べない」または「週4~5日食べない」大学生が19.4%とほぼ5人に1人に上った。その割合は女子より男子学生のほうが高く、自宅通学より下宿・アパート住まいの学生が高かった。また学年が上がるにつれて割合が高くなった。
欠食理由のトップは「もっと寝ていたいから」。次いで「身支度などの準備で忙しい」「食べるのが面倒」「朝食の時間がもったいない」「食欲がない」などだった。欠食は栄養バランスの乱れ、疲労感の蓄積、記憶力や学業成績の低下などにつながるともいわれる。国も食育推進基本計画の中で「欠食する国民の割合の減少」を目標の1つに掲げている。