【トーチのように燃え盛る緋色の花】
トーチジンジャーはインドネシアやマレーシアなど東南アジアに自生するショウガ科の常緑樹。葉っぱはショウガの葉を巨大化したような細長い形で、株元から直立する花茎の先端に鮮やかな緋色の花を付ける。真ん丸く直径は15cmほどもある。その花姿が燃え盛るトーチ(たいまつ)のように見えることからトーチジンジャーの名が付いた。赤のほかピンクや白花もある。
和名は「カンタン」。この花をマレー語では「ブンガ・カンタン」と呼ぶ。「ブンガ」は花、「カンタン」はショウガを指す。和名はそこから来たらしい。トーチジンジャーの花はマレーシアやシンガポールの麺料理「アッサムラクサ」に欠かせない。つぼみを刻んで香味料として加える。ミョウガに似た風味と歯ごたえという。つぼみはカレーやサラダにも使われ、果実は果物に、種子は香辛料になる。
【まるでオウムのくちばし、英名は〝エビのはさみ〟】
ヘリコニア・ロストラタはオウムバナ科の1種。黄色く縁取られた赤い花がまるでオウムのくちばしのようにも見え、それが連なって下に垂れる。英名は「ハンギング・ロブスター・クロウ」。大きなエビのはさみというわけだ。花に見えるのはガクが変化した苞(ほう)で、本来の花は苞の中にある。バナナの近縁種で葉はバナナのように大きい。
ヘリコニア属は中南米や南太平洋諸島におよそ100種が分布するという。ヘリコニアの名はギリシャ神話でミューズ(女神)が住むヘリコン山にちなむ。花の独特な形と目立つ色彩は受粉を媒介してくれるハチドリを引き付けるためといわれる。同じ仲間にロストラタと同じように花が下垂するマリアエやペンデュラなど。花が上に立ち上がるプシッタコルム、カリバエアといった品種もある。最近は国内でもエキゾチックな花姿が人気を呼んで、切り花として栽培され鉢物用の小型品種も出回っている。