く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<BOOK> 「水族館で珍(ちん)に会う」(中村元監修・写真、エンターブレイン発行)

2013年07月19日 | BOOK

【水族館プロデューサーが紹介する〝水族珍〟の数々】

 中村元氏は1956年三重県生まれ。大学卒業後、鳥羽水族館に入社しアシカトレーナー、企画室長を経て副館長。2002年「水族館プロデューサー」として独立した。これまでに新江ノ島水族館、サンシャイン水族館、山の水族館などの新設リニューアルを手掛け、集客増や顧客満足度のアップに貢献してきた。

   

 中村氏は水族館でもめったに会えないものや不思議な姿をしたものを独自に〝水族珍〟と呼ぶ。本書はそうした珍たちの魅力をより多くの人に知ってほしいと願って監修した。「クラゲ」「深海魚」「巨大」「海獣」「稀少」などの10章構成で、取り上げた生物は110種余りに上る。その途中に「深海は水族珍の宝庫」「日本人と巨大生物」などのコラムを挟み、巻末には「珍に会える! 全国水族館リスト」を載せている。

 世の中には不思議な生物がいるものだ。体長5ミリほどの小さな「ベニクラゲ」は若返り能力を持つという。といっても不死身ではなく、他の生物に食べられたりするが、理論上は永遠に生き続けることができるという。ダンゴムシのお化けのような「ダイオウグソクムシ」は最近3年以上も何も食べずに水族館で生きていると話題になった。シマウマのような柄模様の「ゼブラガニ」はなんとウニのトゲを刈り取って食べるそうだ。

 「ウオーキングバットフィッシュ」は脚のように変化した胸びれと腹びれで水底を歩く。爪楊枝のように細長い体を持つ「ヨウジウオ」はオスが〝出産〟する。メスが卵をオスの腹部にある育児嚢に産みつけ、オスはその卵がかえり稚魚として飛び出すまで保護する。「インドエンコウガニ」は背中にある日の丸のような真っ赤な円の模様が特徴。これまでに捕獲できたのはわずか12匹という伝説の生き物で、しかもその全てがオスだったという。

 「カイロウドウケツ」は水深1000mほどの深海に棲む円柱状のカイメンの1種。その名は偕老同穴に由来し、円柱の中に小さなエビが棲み付いていることによる。釜茹でにされた大泥棒・石川五右衛門に由来する「ゴエモンコシオリエビ」は熱水噴出口周辺に生息する。深海魚「ビニクン」はツルッとした頭を尼僧の比丘尼(びくに)に見立てたもの。「ウケグチノホソミオナガノオキナハギ(受口の細身尾長の翁剥)」は体の特徴をそのまま五・七・五で詠んだような名前で、魚の和名としては最も長い。

 「ホテイウオ」はでっぷりした姿が布袋様のように見えることから、その名が付いた。中南米に生息する「ヤドクガエル」は先住民がその毒を矢に塗り、部族間の抗争や狩りに用いた。 「オオカミウオ」は名前も見た目も怖そうだが、実際はおとなしく、他の魚を襲ったりすることはないという。「エラブウミヘビ」は沖縄で「イラブー」と呼ばれ、真っ黒な燻製の姿で売られているが、その毒はハブの70~80倍も強いという。ただ性質はとてもおとなしく、慣れた人は素手で捕まえるそうだ。

 「チョウザメ」は一見サメのように見えるが、サメではなく近い仲間でもない。「チョウ」は体の側面に並んだウロコの形が蝶に見えることから。「シノノメサカタザメ」もサメではなくエイの仲間。エイはサメから進化したものといわれ、エラの位置(エイは体の下、サメは体の側面)で見分けることができる。

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